サードパーティcookieとは? Apple・Googleの規制による影響を解説

西 正広

Marketing Strategist / Data Analyst

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サードパーティcookieとは? Apple・Googleの規制による影響を解説

「サードパーティcookieが廃止されることで、リターゲティング広告が使えなくなる」といったことを耳にした方も多いのではないでしょうか。

実際に、Appleの標準ブラウザである「Safari」ではサードパーティcookieを2020年3月にデフォルトで完全にブロックしています。また、Google Chromeでも2022年を目処に、サードパーティcookieに頼らないWeb上のエコシステムを構築することを宣言しています。

サードパーティcookieは、ログインシステムや広告計測に非常に役立つ反面、ユーザーのプライバシーを脅かす恐れがあることから、Appleを筆頭に規制を強めているという背景があります。

本記事では、サードパーティcookieとは何かといった基礎知識から、Apple・Googleの規制の内容、そして企業の対策方法について解説します。

サードパーティcookie(3rd party cookie)とは?

サードパーティcookieとは、「ユーザーが訪問しているWebサイトとは、異なるドメイン(ホスト)」から発行されるcookieのことです。

この説明だけでは、サードパーティcookieについて具体的にイメージがつかないという方も多いと思いますので、「そもそもcookieとは何か」「cookieにはどのような種類があるのか」について詳しく解説していきます。

そもそもcookieとは?

まずは、「cookie(クッキー)」について正しく理解していきましょう。

cookieとは、Webサイトに訪れたユーザーの情報を、一時的に保存しておくための仕組み(ファイル)です。訪問したWebサイトのサーバー(またはJavaScript)から、利用しているWebブラウザに対してcookieが送られます。

このcookieを用いることで、ページ遷移したり、時間を空けて再びWebサイトに訪れた際(2回目以降のアクセス時)に、同一のユーザーかどうか(正確には同一のブラウザかどうか)の判別を可能にします。

例えば、Amazonや楽天といったECサイトで過去に閲覧した商品や、買い物かごに入れた商品が再びログインした際に残っている、またログイン時に、ID情報の入力が不要になった経験はありませんか。このようにcookieとは本来、Webサイトの利便性を向上させるために開発されたものです。Webサイト側もcookieを用いて、ユーザーの訪問回数やUU数などを計測でき、アクセス解析に利用できたり、閲覧履歴に基づくレコメンデーションに活用できることから、デジタルマーケティングにおいても活用されていた背景があります。

cookieの種類

それでは、本題のサードパーティcookieについて見ていきましょう。実はcookieには大きく分けて2つの種類があります。これらは、どこからcookieが発行されたかによって分けられています。

ファーストパーティcookie(1st party cookie)

ファーストパーティcookie(1st party cookie)は、訪問しているWebサイトのドメイン(ホスト)から直接発行されるcookieのことです。ECサイトのログイン情報や閲覧履歴・カート情報などの保存は、このファーストパーティcookieのデータを用いて行われます。

ファーストパーティcookieは、現段階ではユーザーがブロックしない限りは取得出来る反面、ドメインを横断したトラッキングを行うことができません。

サードパーティcookie(3rd party cookie)

ファーストパーティcookieの対に当たるのが、サードパーティcookie(3rd party cookie)です。「訪問しているWebサイトとは異なるドメイン(ホスト)」から発行されるcookieのことです。

例えば、とあるWebサイトに訪れた時に、訪問したドメインからcookie(ファーストパーティーcookie)が発行されるだけでなく、サイト内に広告バナーが設置されている場合には、広告配信サーバーからもcookie(サードパーティcookie)が発行されます。

リターゲティング広告(追跡型広告)では、このサードパーティcookieを利用し、ユーザーを判別。特定のユーザーのWebサイト上の行動から、ユーザーの属性や興味・関心度の高い広告を配信しています。

サードパーティcookieは、このようにドメインを横断したトラッキングが可能ですが、ユーザーにブロックされやすいという側面を持っています

Apple・Googleのサードパーティcookieに対する規制

近年、プライバシー保護の観点からApple・Googleでは、サードパーティcookieの利用に関する規制を強め、AppleのSafariでは既にデフォルトで全面的にブロック、Google Chromeでは2022年を目処にサードパーティcookieを使用しないWebエコシステムの構築を進めています。

特に規制の元凶となっているのが、サードパーティcookieを利用したリターゲティング広告です。これらの広告は、広告主にとってはターゲティングの精度を高める便利な存在であるものの、ユーザーにとっては必ずしもそうではなく、時に嫌悪感を抱くものや利便性を損なうものになっています。

また、サードパーティcookieを使用せずに、トラッキングを可能にする「フィンガープリント」といった技術に関しても規制が行われています。つまりユーザーの特定ができてしまう技術に関しては、サードパーティcookieに関わらず今後全面的に注意していく必要があります

Apple|Safariでは、サードパーティcookieを全面廃止

先行して対策を始めたのが、Appleです。Appleはプライバシー保護に関して強い姿勢を示しており、公式ホームページには以下のように明記されています。

プライバシーは、基本的人権です。そして、Appleの中心にある大切な理念の一つです。なたのデバイスは、毎日様々な場面で重要な役割を果たしていますが、どの体験を誰と共有するかは自分自身で決めるべきこと。私たちは、あなたのプライバシーを守り、自分の情報を自分でコントロールできるようにApple製品を設計しています。

