【初心者向け】データのプロが教える「BigQuery」の使いどころ8選
Googleが提供するデータウェアハウス「BigQuery」。
データアナリストである私の体感としては、世の企業の8割はBigQueryを使わずとも、ExcelやGA4で十分データ分析できます。……なんですが、「数万行あるExcelをなんとか動かしている」ような大量のデータを扱う残り2割の企業には、全力でBigQueryの活用をオススメしたい。
当記事では、一部の企業様にはきっとドハマリするであろう、BigQueryの便利な使い方を8つ紹介します。
1.CRMに企業情報を自動で取り込む
1つ目は、弊社「月曜日のトラ」でも取り入れていて、BtoB企業にもっともオススメしたい活用方法である、CRMへの「企業情報」自動取り込み。
BtoBの営業やマーケティングにおいて「上場企業をターゲットにしよう」「この業種・このエリアを重点的に攻めよう」とする場合、SFAやCRMに企業情報を登録しておくことは欠かせないと思います。しかし、日々の商談で忙しい営業担当に「企業情報を漏れなく入力させる」のはなかなかの至難の技。そんなとき、BigQueryが役立ちます。
手順としては、経済産業省が提供しているgBizINFOで取得できる企業情報(住所や設立年、保有している特許、上場企業なら財務情報まで)をBigQuery上にアップ(*)。法人番号をCRMに手入力すると、該当する企業データを返す仕組みを作れば完成です。
* すでにアップロードされている無料のソースもあります(gBizINFO 法人情報を加工して Analytics Hub – Google Cloud で公開 | BQ FUN )
法人番号を入力することさえ徹底できれば、CRM上で企業情報をいつでも参照できるようになります。

2.集客チャネルごとの商談・受注状況を追いかける
他にもBtoB企業の場合、集客チャネルごとの商談・受注状況を追いかけるときにもBigQueryが役立ちます。
特に「ホワイトペーパーが100種類以上ある」「定期的にウェビナーをやっている」など大量のフォームを有するWebサイトの場合、フォーム別の商談・受注率を見ようとすると、その後の営業結果をExcelにそれぞれ記載して……と、煩雑なフローになりがちです。このとき、BigQuery上でSFAやCRMのデータと突合させて集計すれば、手間が省けて非常に便利です。

3. コンテンツSEOの記事別成果レポートを作る
続いて3つ目は、コンテンツSEOの記事別成果レポートの作成。
GA4のデータ(PVやCV)とGoogle Search Consoleのデータ(キーワードや順位)、2つのデータベースから数字を引っ張って1つのレポートにまとめたい、最たる例ではないでしょうか。通常はcsvでデータを吐き出してExcelに貼り付けて、VLOOKUPでデータを読み込んで……という手順を踏んでいるかと思いますが、そうなると毎回csvを貼り付けるのが大変で、途中で更新が頓挫しがちです。
このときBigQueryがあれば、一度レポートを作成するだけでつねに最新のデータを参照することができます。また、過去のデータまで遡ってグルーピングできるBigQueryの強みを活かせば、すべてのデータで「著者別」「カテゴリ別」などの分析が可能に(*)。
*GA4にもカスタムディメンションによる属性付けや、コンテンツグループによるグルーピング機能はありますが、グループを設定した日以降しか集計できません。
メディアを運営している企業においては、レポート作成時間をかなり短縮できるのではないかと思います。

4. 「カニバリ」をいち早く見つけ出す
もう一つ、コンテンツSEOにおけるニッチな活用方法を紹介します。
「自社がもっている複数サイトでキーワードのカニバリが起きていて、対象となる記事を抽出したい……」という場合、複数サイトのGoogle Search Consoleのデータを突合しようとすると、それはもうすごい行数のExcelになるかと思います。それに、そもそもSearch Consoleはデータを一度にエクスポートできる行数が1,000行までなので、csvを吐き出す時点でもう大変。
参考:Search Console でのパフォーマンス データのフィルタリングと制限の詳細 | Google 検索セントラル ブログ
そんなときこそBigQueryの出番。何十倍も速やかに洗い出しが完了するはずです。

5.Googleのクローラーの動きをチェック
また、BigQueryはテクニカルSEOにも役立ちます。
たとえば「自社のぺージが検索でヒットしない」とき、そもそもGoogleのクローラーがきていないのか、ぺージの読み込みが遅くてインデックスされていないのか、低品質コンテンツと判断されてインデックスされていないのか等々、原因を見つけるためにはサーバーログ上でクローラーの動きを確認する必要があります。
しかしこのサーバーログは1日で数ギガバイトにも及ぶ大容量のデータであり、Excelだと固まって動かないレベルであるため、処理をするにはBigQueryが欠かせません。

