振り返れば組織の自走化とリード数倍増を実現
THE MOLTS失態をカバーしたEPICBASEが手にしたモノ
エンタープライズや自治体を中心に、累計3,000社以上で利用されている音声×AIで議事録作成を自動化・効率化させるサービス『スマート書記』。同サービスの開発・運営を行うのがエピックベース株式会社です。
同社では、市場が成長している一方でリード獲得が追いついていないことに課題を感じ、コンテンツSEOに着手。しかし、コンテンツSEOの知見やノウハウが不足していたことから、THE MOLTSにご相談いただきました。
そこで当社では、コンテンツSEOのインハウス化を支援。今回はエピックベース 代表取締役を務める松田さま、マーケティングを担当されている青木さま、そして本プロジェクトを担当したTHE MOLTS 寺倉大史がこれまでの取り組みを振り返りました。
テクニカルなコンテンツSEOではなく、顧客に向き合って一緒に仕事ができるパートナーを探していた
寺倉:このたび、THE MOLTSでは御社のコンテンツSEOのインハウス化を支援させていただきましたが、ご相談いただいた背景として、あらためてどういった課題感を抱えていたのかを教えていただけますか?
松田:マーケットは伸びているのに、リード獲得が追いついておらず、特にSEOにおいては指名検索のみでしか当社のサイトが出てこない状況であったことが課題としてありました。
そこで自社で、2回にわたってコンテンツSEOに取り組み始めました。しかし、1回目の取り組み時は、記事をつくっても何も起きないという結果に。そして2回目は戦略的に行っていこうと、しっかりとキーワード選定などを行って取り組んだのですが、トラフィックは伸びるものの、リード獲得にうまく繋げていくことができませんでした。
そこで外部のプロフェッショナルの知見を取り入れるべきだと考え、良いパートナー企業はないかと探している中で、THE MOLTSに出会い、ご相談させていただいたというのが経緯でした。
寺倉:コンテンツSEOのインハウス化支援を行う企業が多くある中で、最終的にTHE MOLTSにお声がけいただいたのはどういった理由からだったのでしょうか?
松田:現場メンバー間でも「顧客に向き合っているか」というのは日々議論の起点となるくらい、私たちは「顧客に向き合う」というのを大切にしています。
そのため、パートナー選定においても、小手先のテクニック的なSEOではなく、しっかりと顧客に向き合い、本質的な仕事をしてくれるかどうかを選定基準として重要視していました。
そうした中、THE MOLTSはテクニカルなSEOに偏るのではなく、ユーザーにとって最高のコミュニケーションは何か、そのためにどういったコンテンツが必要なのかと、しっかりと顧客に向き合う姿勢を感じられたことが一番の決め手でした。
3ヶ月で倍成長を掲げたものの結果は目標未達に。その状態に、謝罪する
寺倉:2023年5月からお取り組みがはじまりましたが、最初にご相談をいただいたのは2022年の終わりでしたね。そして課題等を伺った上で、「もう少し体制が固まったタイミングで支援に入らせてもらったほうが良い」とお伝えさせていただきました。
そして約半年後のタイミングでこれまでのデータを拝見させていただくと、愚直に取り組まれているのが見て取れました。また、現場メンバーの方々のマインドセットも素晴らしいなと。
特に御社の場合は、スタートアップでゴリゴリ進めていくような環境で、一人ひとりのやり遂げる力がすごい。
コンサルティングでなく、インハウス化支援に入らせていただく際は、数値目標を立てずにプロジェクトを進めることが基本。ただ、御社の場合は最初から数値目標を立てたほうが組織にフィットし、モチベーション高く取り組めるだろうと思いました。そこで、当時月間50件弱のリード件数でしたが、3〜4ヶ月で倍の100件獲得を目指していきましょうと提案させていただきました。
プロセスを学び、自ら動き、成果を増やした成功体験が自走には必要であり、結果として75件と目標に届かなかったとしても、理解して高い目標を追いかけたことにインハウス支援の価値を見出せると思いましたし、そういう戦い方が御社には向いていると判断しました。
青木:当時はコンテンツSEOの知見や経験があるメンバーはおらず、独学でやっていたり、兼務でやっているメンバーで進めていました。
そのため、寺倉さんから倍の目標を追いかけるというお話を伺って、はじめは本当に達成できるのだろうかと驚きました。しかし、寺倉さんが「いけるでしょ」といったテンションで、また私自身もともとTHE MOLTSのことは知っていたので、寺倉さんがいけると言うなら、いけるんだろうなと(笑)。
そして取り組み初期の頃に、ユーザーニーズよりもCV獲得を優先したコミュニケーションに寄せ過ぎてしまったことがありました。そのときも「それは読んだユーザーにとって最高の結果を提供できるのか」と寺倉さんにフィードバックをもらったりと、常にユーザーにとって最高のコミュニケーションは何か、という視点を徹底されていて、テクニカルなSEOの話が出てこなかったんですね。
私自身もテクニカルなSEOを行うのではなく、松田からもあったように顧客に向き合うことを大切にすべきだと思っていたため、これはいけるなと思っていました。
寺倉:つくるべきはコンテンツではなく、コミュニケーションだと考えているため、初期の頃はユーザーとのコミュニケーションはどうあるべきかといった話をよくさせていただきました。
