「データ課題の突破口を見出し続けてくれる」
あえて手の内明かすスタイルで持続的なパートナーにTHE MOLTSが選ばれ続けるワケ
自社開発のCMSを中心に、ポータルサイトや会員制サイト、ECサイトの設計・開発からSEO・広告運用・解析までを一気通貫で支援するWeb制作・マーケティング企業、株式会社シフト。多様な業界の中堅・大手企業を中心に950件以上の制作実績を誇る同社では、Webサイトの構築にとどまらず、お客様のデータ分析支援にも取り組んでいます。
今回の取り組みでは、レポーティング業務の効率化を実現するデータ基盤の構築と、これまで使用してきた検索順位チェックツールの代替となる新たな仕組みづくりにて、月曜日のトラ(THE MOLTSのグループ企業)が支援させていただきました。今回は、お客様のマーケティング支援を担うマーケティング部の樋口氏、松田氏、そして本案件を担当した月曜日のトラの西 正広、葉井 貴秋を交え、これまでの取り組みを振り返りました。
35年以上のWebサイト制作で培ったノウハウと950件超の実績を武器に、お客様の成長を支援する

葉井:数あるWeb制作会社の中でも、シフトさんは平成元年である1989年の創業、35年以上という長い歴史をお持ちです。改めて、今回の取り組みで支援させていただいた貴社の事業についてお聞かせください。
樋口:当社は自社開発のCMS「SITEMANAGE(サイトマネージ)」を中心に、お客様のポータル・会員制サイトやECサイトなどの設計・開発から、SEO・広告運用・解析までをワンストップで提供するWeb制作・マーケティング支援会社です。これまで積み重ねてきたノウハウと950件以上の制作実績を強みとしています。お客様の業界は多岐にわたるのですが、特に商品数・サービス数が多いサイトと弊社CMSの相性が良いため、中堅・大手のメーカー系の案件が多い傾向です。
私が所属する部署では、Webサイト制作後の工程、つまりWebマーケティング支援を担当しており、私はマネージャーとして全体を統括しています。
松田:私はWebマーケティングチームの一員として、主にデータ活用の領域を担当しています。具体的にはツールを用いたデータの抽出・分析をしたり、Webマーケターに求められるデータを作成したり、データ活用の設計を行ったりしています。以前にもWebマーケティング業務に携わっており、シフトに入社してから本格的にデータ分析に取り組むようになりました。
葉井:お客様へのWebマーケティング・データ分析支援で重視されていることは何でしょうか。
樋口:お客様はWebサイトを通じてエンドユーザーに正しく情報を届けたい、あるいはリードを獲得したいなど、さまざまな目的を持ってWebサイトを活用しており、私たちはその目的達成をサポートすることをミッションとしています。
そこで重要になるのが、お客様が考える目的と、そのための成果をしっかりと見極めることです。リード獲得や認知度向上など、お客様によってWebサイトを活用する目的は異なりますので、まずはニーズを読み取った上でアクセスデータをもとにした集客支援といったご提案をしています。
膨大なデータ処理とツールの制約で生じた限界。求められたのは、Webサイトを可視化するデータ基盤

葉井:貴社とは2つの案件でご一緒させていただきました。まず今回の取り組みのきっかけとなった、上場メーカー企業様におけるデータ分析基盤の構築について、ご依頼の背景をお聞かせください。
樋口:当社が制作したお客様のWebサイトの状況や、お客様が実施されているWebマーケティングの成果をお客様自身で確認いただくため、GoogleアナリティクスのデータをBIツールであるLooker Studioに連携し、ダッシュボードで可視化していました。また、定期的にレポートを作成し、第三者の立場からの分析についてもお伝えしていました。ご提出したレポートは現状確認だけでなく、社内への報告資料としても活用されているため、ご要望に応じて項目やレイアウトをカスタマイズしていることが特徴です。
