3ヶ月で目標達成、半年で倍の相談数を創出
LIGブログのコンテンツSEO改善プロジェクト
社名の由来でもある「Life is Good for Customer」を企業理念に掲げ、Webサイトの制作やクリエイター向けスクールの運営、そして企業向けのシステム開発事業を手掛ける株式会社LIG。2007年の創業当初より情報発信を続けてきた「LIGブログ」によるオウンドメディア施策を中心にマーケティングに取り組む同社では、一時的にSEO担当者が不在となったことをきっかけに、システム開発事業のお問い合わせ数の向上とインハウスマーケティング部の立て直しを目的に、THE MOLTSにお声がけいただきました。
今回は同社でLIGブログ編集長を務める齊藤さま、インハウスマーケティング部の井上さま、そして本プロジェクトを担当したTHE MOLTSの岸 晃を交えて取り組みを振り返りました。
LIGブログやWebサイト制作だけでなく、教育事業やシステム開発事業を展開する株式会社LIG
岸:LIGさんといったら、やはりWebサイトの制作や「LIGブログ」のイメージがあります。私がまだ大学生だったころから「LIGブログ」は目にしていました。改めて、現在のLIGさんの事業についてお聞かせください。
齊藤:岸さんの持たれていたイメージの通り、特にIT業界からは、創業時から更新し続けているオウンドメディア「LIGブログ」や、「LIG=Web制作」を想起いただくことが多いですね。ただ現在は、Web制作事業以外にも教育事業や、今回のお取り組みの対象となるシステム開発事業を手掛けています。
このシステム開発事業では、さまざまな業界、業種の企業のWebサービスや基幹システムなどの新規開発、保守運用を提供しており、これまでWeb制作で培ってきたUI/UXのデザイン力を活かしていることが強みです。実は弊社は現在、システム開発事業の売上比率が高く、フィリピン・セブ島に140名超のエンジニアが在籍する開発拠点を置くなど、全社を挙げて注力しています。
岸:インハウスマーケティング部では、どのような指標を置き、どのような施策に取り組んできたのでしょうか?
齊藤:弊社にはインハウスマーケティング部という3つの事業を横断してマーケティング活動に取り組む部署があり、「LIGブログ」によるオウンドメディア施策を主に取り組んでいます。特に部署として追いかける指標として、全事業のお問い合わせ件数を置いていたのですが、システム開発事業だけ目標に対してお問い合わせ件数がショートしているという状態が長く続いていました。
Web制作事業はこれまでの実績や会社としてのイメージがあり、教育事業では市況感の追い風と、マーケティング成果は好調でしたが、システム開発事業だけは目標未達というもどかしさを感じていました。そうした状況と重なるように、オウンドメディア施策のSEOを担っていたメンバーから受け取ったのが、退職の申し出だったのです。
井上:私は以前の部署で、お客さまが運営するオウンドメディアのインタビュー記事の制作を主に担当しており、SEOの知識と実績を身に着けたいと考えてインハウスマーケティング部に異動してきました。異動してきた当時、5年以上はSEOの経験を積んできた先輩社員が在籍していたのですが、タイミングが悪くちょうど退職のタイミングが重なってしまい……。
その結果、「LIGブログ」で狙っていくキーワードの選定や記事内のコミュニケーション設計、リライト施策、フォーム改善といったオウンドメディア施策を私一人でリードするのが難しくなり、お問い合わせ件数が次第に減少していく可能性が出てきたのです。
齊藤:インハウスマーケティング部にSEOの知識を持つメンバーがいない状態だと、お問い合わせ件数の減少だけでなく、異動してまだ間もない井上をSEOのプロに育てる環境がないことにつながるため、危機感を覚えました。
そのため、前任の社員から退職の意向を受け取ってからすぐにオウンドメディア施策の支援をお願いできるパートナー会社を探すと意思決定しました。
マーケターに求められる根性とやり切る力。成果のために、いかに粘り強く軌道修正できるか
岸:今回の取り組み以前から、弊社の寺倉とは面識があったと聞いています。THE MOLTSに対してはどのような印象をお持ちでしたか?