引用:プライバシー – Apple(日本)

Appleの標準ブラウザである「Safari」では、ドメインを横断するトラッキングを防止する機能である「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」を搭載。2017年から徐々に規制を強めていましたが、2020年3月のアップデートによりサードパーティcookieをデフォルトで全面的にブロックしました

また、コンバージョントラッキングを始めとする広告の効果計測のために、cookieの代わりに用いられていた「ローカルストレージ」に関しても、即時削除されるようになりました。(※一定の条件を満たした場合には、7日まで保持できる。)

cookies for cross-site resources are now blocked by default across the board. This is a significant improvement for privacy since it removes any sense of exceptions or “a little bit of cross-site tracking is allowed.”

引用:Full Third-Party cookie Blocking and More | WebKit

Google|2022年を目処にサードパーティcookieを段階的に廃止

Googleでは、ブラウザ「Google Chrome」において、2022年までに段階的にサードパーティcookieを廃止することを公表しています

その一方で、サードパーティcookieに頼らずに広告トラッキングができるWebエコシステム「プライバシーサンドボックス」の構築にも言及。サードパーティcookieの廃止に加えて、個人データの使用方法に関して透明性を高めることや、選択肢を持たせることに取り組んでいます。

After initial dialogue with the web community, we are confident that with continued iteration and feedback, privacy-preserving and open-standard mechanisms like the Privacy Sandbox can sustain a healthy, ad-supported web in a way that will render third-party cookies obsolete. Once these approaches have addressed the needs of users, publishers, and advertisers, and we have developed the tools to mitigate workarounds, we plan to phase out support for third-party cookies in Chrome. Our intention is to do this within two years.

引用:Chromium Blog: Building a more private web: A path towards making third party cookies obsolete

サードパーティcookieへの規制に企業はどう対応すべきか

サードパーティcookieへの規制が強まる中、企業としてどのように対応すべきか悩まれる方も多いのではないでしょうか。実際のところ、一企業として規制強化の流れに抗うことは難しく、各ブラウザの対策に適応していくことが求められます。

その際に、頭に入れておきたいのが、cookie規制の流れをしっかりと理解することです。Apple・Googleともに、ユーザーの個人データに関して、「(データ使用の)透明性を高めること」「(データ使用に関して)ユーザーの選択肢があること・コントロールできること」を軸に対策を進めていきます。

そのため、サードパーティcookieの代替的な技術を用いることでトラッキングする方法に関しても、中長期的に規制される恐れがあります。規制の抜け道を探すのではなく、各媒体や計測ツールが推奨しているタグの設定を行うなど、企業はユーザーの個人データの扱いについて適時対応していく必要があるでしょう。

また、サードパーティcookieを用いた広告配信(リターゲティング広告)は、今後継続が難しくなります。現在リターゲティング広告を配信している企業は、運用を見直す必要があるでしょう。

Googleが2019年に行ったサードパーティcookieとメディア収益に関する調査によると、サードパーティcookieを用いない広告は、用いた広告と比較して52%の収益減に繋がることが明らかになっています。これはメディア側だけでなく、広告ビジネスを行うGoogleにも大きな影響を与えると言えます。Googleはサードパーティcookieを利用せずに、広告のターゲティング精度を担保することが予想されますが、現段階では不透明なため、機械学習を用いてターゲティングの精度を高めることや、純広告的な運用で成果を高めていくことが求められるでしょう。

まとめ|サードパーティcookie規制への対応は遅かれ早かれ求められる

本記事では、サードパーティcookieとは何かといった基礎知識から、Apple・Googleの規制の内容、そして企業の対策方法について解説しました。

本来は、Webサイトの利便性向上のために生まれたcookieという技術ですが、広告にその技術が転用されたことにより、ユーザーにとって厄介な存在になってしまいました。

特にサードパーティcookieはユーザーが意図しない形で、個人情報が収集される恐れがあるので、AppleやGoogleはプライバシー保護の観点から規制を強めています。

これらの影響で、現在の形でのリターゲティング広告は少なくても2022年には使えなくなるため、広告運用でリターゲティング広告を活用している企業に関しては運用方針の見直しが求められます。

また広告計測に関しては、各媒体や計測ツールができるだけ正確に計測するためのタグの実装方法を公開しています。それらをチェックすると共に随時対応していくことが大切です。

この記事を書いたメンバー

MASAHIRO NISHI

西 正広

Marketing Strategist / Data Analyst

1983年生まれ。大手不動産賃貸事業会社におけるWebディレクション・デジタルマーケティング業務後、インターネット専業広告代理店・株式会社電通デジタルにてアクセス解析・DMP・レコメンデーション・BIツールなどの導入・活用支援に取り組む。 2019年7月よりMOLTSに参画し、2020年より子会社KASCADEを設立し、取締役に就任。データに基づくサービス改善、ビッグデータ活用のコンサルティング、インハウス運用、データドリブンなマーケティング組織の構築を支援する。

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