アップデートでCV数激減から1年で売上1.5倍回復
商材開発と視点シフトで業績V字回復をもたらした変革

アンテナやエアコン、インターネット回線用のLANケーブル通線工事など、日々の生活に必要不可欠なインフラ工事を手掛け、Google Mapで平均4.7の高評価を得ている株式会社ライフテックス。
弊社との取り組みは2021年からスタートし、インターネット広告中心の集客から、コンテンツSEOを主軸としたオウンドメディア施策へと転換。マーケティング未経験者を含めた3名でプロジェクトを開始し、CV数がほぼゼロの状態から、約4年で月間1800件以上のCV数が獲得できるようになり、年間3.2億円以上もの売上創出ができるようになりました。
<過去のお取り組み実績>
しかし2024年、Googleのコアアップデートの影響で右肩上がりのCV数獲得に黄色信号が灯ったことを受け、集客戦略の立て直しとして再度コンサルティング支援をさせていただきました。
今回は株式会社ライフテックス代表取締役の松田さま、Webマーケティング領域の業務に取り組む柳瀬さま、そして本案件を担当したTHE MOLTSの永田さおりを交え、これまでの取り組みを振り返りました。
Googleコアアップデートで大揺れのオウンドメディア。毎月15%のCV数が減少し、早急な立て直しが求められた
永田:弊社との取り組みは広告依存から脱却し、コンテンツSEOによる集客を強化する目的で2021年からスタートしました。運用に力を入れ始めてから4年目が経ちましたが、今の感想をお聞かせください。
松田:弊社が展開しているアンテナ工事、エアコン設置、インターネット回線用のLANケーブル通線工事は、オウンドメディアによるマーケティングととても相性が良かったと実感しています。これらのサービスは生活に密着したところにあり、何か困ったことがあればまずは検索する人が多いのです。そうした検索に対して有益なコンテンツを提供し、必要だと感じていただければ弊社のサービスへ誘導するという自然な流れが作れていると思います。
永田:コンテンツSEOに取り組んできてから右肩上がりで集客が伸びていましたよね。しかし2024年4月のGoogleコアアップデートをきっかけに夏頃までCVが低迷していきました。
松田:私たちのオウンドメディアが何か悪いことをしたわけではなかったので、とてもびっくりしました……。Googleコアアップデートによって検索アルゴリズムに変化があり、大企業やJTCなどの大手が運営・管理するWebサイトの検索順位が優遇されるようになった影響で、相対的に弊社の記事全般の検索順位が下がってしまったのです。毎月15%もの勢いでCV数が落ちていくレポートを眺めていると、これまで積み上げてきた記事は無駄になってしまうのかと恐怖したくらいです。
ちょうどその頃はオウンドメディアの成功を受け、アフィリエイトによる収益源の確保や、組織体制の調整を進めている最中だったこともあり、より強くショックを受けました。これは早急に手を打たねば手遅れになると感じ、永田さんにご相談することにしました。
施策単体から経営者目線への転換。顧客単価を上げることで、CV1件あたりの価値を向上させ、低迷していた売上が回復の兆しを見せ始めた
永田:以前は新規で記事を制作していくことに注力してきましたが、Googleコアアップデートによる影響を受けて一度立ち止まって整理する必要が出てきましたよね。まずはパニックにならずに落ち着くべきとお伝えしました。
松田:新規記事を公開すればするほどCV数が伸びていたところ、いきなり数字が落ち込んできました。運営してから初めての経験だったので「どうしよう、どうしよう」と……。そこから永田さんに全体を見直し、立て直すための戦略を指示いただきました。