6.離反顧客にクーポンをバラまいた時の反応を見る
続いてECの場合、顧客群ごとのサイト行動を分析するときにBigQueryが活躍します。
たとえば「離反顧客」と呼ばれるような、最近お買い物をしてない一部のお客様にクーポンをばらまくキャンペーンを実施した場合。サイトにきてくれたのか、商品詳細ぺージは見たのか、最終的に購入したのか、クーポンを付与しなかったお客様とどのような行動差があるか……などを分析しようとすると、サイト上の行動データと顧客IDの紐づけが必要となります。
上記はExcelやGA4だけでおこなうには荷が重い作業であるため、BigQueryの活用がオススメです。「トライアル商品を買ってくれたものの本商品の購入がない顧客のサイト上の行動を分析したい」など、あらゆるパターンの顧客分析にも応用できます。

7.複数広告媒体を横断したレポートを生成する
広告領域においては、他のサービスと連携することで力を発揮します。
複数の広告媒体からデータをcsvでエクスポートして、成形して、一つのドキュメントにまとめて……と、毎月地味に時間がかかるレポート作成。こうした業務をラクにしてくれるレポート自動化サービスには、BigQueryが活用されているケースが多々あります。

8.ユーザーをCVに導くゴールデンパスを見つける
最後に、アクセス解析の仕事をしていると、周囲からよく「ゴールデンパス(コンバージョン導線の勝ちパターン)を見つけたい」と言われます。この分析はかなり大変なわりに、よい示唆を導き出せないことがあるためあまり積極的にはオススメしませんが(苦笑)、いざゴールデンパス探しにチャレンジしたい場合は、BigQueryの活用が欠かせません。
GA4でも「コンバージョンしたユーザーがどのページを見ていたか」をざっくり把握することはできます。一方、BigQueryがあれば、「番号付け関数」を用いることで「コンバージョンする前に見ていたぺージ」だけを厳密に抽出できたり、「どういう順番でぺージを見ていたか」を詳細に確認できたりします。

さいごに:「BigQuery」の基本のキ
「BigQuery、ぜひ使ってみたい……!」
だけど、
「なんだか難しそうでとっつきにくい」
「従量課金制だから、結局どれほどお金がかかるかわからない」
と腰が重いみなさんへ。初心者の方にもわかりやすいよう「BigQuery」の基本を最後にまとめて解説します。
BigQueryとはなにか
BigQueryとはなにか一言で表現するならば、Googleが提供する「大量のデータを超高速で処理できるデータ倉庫(専門用語では「データウェアハウス」)」です。
たとえば、数万行あるExcelを自分のPCで動かそうとすると、とにかく固まりがち、エラーが出て予期せぬ終了をしがちかと思います。一方、BigQueryであれば、数十秒で処理が完了。ストレスフリーにデータを分析できます。
類似サービスとしてはSnowflakeやAmazon Redshift などが挙げられますが、デジタルマーケティング業務においてはGA4やSearch ConsoleなどGoogleが提供するサービスを使うことが多いため、連携がもっともスムーズなのは間違いなくBigQueryです。
マーケターにとってもっとも身近なデータウェアハウスとも言えます。
いくら費用がかかるのか
BigQueryの料金は大きく以下の2つで構成されており、従量課金制のためサイトの規模に寄って変動します。
- コンピューティング料金:BigQueryでクエリを実行するときに発生する費用。毎月最初の1TBまでは無料で、それを超えるとおおよそ1TBあたり$6前後の料金がかかります。※2025年3月現在
- ストレージ料金:BigQueryに取り込んだデータを保存するために発生する費用。毎月最初の10GBまでは無料で、それを超えるとデータ量に応じて課金されます。※2025年3月現在
参考:料金|BigQuery: Cloud Data Warehouse |Google Cloud
私が見てきた限りは、多くとも月数万円程度に収まることがほとんど。無料の範囲内におさまるケースもあり、そこまで身構える金額ではないと言えます。
初心者でも使いこなせるのか
BigQueryの活用にはSQLの知識が求められることもあり、残念ながら誰でもすぐに習得できるわけではありません。ですが、インターネット上には教材が豊富に存在しますし、エラーが出たらChatGPTで解決することも可能なため、Excel関数やピボットテーブルを用いた分析経験などがあれば十分独学はできると思います。
それに、現時点でBigQueryを使いこなせるマーケターは比較的数が少なく、いま身につければ貴重な戦力として評価されること間違いありません。自分自身の業務効率を上げるためにも、市場価値を高めるためにも、習得しがいのある技術ではないでしょうか。
・・・
ECサイトや不動産・旅行・中古車・人材などのデータベース型のサイト、100以上コンテンツがあるWebメディアなど、ある程度大きなサイトでマーケティングに取り組む企業であれば、ぜひBigQueryの活用にチャレンジしてみてください。
また、弊社「月曜日のトラ」はBigQueryを用いたデータ基盤の初期構築にくわえて、2〜3ヶ月後にインハウス化できるよう伴走することも可能ですので、ぜひ気軽にお問い合わせくださいませ。
著者情報
MASAHIRO NISHI
Marketing Strategist / Data Analyst
業界歴16年以上。データ戦略の立案、アクセス解析、 CVR改善、データ活用基盤の構築など、データドリブンなマーケティング組織の構築を支援。電通デジタルを経て2019年にTHE MOLTS参画。
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