齊藤:THE MOLTSさんに対しては以前からバッチバチに信頼感を抱いていました。創業者の寺倉さんがもともと弊社の執行役員を務めていたことは知っており、当時は直接接点がなかったものの、すごく厳しい人だと噂で聞いていました(笑)。マーケター向けのインタビュー記事企画で寺倉さんに取材したり、過去に「LIGブログ」の抜本的な運営体制の改革にコンサルタントして携わっていただいたりと、何度か仕事で関わる中で「成果へのコミット」が抜群に強いのだと感じ、そこから信頼感が高まっていました。
また、SEOに対する知識や実績はもちろん、テクニックだけでなくオウンドメディア施策で成果を出すためのチーム作りや社員のキャリアを考えたアドバイスなど、組織としてSEOをワークさせ、成果を出す視点があるように感じています。その実例として、寺倉さんの指名される形で私が「LIGブログ」編集長代理を担うことになり、さらに寺倉さんからの提案で散らばっていた広報担当やデザイナーをひとつのチームにまとめることになりました。こうした評価から、目の前の数字を達成しつつも井上のキャリアアップに対するサポートも期待し、THE MOLTSさんにお声がけしました。
岸:目先の数字としてお問い合わせ件数を獲得しつつ、インハウスマーケティング部の体制強化を目的としてご相談いただきました。お話の中で出てきた「成果へのコミット」を体現するためには、どういう要素が重要だと考えていますか。
齊藤:「根性」や「やり切る力」、ちょっとかっこよく言い換えるとGRIT(グリット)でしょうか。これは寺倉さんをはじめ、THE MOLTSさん全体が持ち合わせているマインドだと思います。どんなに腕のいいマーケターでも読み間違えて施策を外すことはあるかと思いますが、大事なのはいかに粘り強く軌道修正をしていくか、つまりは根性です。
もうひとつのポイントは、検索順位といった細かい数字を伸ばすのではなく、経営者視点に立って事業の数字を伸ばすことにこだわる姿勢です。こうした“モルツイズム”は寺倉さんだけでなく、THE MOLTSさん全体から、そして寺倉さんから推される形でご紹介いただいた岸さんからも感じられました。
岸:社内の稟議や合意形成はどのように進められたのでしょうか?
齊藤:THE MOLTSさんのご提案は、経営や現場の状況をもとに戦略と施策を柔軟に組み替えていくことが特徴です。成果を出すための取り組みなので納品ベースの仕事ではなく、「〇本の記事を納品する」といった必ず成果物がある施策ばかりではありません。
ただ、やはり明確な成果物や施策があらかじめ判明していないと、経営層の理解を得て稟議を通すのは簡単ではありません。現に経営陣からは「具体的な成果物はなに?」と突っ込まれましたね(笑)。ですが、事前に定義された成果物が正しく納品されることは、必ずしもTHE MOLTSさんが成果を出すことの必要条件ではないと重々承知していました。
そこで今回のケースでは、そもそも前任担当者の退職を受けての取り組みですので、浮いた人件費を充てること、もし3ヶ月で成果が現れなかったら取り組みを停止することを条件に決裁を通すことができました。
努力が数字に表れない時期を乗り越え、メディアのコミュニケーション設計やリライト施策で成果を改善
岸:2024年5月から取り組みがスタートし、最初の2〜3週間でオウンドメディア戦略のリプランニングを進めました。「LIGブログ」で今後どのようなキーワードを狙い、どのようなリソース配分で記事を制作していくのか、また記事コンテンツ以外でも問い合わせ数を増やすためにやるべき施策を検討して大枠を決め、6月以降から施策を進めましたね。
井上:いままではどちらかと言えば、検索順位をキープすること、対策するキーワードを広げていくことを中心に施策を進めていました。岸さんの場合、SEOの先のお問い合わせ件数をいかにして増やし、新規売上につなげていくかという視点から施策が組み立てられていたことが印象的でした。
取り組みのファーストステップとして、まずは岸さんと頻繁にコミュニケーションしながら既存記事の状況分析から着手しました。どのページを起点として何件問い合わせがあったのか、過去1年分のデータを割り出し、数値状況を把握した上で優先度を定め、記事コンテンツやCTA、フォームの改善などをスピーディーに進めていきました。
ただ、SEO施策の場合、すぐには成果に表れないことはよく理解はしていたものの、なかなか数字に成果が表れない苦しい時期が1〜2カ月ほどありました。そこで岸さんと改めてご相談し、2024年7月以降に記事コンテンツの制作フローを見直したことがターニングポイントでしたね。具体的には、以下のようなコミュニケーション領域の施策とリライト施策を地道に実施しています。
<コミュニケーション領域の施策>
・ユーザー理解が十分ではなかったため、営業担当へのヒアリングやMAツール内に蓄積された問い合わせログの分析を実施した
・ユーザーの態度変容に最適なコミュニケーションを地道にチューニングし続けた
<リライト施策>
・THE MOLTSに提供いただいた骨格案作成フォーマットを使用し、各記事の執筆担当者がリライト案を作成した
・リライト実施の前に、毎週リライト案のフィードバック会を開催し、岸さんとメンバー間でより良い改善案を協議した
こうした目の前の施策に取り組みながらも、フォーマット化や体系化を並行したことで再現性をもって施策に取り組めるように。私自身、SEO施策について学びながら自分の成長もとても強く感じました。
岸:記事の制作フローの改善と並行してCTAの改善も進行しました。本来はWeb制作事業・教育事業・システム開発事業それぞれのターゲットやコミュニケーションのあり方も違うため、記事内のCTAやお問い合わせフォーム内の訴求内容や記入する項目も違ってきます。