まずアフィリエイトのプロジェクトやチーム体制の変更はいったんストップし、コンテンツSEOの立て直しにリソースを集中させるべきと永田さんから指示を受け、まずは、どこまで現状回復できるかを判断するために既存記事のリライトに着手しました。リライトを進めていき、下落幅の50%を取り戻す程度までは回復ができたのですが、完全回復とまではできなかったため、より本質的な立て直しが求められる状況でした。
永田:手は尽くしたものの、下落幅の50%までしか戻らず、以前に獲得できていたCVの水準まで回復するにはオウンドメディアを新たに立ち上げていくべきかといった議論も出ていました。しかしそこで私が考えたのが、オウンドメディアだけでなんとかしていこうと考えるのではなく、経営全体を見直すことでどのようにしてこの危機的状況を打破していくのか、でした。
現状、1CV数の価値は「客単価✕購入回数」という計算式から導かれています。ライフテックスさんの主力サービスであるアンテナ工事は、基本的に1物件につき1回限りでの購入で完結することがほとんどでしたので「購入回数」は動かせません。
そこで、注目したのが、変数として動かせそうな「客単価」です。
Googleコアアップデートの影響もあり、どこまでCV数を戻すことができるのか現状では判断がつきにくかったこともあり、既存のCV数をベースとしながらも、客単価を上げるための施策を検討することにしました。
松田:CV1件の価値を見直し、客単価を上げる施策としてご提案いただいたのが「新築応援キャンペーン」でしたね。これまでは、アンテナ工事、エアコン設置、インターネット回線用のLANケーブル通線工事の3つのサービスは、別々のCV数として数字を追っていました。
そこで今回の施策では、東京・千葉・神奈川・埼玉の新築戸建てに引っ越す方をターゲットに絞り、3つのサービスを1つのパッケージとしてユーザーに提供していくというものです。
つまり、これまでCV1件につき1つのサービスしか対応していませんでしたが、この施策におけるCV1件は、3つのサービスの商談につながる可能性が生まれたのです。単純に考えれば、CV1件の価値が3倍になったとも言い換えられます。
自社ならではの特性を活かし、地道で泥臭い施策を積み重ねた結果、得られた成果
永田:リライトや「新築応援キャンペーン」の施策は、Googleコアアップデートの影響で落ち込んだCVを回復させるための施策でした。その他で印象に残っている取り組みはありますか?
柳瀬:Googleコアアップデートでは、大手企業のWebサイトが優遇されるようなアルゴリズムに変更されたとのことでした。そこで永田さんと一緒に考えたのが、私たちライフテックスだからこそできるコンテンツ制作に注力するというローカライズ施策でした。地域名はとても多く、作成しなければならない記事の数も多くはなってしまうのですが、一定数のCVが確実に獲得できること、検討度合いが高い顕在層のCVが獲得できることが特徴です。
私たちは「地域ページ」と呼んでいるのですが、対策するキーワードに地域名を含めたコンテンツを一つひとつ、地道に制作していきました。当然ながら、記事まるごとコピー&ペーストして量産するようなことはしていません。地域ごとにしっかりオリジナルの要素を入れ込み、内容が事実かどうかファクトチェックし、実際の施工事例も紹介しながら記事を制作しています。
永田:コンテンツを地道ながらも一つひとつ丁寧に積み上げ、検索するユーザーにとって価値のある情報を発信していくことが重要であり、その結果が検索順位の向上にも寄与してくるのではないかと考えています。こうした取り組みは、皆さんが一つひとつのコンテンツと真摯に向き合い、愚直に努力できる方々ばかりがいらっしゃるからではないかと思っています。
経営視点でマーケティングに向き合う姿勢をチームへ浸透
永田:当時、チーム体制をマネタイズチームとグロースチームの2つで分けていましたが、Googleコアアップデートによってひとつのチーム体制に戻しましたよね。2024年の取り組みの中で、チーム体制はどのように変化しましたか?