葉井:データを可視化するためのダッシュボード構築とレポート作成で、どのような課題が生じたのでしょうか。
樋口:上場メーカー企業様は業界でも知名度が高いことからWebサイトへのアクセス数がとても多く、既存のデータ基盤とBIツールでは処理しきれない状態になってしまいました。初期の段階では粒度が粗めのデータ分析が求められていたために問題はなかったのですが、運用を重ねていくうちに、ユーザー属性や行動の深掘りなど、より細かい粒度でのデータ分析が求められるようになったのです。
データ分析のためにフィルターも多用するようになると、ダッシュボードの表示が極端に重くなり、最悪の場合はレポートの更新が止まってしまうことも。結果、データ分析やレポート作成の工数と時間が大きく増加してしまい、解決しなければと考えるようになりました。
松田:当時はダッシュボードを開くだけでも丸1日かかる状態でした。1日にアクセスできる回数制限が設けられているGA4のAPIに引っかかってしまい、すぐ上限に達してしまっていたのです。そのため、一度処理が止まってしまうと、しばらく時間を置かないと再表示できないような状況が続いていました。
葉井:社内のリソースによる対応は難しかったのでしょうか。
松田:社内にはデータエンジニアリングの専門スキルを持つメンバーがおらず、ノウハウもリソースも足りませんでした。自力で改善するより、専門的なサポートを受けたほうが確実に課題を解決できると判断し、ご相談させていただいたという流れです。
葉井:もうひとつのご相談である、独自の検索順位チェックツールの構築をご依頼いただいた背景をお聞かせください。
松田:当社ではWebサイト上の数字を確認するレポートに加え、お客様のWebサイトが検索エンジンで何位に表示されるかを集計し、分析した結果をお伝えしていました。そのデータ収集に使用していたツールが、検索エンジン側の仕様変更を受けてこれまで通りの使用ができなくなってしまったのです。正確な検索順位のデータはお客様からも求められていたので、新たな仕組みが必要となりました。
継続的な伴走支援が期待できる外部パートナーを選定。データ人材の確保が難しい中、柔軟な外部協働へ

葉井:データ活用に強い外部パートナーとの取り組みと、データ活用人材を採用して内製化するという選択肢はどのように比較検討されましたか。
樋口:そもそもデータ活用に重点が置かれた取り組みが安定しておらず、波がある状態で新しい人材の採用にはためらいがありました。仮に採用できたとしても、継続的なプロジェクトへのアサインは難しかったと思います。また、そもそもデータ人材の採用難は業界全体のトレンドです。そのため、外部パートナーと協働する方針に絞りました。
葉井:データ活用のパートナーは、どのように探されたのでしょうか。また、そのときに重視していたポイントをお聞かせください。
樋口:BigQueryといったデータ基盤の構築に欠かせないサービス名を絡めて検索し、さまざまなテックブログを閲覧しながら探していきました。やりたいこと、実現しなければならないことは明確に描けていたので、あとは実行できるだけの技術と実績を持っているかどうかがポイントでした。そのため、そもそも自社の技術力や実績を公開しているかどうかも重視しています。
その他にも、課題解決に向けて柔軟かつ継続的にご支援いただける点も大切な要素でした。データ活用の仕組みは構築して終了ではなく、その後も長く活用されていくものですので、何かトラブルが起きた際には気軽に相談できる、継続的な関係を求めていました。特に近年、データ活用の技術は飛躍的に進化しています。データ活用のパートナーには、最新のデータ活用のトレンドを相談でき、正しくアドバイスいただけることを求めていました。
