ディスプレイ広告を改善させるには?運用時に見るべき指標と5W3H

本記事では、ディスプレイ広告を開始したが効果が上がらないと感じている方に向けて、ディスプレイ広告の改善方法について説明します。
見るべき指標や、具体的にどこから手を付けていくのかをご紹介します。
ディスプレイ広告の成果改善における2つの大前提
前提として、ディスプレイ広告はリスティング広告同様、あくまでマーケティングの手法の1つであることを覚えておきましょう。
最適なコンテンツに最適な運用が組み合わさって効果が出るという点を軸に置きながら、運用し続けることが重要です。
また、効果検証をしてから、次のアクションに繋げることも大切です。
ついつい、あれもこれも気になって一気に変更しようとしがちですが、大事なのはアクションに対して効果検証をし、次のアクション(検証内容の追加や修正、もしくは別の方法で検証)に繋げていくとことです。
そのためには、全体成果への影響の大きいものから、一つずつ効果検証を進めましょう。
ディスプレイ広告を改善する指標
まずは代表的な改善軸に沿って、改善策を紹介します。
▼CVを増やしたい場合
ターゲットユーザーの改善:よりCVへの確度の高いカスタムオーディエンス、リターゲティングを実施
配信先・フォーマット改善:Yahoo!TOP面への配信を拡大・強化
▼CPAを下げたい場合
ターゲットユーザーの改善:年齢や性別の不明ユーザー層を除外
配信先・フォーマット改善:アプリ面を除外
ファネル別のターゲティングは、下の画像をご参考ください。

その他、運用のレバーは複数ありますので、次で具体的なポイントを紹介します。
ディスプレイ広告のプランニングで意識すべき5W3H
本章では、すでにご紹介した2点以外にもディスプレイ広告で改善できる具体的なポイントを、プランニングの際に意識すべき5W3Hに分けて解説します。
ターゲットの改善 ┗Whom:年齢・性別・興味関心・サイト来てくれた人 ┗When:時間・曜日・前回の訪問から一定期間 ┗Where:プレースメント ┗アプリ/WEB、デバイス ┗How many:フリークエンシー |
クリエイティブの改善 ┗What:クリエイティブ/LP |
予算・入札の改善 ┗Why:〇〇してほしくて/KPI・KGI ┗How much:入札/予算 |
媒体の機械学習の活用による改善 ┗How:自動入札/下書きとテスト/成果報酬型 |
When(配信するタイミング)
曜日・時間帯ごとの強弱
目的と実績に応じて曜日・時間帯ごとに入札の強弱を付けたり、配信を一定の時間帯に限定することが可能です。ターゲットの属性から考えて、夜間の時間帯に配信したいがその前に日予算に達し配信されていない場合や、休日に重点的に配信したい場合などに見直しましょう。
曜日・時間帯ごとの成果は管理画面で確認できるほか、レポートの取得も可能です。
GDNでは、曜日・時間帯ごとの入札調整比率の変更はキャンペーン > 広告のスケジュール > 該当の曜日・時間帯の入札単価調整比をクリックして変更できます。
除外する場合は、引き下げ率を100%にすることで可能です。

YDNでは、キャンペーン > 広告グループ > 曜日・時間帯タブ > 該当の入札価格調整比率をクリックして変更できます。
除外する場合は、引き下げ率を100%にすることで可能です。

リターゲティングにおけるリーセンシー期間の設定
自分の商材における、ユーザーが広告に接触してからCVするまでの検討期間に合わせて、リーセンシー期間の見直しを行いましょう。
Where(配信先)
配信先デバイス・ネットワーク・プレースメントごとの入札調整と除外設定
デバイスごとの成果から入札調整を行うだけでなく、配信されているが効率が合わない特定のプレースメント(ページ、サイト、アプリ、動画)を配信先から除外設定を行ったり、アプリ面の効果が悪く全体の効率に影響している場合に除外することで、効率の改善につながります。
デバイス・ネットワーク・プレースメントごとの成果の確認と設定
ここでは、GDNでの確認と設定の方法を紹介します。
GDNでは管理画面とレポート画面で確認することができます。成果に応じて抑制・除外設定を行いましょう。
設定方法を以下で説明します。
デバイス調整比率の変更はキャンペーン > デバイス > デバイスごとの入札単価調整比をクリックして変更できます。除外する場合は引き下げ率を100%にすることで可能です。

アプリやプレースメントの除外は、プレースメント > 除外設定 > ペンマークをクリック > プレースメントを除外をクリック、で設定できます。

また、複数のキャンペーンに、同じアプリやプレースメントを除外設定したい場合は、ツール > 共有ライブラリ > プレースメント除外リスト、プラスマークをクリックし新しいリストを作成することで効率良く設定・管理が可能です。