松田:2024年は心機一転、新しいメンバーでの再挑戦になりました。弊社では、社会人未経験の新卒も採用しており、教育の観点からも永田さんには厳しめに接してもらっています。本当は少々難しい挑戦であっても「このチームなら問題なくいける」と自信を持たせるようなコミュニケーションとKPI設定が印象的です。
もうひとつ、印象に残っているのがオウンドメディアだけの視点に留まるのではなく経営視点を持ってマーケティングを考えることをチームに浸透させている点です。たとえば私も参加する打ち合わせではCV数に加えて、さらにその先の今期の売上まで言及してもらっています。
自分たちの仕事がどのように事業へ貢献しているかを知ってもらうことは、自分の仕事の意義を認識してもらうために重要だと思っています。将来的には、自走して運営に取り組み、しっかりKPIを達成できるチームに成長していくことを期待しています。
コアアップデート以前のCV獲得水準までV字回復。事業全体も1年で1.5倍の成長を実現
永田:リライトや「新築応援キャンペーン」、地域ページの作成、そして新しいマーケティングチームの挑戦など、2024年もさまざまな施策に取り組ませていただきました。2024年全体を総括して、どのような成果が得られましたか?
松田:やはりGoogleコアアップデートによるCV数の失速は痛手で通年のKPI達成は難しいものがありました。しかし、リライト施策だけでも下落幅の50%を回復したり、「新築応援キャンペーン」の実施後はコアアップデート以前の水準までトータルのCV数を回復できたりと、着実にV字回復ができつつある状況だと思います。
また「新築応援キャンペーン」も狙い通りです。もともとはエアコン設置に興味はあったが、こちらからキャンペーンのご案内をすると実はアンテナ工事の需要もあったケースがいくつかあり、クロスセルの成功で客単価を上げることに成功しています。そして事業全体の売上も、2023年の1.5倍まで成長することができました。リードを増やす、商談を増やすことに永田さんには貢献いただいたので、お客さまにしっかりサービスを提供できる協力会社さんや職人の方々といった施工側のリソース確保を進めていきたいと思います。
柳瀬:永田さんのアドバイスを受けて、Google Mapの口コミ強化にも力を入れたことで、平均4.7(2025年3月現在)の高評価を獲得しています。もちろん架空アカウントを作成して高評価を稼いだり、口コミ業者による水増しもありません。
具体的には、エアコンやアンテナの設置工事後、精算のタイミングにライフテックスのGoogle Mapに遷移するQRコードが記載したチラシをお渡ししています。ここでもGoogle Mapの規約で違反されているような5つ星をつけるよう頼んだり、粗品やクーポン券を渡したりといったことはしていません。あくまでもお客さまの善意で一つひとつ評価を獲得しています。
永田:Google Mapの口コミは、特に指名検索に効果を発揮します。結果として、Webサイト自体の価値が上がり、オーガニック検索の強化につながる、良い施策だと思います!
オウンドメディアという資産を活かし、さらなる事業展開を
永田:2024年はGoogleコアアップデートやチーム体制の再構築で大変な1年でしたね。改めて、2025年以降の展望をお聞かせください。
松田:現在は家庭向けのアンテナ、エアコン設置工事を主に手掛けていますが、今後はBtoBの法人向けのサービス展開も検討していきたいですね。そして事業の拡大はもちろんのこと、電気通信工事業が抱える課題解決にも取り組んでいきたいですね。今、消費高齢化の影響でアンテナやエアコンの工事を担う職人がどんどん減っています。特にエアコン需要が高まる夏場は職人不足が深刻です。
上手くビジネスとして取り組めばしっかり稼ぐことができる仕事なのですが、仕事の魅力が上手く伝わらず……。そこで工事を担う職人を育成するため、人材スクール事業を展開していきたいと考えています。
永田さんのおかげで、オウンドメディアで集客できる体制を得られたのは弊社にとっての財産です。この財産をしっかりと活かすためにも引き続き積極的な事業展開に取り組んでいきます。
著者情報

SAORI NAGATA
Strategy & Project Manager
業界歴10年以上。オウンド・コンテンツマーケティングを中心に100社以上を支援。現在はデジタルマーケティングの立ち上げから実行、組織開発・コミュニケーション設計までの総合支援を行う。
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