松田:データ活用の実務を担う現場からは、実践的なノウハウ・テクニックを教えていただけるという点が大きかったです。ただ丸投げするのではなく、ご依頼する側の私たちもデータ活用の仕組みやデータ基盤をもっと理解しておく必要があると感じていました。そうした狙いにおいても、SNSやブログで自社のノウハウを積極的に発信されている月曜日のトラさんが最適なパートナーだと判断しました。
手の内を明かす姿勢が、信頼につながる。柔軟な対応と高い技術力で、現場に即したデータ基盤を整えた

西:当初は分析レポートの作成代行単体についてのご相談でしたが、レポートの制作を請け負うだけでなく、月曜日のトラが突き詰めているBigQueryやGA4によるデータ活用の基盤を整えること、データ活用で抱える課題解決を支援させていただいた方が貴社サービスの提供範囲を広げられるのでは、と初回のお打ち合わせ時にお伝えしました。
樋口:キックオフ後の流れとして、まず上場メーカー企業様のレポーティング向けデータ基盤の構築に着手いただきました。GA4(Googleアナリティクス4)のデータをDWHであるBigQueryに蓄積し、Looker Studio上のダッシュボードで可視化するという環境です。作業自体は約1ヶ月で完了いただき、その後に当社と上場メーカー企業様のご確認を経て正式な稼働を開始しています。
その後、追加で検索順位チェックツールの代替ダッシュボードの構築をご相談し、こちらもおよそ1ヶ月で構築いただきました。
葉井:以前使用されていた検索順位チェックツールを代替する仕組みの開発では、設定を変更するだけで各お客様ごとに専用のダッシュボードが立ち上がる仕組みを設計・構築させていただきました。具体的には、各社のGoogle Search ConsoleのデータをBigQueryに集約し、ユーザーのメールアドレスでアクセス制御することで、その会社のデータだけを表示できるようにしています。
以前ご使用されていた検索順位チェックツールの「キーワードとサイトを登録し、毎日検索順位を収集する」という特性を尊重しつつ、BigQueryにデータを流した後の最適化とデータの抽出性を高める設計が特徴です。
樋口:Google Search Consoleのデータを活用することで月ごとの平均順位などを自動で確認できるようになり、従来のツールよりも効率的かつ正確な情報をまとめられるようになりました。
また、取り組みの当初から「そこまで手の内を明かしてもよいのか」と感じるほど説明が丁寧でかつ柔軟だったことが印象的です。基本的に質問すれば何でも教えていただけるだけでなく、たとえばBigQueryの構成単位をどう設計するか、お客様側で構築すべきことか当社でやるべきかといった、実務的な相談にも的確にアドバイスをいただいています。
西:技術力を武器とする企業にとって、商売道具であるノウハウを開示することは一見すると、自らの優位性を手放すように見えるかもしれません。しかしあえて手の内をお客様に明かすことでお客様のニーズを捉えた設計に磨きがかかり、結果的に当社にも還元されると考えています。生成AIを活用することで課題解決の入口となるような前提知識は簡単に得られる時代ですから、データ活用の原理や設計思想は積極的に共有し、解きにくい案件が残ったときにご相談いただければ良いというスタンスです。
むしろ、私たちが重視しているのは「いかにデータ活用を成果につなげるか」という部分です。どれだけ理論を理解していても、実際の現場でデータを活かせなければ意味がありません。そのため、単なるノウハウの提供にとどまらず、現場の実務に即したデータ設計に落とし込むための伴走支援を意識しています。
データ更新の遅延を解決し、業務効率を大幅改善。AI時代に求められる、理想のパートナー像とは

葉井:上場メーカー企業様におけるデータ活用の基盤構築とレポーティングの仕組み作りから始まり、社内向けの検索順位チェックツールの開発まで伴走させていただきました。現時点でどのような成果が得られましたか?