そして3ヶ月で倍の100件達成という目標を掲げていましたが、2ヶ月経った6月末のタイミングで69件まで伸ばせていたので、松田さんにも電話で「このまま100件いけそうです」と伝えていました。
ところが、3ヶ月経ったタイミングでいざ蓋を開けてみると、52件と獲得件数がもとに戻るといった結果に。細かくデータを見ていくと、展開したいくつかの施策がネガティブに働いていたことが発覚し、このままいけば右肩上がりに成長して自走して成果が出せる状態とは程遠い状況になってしまいました。
青木:私自身も6月までは「このままいけばいける!」と思っていたのですが、7月に入ってから狙っていたキーワードが上位表示されなくなっていたり、それまで獲得できていたコンテンツでリードが獲得できなくなったりということが起きました。
そこで不安になってしまい、「この状況は正しい状況なのか」と相談させていたきました。
寺倉:THE MOLTSが関わっていながら、宣言した期間で成果を創出し自走する組織がつくれなかったことに対して、エピックベースのみなさんには謝罪をさせていただきました。取り戻せない3ヶ月間を振り返っては、自身の甘さに腹がたち、今思い返しても当時の私は許せないですね。
「同じことを同じ言葉で語れるようになるまで行動してから疑え」スタートアップで1週間なにもしないのはあり得ない
寺倉:そこからは死に物狂いでした。数値が伸びない状態にはいくつかの要素が絡んでおり、原因の仮説を立て、検証し、リカバリー、かつグロースさせるためにどうすればいいのかを青木さんと考え続けました。さらに松田さんにもマネジメントに入ってもらい、立て直しを図っていきました。
やはり数字は魔物なので、7月の数値結果に対して「このままやっていて大丈夫か」と現場も不安になったり、あーじゃないか、こーじゃないかと意見が分かれたりと、同じ方向に向かって進むのが難しくなりがちです。
ただ、松田さんがマネジメントしていただけたことで、一時崩れた信頼関係からふたたび同じ方向に向かっていけたのはとても大きかったです。
松田:当時は獲得件数が下がっていて、現場メンバーが焦っていたんですよね。そこで何が原因なのかと聞いても、わかっていないと。プロジェクト起因で落ちているのか、それ以外の要因で落ちているのか。チャレンジして下がるのはわかるが、下がった原因がわかっていないのが問題でした。
また、何かうまくいかないときに人のせいにするのは簡単だけれども、それはやるべきではない。やるべきことは構造的に問題を把握して解決策を見つけ、実行すること。
私はTHE MOLTSを信用していたため、やっていることは間違っていないと思っていました。むしろ問題があるとしたら、私たち側の行動量が少ないことだろうと。THE MOLTSから言われていることを、本当にやり切っているのかと思ったんですね。
実際に寺倉さんからフィードバックをもらっても、翌週にはフィードバックが反映された記事が出ていなかったんです。スタートアップで1週間なにも動いていないというのはあってはならない。
もちろんコンテンツSEOはすぐに結果が出ないというのは理解していましたが、学びのプロセスが2週間に1回といった時間軸は遅すぎる。
そこで行動量を増やすためにも、月次で目標を追いかけるのではなく、週次で追うように変更。さらに行動量をスプレッドシートで管理して、行動目標が達成できていなかったら赤色で表示。当初は赤色だらけでしたが、行動量を増やしていったことで徐々に赤色がなくなっていきました。
青木:7月、8月で問題を解決し、さらに8月から行動量を増やしていったことで、9月70件、10月90件、11月110件と着実に成果を伸ばしていくことができました。また、コンテンツ経由のリードだけでなく、TOPページからのリードも増えていったことも成果だと感じています。
寺倉:8月のあの期間は、まさに部活の合宿のようでした。私もさすがにエピックベースの中の人間ではないのでみなさんを追い込むことはできない。その中で松田さんがメンバーの行動量を増やすための動きをとってくれたこと、青木さんが信じてついてきてくれたことがありがたかったです。
そしてTHE MOLTSとしての支援は当初の契約期間としてそこで一旦終了し、そこからは自走して成果を出していくフェーズへ。GA4でずっと私も数字を追いかけていて、再度伸び始め、11月に100件を超えたときは一安心でした。
松田:実は7月のタイミングでは、「THE MOLTSはこう言っているけど、違うと思う」と現場メンバーは感じていたようです。しかし、寺倉さんと同じことを同じ言葉で語れるようになるまで行動してから疑うのは良いが、行動していないのに疑うのはおかしい。
あのときに倒れるくらい行動したからこそ、その後着実に成果を伸ばせる強いチームができたかなと思います。
寺倉:7月の結果が不甲斐なさすぎて崩れかけた信頼関係をリビルドしてもらい、限界まで行動量を担保してくださったおかげで、一段と強いチームが生まれました。それは同時に、私の気持ちが救われたのと同意。本当に、松田さんと青木さんはじめ、エピックベースの皆さまには感謝しかなかったです。これ、謝罪の会みたいになってますね、すみません(笑)
「ユーザーのために最高のコミュニケーションを考える」という思考をインストールできたことが大きな価値
寺倉:プロジェクトを振り返ってみて、あらためてどういった点に価値を感じていますか?