しかし以前は各事業のお問い合わせフォームがひとつにまとまっており、ターゲットであるシステム開発事業に興味を持っている方々に対して最適なコミュニケーションになっていなかったため、新たにお問い合わせフォームを作成しました。CTAやお問い合わせフォームの改善だけでも一定お問い合わせ数が伸びたので、効果を感じています。
CTAやお問い合わせフォームの改善と同時に記事の掲載順位も上がっていき、9月以降から一気に問い合わせが伸びていきました。
井上:以前は月次でざっくりとした数字を集計しているだけという状況でしたが、現在は月次や週次、記事別、サイト全体でのパフォーマンスや掲載順位、サイトへのセッション数に加え、CTAのクリック率やコンバージョン率まで細かく追えるようになりました。週に1回のミーティングでは、こうした数字をベースに会話できるようになっています。
取り組み3ヶ月後に目標を達成し、その後も+120%弱で目標継続達成。別部署の役職者からも評価の声
齊藤:今回の取り組みが始まったばかりの2024年5月頃は、システム開発事業に対しては毎月10〜15件ほどの問い合わせがありました。当初より目標として毎月20件の問い合わせ獲得を掲げていましたが、取り組みの3ヶ月後である2024年8月には達成し、その後は9月に25件、10月に31件と、月によって波はありつつも+120%弱で達成し続けています。
特に伸びているのがやはり「LIGブログ」経由の問い合わせで、以前は毎月3件ほどしか発生していなかったのですが、現在は1ヶ月で10件と、以前の3倍強の問い合わせを獲得する月もあります。初めて目標を達成した8月以降も安定して問い合わせを獲得できているので、明らかにSEOに注力した成果だと考えています。
岸:問い合わせの目標に対してショートしている状態がしばらく続いていたので、目標を達成する成功体験をチームの皆さんと一緒に積んで、マーケティング施策に取り組む自信につなげていただきたいなと考えていました。
「LIGブログ」記事の作成やCTAの改善、フォームの改善、そしてコミュニケーションの最適化などを改めて再設計させていただき、一つひとつの施策を愚直にやり抜いたことで今回の成果に繋がり、一安心しています。今回の取り組みに対して、経営層からはどのようなフィードバックがありましたか?
齊藤:今回の取り組みでお問い合わせ件数が確実に増えたことで、システム開発事業の営業を主管する事業部長から「LIGブログ」の運営に期待する発言が何度もありました。たとえば経営会議の場で「皆さんもブログ記事を書くべきだと思います」と話されていたり、半年に1回の社内表彰では他部署であるにもかかわらず「井上さんのおかげで全社幸せです」とのコメント付きで井上を推薦いただいたりと、インハウスマーケティング部が事業に貢献できているという実感が得られています。
また、今回の取り組みは「なぜか上手くいったね」と根拠のない成功ではなく、「〜が〜なったので成功した」と説明がつく成功だったことも、今回の取り組みが社内で評価された一因だったと思いますね。もちろん、いままでもオウンドメディア施策には手を抜かず取り組んできたつもりでしたが、まだまだやり切れるものなのだなと、THE MOLTSさんとの取り組みから感じました。
井上:最初は伸び悩んだ時期もありましたが、そこで折れずにさまざまな切り口からの改善案を根気強くご提案いただき、積極的にアクションしていただきました。定期的に成果の数字を細かくドリルダウンして見に行き、ユーザーの解像度を高めて「良質なコンテンツをユーザーに届けること」の意識を高め、そしてやりきったから成果が出たと思います。
SEOや事業に捉われず、会社の成果のために継続した支援を期待
岸:2024年5月に取り組みがスタートしてちょうど10ヶ月目に入る現在、今後の展望をどのように描いていますか?
齊藤:「LIGブログ」のSEOはまだまだ改善できることが残っていると思いますので、引き続き井上と岸さんを中心に取り組んでいただけると嬉しいですね。ただその一方でSEOだけに偏重したマーケティングはあまり健全ではないようにも感じています。
社内ではYouTube動画の配信を始めたり、広告運用費を増額する取り組みもすでにスタートしていますので、各施策が事業への貢献を目指して互いに切磋琢磨している環境が理想的だと思います。岸さんはSEO施策にスペシャリティがあるとは思いますが、SEO施策からはみ出したご提案もぜひお待ちしていますね。
井上:当初はシステム開発事業のマーケティング支援だけの取り組みとしてスタートしましたが、現在では「LIGブログ」によるWeb制作事業と教育事業への問い合わせ獲得にも力添えいただいています。
私自身の展望としては、今回の取り組みによって学んだノウハウを活かし、ゼロから新しい事業のSEO集客にも取り組んでいきたいと考えています。そのためにも、岸さんから共有いただいたノウハウをマニュアル化し、ドキュメントとして残していくことで自走できるインハウスマーケティング部を目指していきます。
岸:今回の取り組みを受けて、THE MOLTSはどのような企業におすすめできそうでしょうか?
齊藤:ひと言で表すなら、松岡修造さんのような熱くて根性があるパートナーを求めている企業にこそおすすめできると考えています。成果に対するコミットメントを重視し、マーケティングはあくまでも目的を達成する手段であると考えていること、そして自社とパートナーとで別け隔てなく一緒に仕事をし、一緒にうまい酒を飲もうという企業こそはぜひ一度、THE MOLTSさんに相談してみてください。
著者情報
AKIRA KISHI
Marketing Director / Consultant
業界歴8年以上。オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。SEOを軸としたメディア・サービスのグロース支援、インハウス運用支援を行う。
記事をシェア