樋口:上場メーカー企業様の案件は早めに対応する必要があったため、スピーディな進行にとても助けられました。構築いただいたデータ基盤も問題はなく、これまで「待ち時間」が発生していたデータの更新や集計作業がとてもスムーズになり、工数面で大きな改善を実感しています。当初の課題でもあった、データ更新に1日もかかってしまうようなケースは無事に解決でき、上場メーカー企業様が求めるデータ粒度のレポートを引き続き提出できるようになりました。
現時点で内容面は以前と大きな違いはないのですが、今回の取り組みでBigQueryによるDWHを構築したことによってGA4以外のツールやアプリケーション、広告データとも連携できるようになりましたので、データ分析の提案の幅は今後広がると考えています。お客様のビジネス課題に寄り添い、Webサイトの状況に応じて適切な施策を提案し続けていきたいですね。
もうひとつ、以前は社内からデータ活用分野の相談があっても「対応は難しいです」とお断りせざるを得なかったところ、まずは月曜日のトラさんという相談先ができたことは大きな変化だと考えています。
葉井:スキルトランスファーの観点で、実務に活きている場面や手応えについてはいかがでしょうか?
松田:両方の案件で丁寧なレクチャーの時間をいただき、レポート作成やデータの分析まで自分たちだけで完遂できるようになりました。今後、同様の案件が出てきた際に、今回得られた知識や経験は積極的に活かしていきたいですね。
葉井:生成AIの活用が進む中で、データ活用領域で「人」の伴走パートナーと取り組む価値はどんなところにあると感じていますか?
樋口:一番は「信頼」です。私たちはWebサイトを通じてお客様のビジネスを支える立場にあり、万一そこを誤れば信用問題につながります。だからこそ、いくら優秀でもAIにすべての判断を任せるわけにはいきませんし、そもそも現在のAIでは判断を下すこと自体、まだまだ難しいと感じています。
もちろん、単純なデータの収集・分析といった「作業」の領域ではAIが進出してくるでしょう。ただ、「人」が自らデータ基盤を設計・構築し、分析していくことには依然として大きな意味があります。また、生の経験を積んできた専門家だからこそ提示できる、多様で実践的な選択肢はお客様にとって価値あるものです。その点で、月曜日のトラさんの蓄積されてきたノウハウには、強い信頼を寄せています。
お客様が抱える抽象的な課題をデータで解決し、既存のWebサイト制作事業に貢献していきたい
葉井:お客様との取り組みにおいて、データ活用の提案や施策などの展望をお聞かせください。
樋口:月曜日のトラさんと動き出せたことで、当社もようやくデータ活用の第一歩を踏み出せました。今後はとにかく案件を増やして手を動かし、最終的にはお客様が抱えている抽象度の高い課題に対して、データ活用の角度からご提案できる状態にしていきたいですね。
実際に「いろいろなデータをダッシュボードで見たい」というお客様のニーズは確実に存在すると感じています。たとえば、製品別の売上データとWebサイトのデータを紐づけてみたいといった要望をいただいたこともあります。ただ、お客様が本当に求められているデータ分析やデータの粒度・範囲はまだまだ見え切っていない面もあるため、もう少し知識と経験を積んで踏み込んだ提案ができればと考えています。最終的なゴールとして、データ活用の強みを伸ばしていくことでWebサイト制作の既存事業に貢献できればと思います。
葉井:最後にデータ活用に悩む企業の担当者へ、アドバイスをお願いします。
樋口:当社と同じように、これからデータ活用の一歩を踏み出す企業にとって、月曜日のトラさんの伴走支援は特におすすめです。いろいろな相談に乗ってくださる柔軟さがありますし、「まずやってみよう」という段階の企業にとっては心強いパートナーになってくださるのではないでしょうか。
松田:多くの企業が大なり小なり、何らかの形でデータを扱うようになっている現在、データ活用の取り組みは業種・業界問わず、多くの企業にニーズがあると思います。外部へ丸投げするのではなく、自社でしっかりデータを理解し、活用したいという企業にとって、月曜日のトラさんが頼りになる存在だとおすすめできます。
葉井:ありがとうございました!
著者情報
MASAHIRO NISHI
Marketing Strategist / Data Analyst
業界歴16年以上。データ戦略の立案、アクセス解析、 CVR改善、データ活用基盤の構築など、データドリブンなマーケティング組織の構築を支援。電通デジタルを経て2019年にTHE MOLTS参画。
記事をシェア