青木:こういったキーワード設計をすべきといったテクニカルな視点で考えるのではなく、「ユーザーのために最高のコミュニケーションを考える」という思考をインストールできたことが大きな価値だと思っています。インハウス化支援が終わって寺倉さんが離れてしまった後でも、自分たちでしっかりと成果を出せるようになったのは、そうした思考のインストールがあったからこそ。
また、フィードバックの数は期待以上で、15分だけのミーティングを頻繁にやっていただけたりして、ここまでコミュニケーションを取ってくれるのかと驚きました。そのため、いまは新しく採用したメンバーに対しても、寺倉さんの真似をして高い頻度でフィードバックを行い、思考のインストールに取り組んでいます。
松田:もし意味のない記事を量産していたら商談化率は下がりますが、私たちが求めるお客様にちゃんと記事を読んでいただいて商談に繋がっており、そうした成果が生まれていることが一番の価値。
また、当たり前のことではありますが、メンバーが主体的に考えて行動し、振り返るということを徹底して行えるようになったことも支援いただいたからこそ生まれたことでしたし、メンバーにとっても良い経験になったと思います。
寺倉:今回の結果をふまえて、今後御社ではどのようにコンテンツSEOに取り組んでいく予定ですか?
青木:記事数を増やすだけでなく、メンテナンスのチームをつくり、メンテナンスの強化に取り組んでいきたいと考えています。
それは寺倉さんの教えが強く影響していて、寺倉さんからは「新規記事は100%の完成度を求める必要はない、まずは公開して後からメンテナンスをすればいい」ということをお話いただき、それは私たちにとっても「コンテンツは育てていけばいいのだ」という大きなマインドセットの変化になりました。
そして、新規でコンテンツをつくるときはユーザーのことを考える一方、はじめの頃はメンテナンスといってもリンクを追加したり、情報を追加するくらいで終わってしまいがちでした。
しかし、「ユーザーのために最高のコミュニケーションを考える」ことを徹底してきたことで、メンテナンスにおいてもユーザーにとって何が最高なのかを考えるようになりましたし、今後もその思考をチームで徹底していき、成果を伸ばしていきたいと考えています。
寺倉:インハウス化支援はインハウス化することが目的ではなく、成果を出すための考え方をインストールし、私が介在しなくても成果を出せるようになることがゴールだと思っています。
今回、御社のプロジェクトに携わらせていただき、一緒になってゴールに向かって走っていけたことはとても嬉しく思っています。そして、中にいる方々とエピックベースは応援したくなる会社だと強く感じていて、これからの成長を楽しみにしています。
松田:今回THE MOLTSにしていただいたことは、コンテンツSEOの支援でありながらも、成長し続ける組織をどうつくるかという組織づくりを支援いただいたようにも思っています。
そして、「ユーザーのために最高のコミュニケーションを考える」ということはマーケティング部門以外も持つべき大切な思考。その思考をたとえばプロダクト開発しているメンバーにインストールされれば、よりビジネスは良い方向へと変革していくだろうと思いました。
ゆくゆくはそうしたマーケティング部門以外への支援というのも、ぜひTHE MOLTSにやっていただきたいですね。
著者情報
TAISHI TERAKURA
Marketing Planner
業界歴10年以上。事業開発、オウンドメディア、コンテンツマーケティング支援を展開し、延べ100以上のプロジェクトを経験。藍染職人、株式会社LIGを経て、マーケティングプランナーへ。
記事をシェア