Whom(誰に配信したいのか)
年齢/性別/世帯年収/家族構成
ターゲットとしたい年齢・性別などの設計が正しいかの再確認をするとともに、配信結果により比率の強弱を付けたり、除外することで効率の改善を図りましょう。
GDNのみの機能として、子供の有無や世帯収入での設定・入札調整も可能です。
興味関心、類似ユーザー、拡張の範囲
興味関心・トピック(配信面のカテゴリ)・特定のキーワードに関連するサイト面への配信など、様々なターゲティングの中から、最適な組み合わせを見つけましょう。
類似ユーザー機能によるターゲティングを使用して、既存のリマーケティングリストのユーザーと同じ特徴を持つユーザーをターゲットに設定することも可能です。
こちらはGDNのみの機能となりますが、ターゲティングのリーチを自動的に拡張することが可能で、逆に無効とすることで、意図しない拡張を防ぐこともできます。
What(何を見せ、どこに誘導するのか)
クリエイティブ・広告フォーマットごとの検証
広告フォーマット(テキストや画像、レスポンシブ)ごとの成果、バナーサイズやレスポンシブディスプレイ広告のアセットごとの成果に応じて停止や差し替えを行いましょう。
誘導先・LPの検証
ユーザーにとって最適なリンク先を設定しているのか、またページがユーザーにとって利便性の高いものであるかを見直し、LPトライアルやページの改修を行いましょう。
Why(何のために配信するのか)
配信の目的
大前提として、の話になってしまいますが、「どのようなユーザーに配信したいか」がずれていると、細かい設定の修正を行っても、根本の解決になりません。
特に代理店に運用を委託している場合など、目先の数字にばかり目が行き、事業の目的や広告配信におけるミッションなどの共通認識が持てているか/ずれてきていないか、今一度見直しましょう。
KPI・KGI
KGIを達成するために、現在の予算やKPIの設定が適正なものであるか見直しましょう。
リスティング広告と同じ目標設定で、効果が悪いと判断して停止してしまうケースが見られますが、リスティング広告とディスプレイ広告で同じ効率を目指すのではなく、リスティング広告とディスプレイ広告を組み合わせることで効果を最大化させるために双方を運用していくことが大切です。
また、ディスプレイ広告の中でも、最低限リターゲティングとそれ以外のターゲティングの2つに分けて評価していくことが必要です。
KPIの定め方については、別記事「リスティング広告の適正な広告予算とは。KPIの定め方について解説」もぜひ参考にしてください。
How much(いくらで配信するのか)
予算
キャンペーンに、予算による配信制限がかかっていると、1日の推奨予算より低いことから、1日かけて予算を消化できるよう、広告の掲載頻度が抑制されます。
予算の増額の検討を行い、増額できない場合は入札単価の引き下げや、曜日・時間帯やプレースメント、年齢性別などの入札単価調整比を下げることで、制限された予算内で最大限の効果を出せるよう調整しましょう。
How Many(1人のユーザーに、何回配信するのか)
フリークエンシーの設定
コンバージョン達成までの広告表示回数を確認し適切なフリークエンシーを設定することにより、ユーザーに必要以上の広告が表示され嫌悪感を持たれることを防げるほか、購買見込みの低いユーザーへの掲出を減らし費用を押さえることができます。
CV除外
リピートしない商材の場合、全体にCVユーザーの除外を行いましょう。
How(最適化と検証)
目的に応じた最適化の設定
キャンペーンで重点的に獲得したい要素に応じて最適な入札戦略を設定しましょう。
▼コンバージョンを重視する場合
目標コンバージョン単価(CPA)/目標広告費用対効果(ROAS)/コンバージョン数の最大化/コンバージョン値の最大化/拡張クリック単価(eCPC)
▼クリックを重視する場合
クリック数の最大化/個別クリック単価制
▼露出度を重視する場合
インプレッション単価制(CPM)/視認範囲のインプレッション単価制(vCPM)
また、GDNにおいて、スマート ディスプレイ キャンペーンまたは標準のディスプレイ キャンペーンを使用している場合は、クリックではなくコンバージョンに対するお支払い(成果報酬)が可能です。
下書きとテスト機能で検証するメリット
入札戦略を切り替える際、Google 広告の下書きとテスト機能が役に立ちます。
下書きを使って、キャンペーンに複数の変更を準備し、変更を元のキャンペーンに適用したり、新しいテストを作成したりすることができます。テストを実施することで、キャンペーンに変更を適用する前に掲載結果を測定し、変更することでどのような影響が生じるかを把握できるようになります。
ディスプレイ広告を成功させるために
以上、ディスプレイ広告における改善点と見るべきポイントを説明してきました。
広告は、あくまでサービス情報を伝えるためのツールです。
最適なコンテンツに最適な運用が組み合わさって効果が出ることを念頭に置き、運用することが大切です。
改善の施策は全体成果に影響の大きいものから一つずつ実施し、効果検証し、次のアクションに繋げましょう。
この記事を書いたメンバー

YUKA NAGASAWA
長澤 友佳
Marketing Director / Operation Specialist
1983年生まれ。百貨店での店長職、音楽業界での業務に従事した後、デジタルマーケティング業界へ。 株式会社アイレップで大手総合通販クライアントの広告運用業務、 ベンチャー企業にて大手クライアントのリスティング広告・ディスプレイ広告・ソーシャル広告の運用を経験。 2018年1月にMOLTSに参画し、子会社STAUTに所属。 現在は広告運用のバックヤードの責任者として、クライアントの広告運用実務のほか、広告代理店のオペレーション最適化支援や、集計業務・データ分析効率化などを担う。