前年同期比で8倍超の売上創出を実現
ひとり体制から3年で急成長したオウンドメディア戦略

「はたらいて、笑おう」をビジョンに掲げ、人材派遣サービス、転職サービス、ITアウトソーシングや設計開発など、人と組織にかかわる多様なサービスを提供するパーソルグループ。
以前まではイベント出展や広告出稿を中心にリード獲得を進めてきたパーソルホールディングス株式会社(以下、パーソル)ですが、2020年より新たにオーガニック施策に着手。しかし、コンテンツSEOの知見やノウハウが不足していたことから、THE MOLTSにご相談いただき、コンテンツマーケティング全般を支援させていただきました。
その結果、1年で流入数は3倍、CV数は5倍へと伸長。さらなる高い目標を達成していくべく、支援体制を変更し、コンテンツ制作のみならず、フォーム改修やデータ基盤の構築などにも取り組んでいきました。
そこで今回は、パーソルホールディングス 法人マーケティング室の林さま、寺尾さま、そして本プロジェクトを担当したTHE MOLTS 田島光太郎が、これまでの取り組みを振り返りました。
さらなる高い目標を達成するために、いかにCVRを改善するかが新たな課題だった
田島:コンテンツSEO施策において、どうPDCAを回していくべきかノウハウがないという課題感から、THE MOLTSにご相談いただきましたね。そして前回の取材では、キーワード選定含め、コンテンツSEO施策によってCV数5倍以上という結果に至るまでをお話いただきました。
そうした結果を踏まえて、あらためて御社ではどのようなミッションをその後設定されたのか教えていただけますか?
林:これまでは「2年間で累計3,500件のコンタクトを獲得」することをミッションに、進めてきました。そして基盤ができて、リード獲得もできるようになった今期では、さらに獲得数を伸ばしていくことがミッションでした。
具体的にはこれまでの目標の倍以上である、1年間で4,100件のコンタクト獲得を目標に設定。それに伴い、注力する領域もこれまでは200ある商材の中から3商材に絞ってコンテンツを展開していたところから、DX領域の商材も追加して展開していくことになりました。
ただ、当時はセッション数は伸びているものの、競合他社と比べるとまだまだ伸ばせる余地があると感じていたため、いかにCVR改善に取り組むかが新たな課題としてありました。
田島:そうした課題感に対して、別のパートナー企業をアサインするという選択肢もあったかと思います。そこを継続してTHE MOLTSに依頼しようと思われた理由は何かありますか?
寺尾:期が変わるタイミングでもあったので、実はパートナーの見直しを行おうと、あらためて複数社にお話を伺い、コンペを行いました。
そして依頼先を決める上で私たちが特に重要視していたのが、200以上もの商材がある弊社グループの事業理解ができるかどうか。そう考えたときに、やはり新しいパートナーに頼むよりも、すでに事業理解いただいており、実績のあるTHE MOLTSに依頼するのが最適であろうと考え、再度ご依頼させていただきました。
短期間でPDCAを回していく体制へと変更。窓口を増やし、各領域で成果最大化のための動きを強化していく
田島:これまで2年間で累計3,500件という目標から、今回1年間で4,100件のコンタクト獲得という高い目標を追っていく上で、いままでの成長率では頭打ちしそうだということが見えてました。
そして、これまではコンテンツをつくる体制含め土台ができた2年間でしたが、これまでやってきたことを積み上げていきつつ、新たなアプローチを取り、いかにCVRを改善してさらなるリード獲得を狙うかがポイントでした。
一方で、以前までは1つのチームでコンテンツの企画から制作、そして改善までを担おうとしていましたが、それだとスピード感を持って改善に着手することに限界がありました。
そこでまずは、THE MOLTS側の体制を再構築することから着手。コンテンツチーム、CVR改善チーム、そしてPDCAを回していくために必要なデータ取得を行うためのデータ基盤構築チームと役割ごとに体制を変更。
点の動きにならないよう全体のマネジメントを私が行いながら、各チームに権限を渡し、より成果最大化に向けた動きが取れるよう進めていきました。
林:体制を変更して各領域のプロフェッショナルの方々が窓口になり、各領域のご提案やご支援をいただけたのは本当に助かりました。
私たちにとっても、コンテンツ制作に関してはこの方に相談して、改善施策はこの方に相談すればいいと明確になり、コミュニケーションもスムーズになりましたし、スピーディーに動いていただけたことで短期間でPDCAを回していくことができたと感じています。
田島:そうですね、当初はTHE MOLTS側の窓口が私だけで、実行するのはまた別のメンバーだったため、どうしてもスピード感が遅くなってしまいがちでした。
成果最大化のためには、意図的に窓口を分け、「あなたのチームはこれを徹底的にやってください」と選択と集中の動きが取ることが必要だろうと。結果、成果に繋がる動きが取れるようになっていったことは良かったです。
監修者を入れてより質の高いコンテンツへ。さらにフォーム改修を行い、CVR改善に努めていった
田島:CV強化の観点ではコンテンツの質の向上にも取り組む必要があり、パーソルだからこそ出せるコンテンツをつくろうと監修者を入れて制作するフローへと整えていきましたね。
特に、これまで取り組んでこなかったDX領域のコンテンツづくりは、難しいことも多かったと思いますが、振り返ってみていかがですか?
寺尾:私自身がDXの知見がまったくなかったため、そもそもどういったキーワードを選定すべきか、また有識者の方にインタビューする際も、専門用語がわからなかったり、事前に書籍を読んだりと、苦労の連続でした。
また、コンテンツの質を上げるためにグループ内の有識者の方にインタビューを行っていったわけですが、やはり有識者の方との調整が非常に大変でした。特にパーソルとして出す記事のため、監修者としての原稿へのこだわりも強くなりがちで、時には「全文、書き換えたい」と言われることもありました。
そこで検索ニーズの考慮しつつ、監修してくださる有識者の方ともコミュニケーションを取って調整を重ねて、ようやく1本仕上がるというのを地道に繰り返していきました。
田島:そうしたさまざまな調整や積み重ねのおかげで、無事数値も伸びているので良かったです。また、CVR改善においてフォームに課題があることはわかっていたものの、サイト規模が大きく、関係各所の確認が必要であったため、すぐにA/Bテストできる状況ではありませんでした。
そこで、どれだけの工数がかかり、どれだけの効果が得られるかを説得するためにも、約半年かけて細かな検証を重ねていきました。そして成果を積み上げることで、この結果であれば本格的にフォーム改修をすべきだという意思決定にまで持っていくことができました。
同時にCVポイントのホワイトペーパーを増やしたり、CTAを変更したりと様々な改善施策を行っていきましたね。
林:もともとは入力しようにも、なかなかフォームにまでたどり着きづらいようなUI/UXであったため、改修が必要だとは思いつつも、セキュリティの問題やCMSが独自のカスタマイズをしていたことなど制約が多く、少し変えてテストしてみるといったことができない状況でした。
しかし、細かな検証を重ねていただけたため、どう改修すべきかを提案して進めたことで、提案が承認された後はスムーズに改修を実行することができました。その結果、サイト全体にとってプラスとなる結果が生まれ、CVRは大きく改善することができました。
受注金額は前年同期比で8倍に。つくったコンテンツが他部門でも活用されたりと、社内でのプレゼンスが高まっている
田島:あらためて今回の取り組みを通じて、どのような成果が生まれていますか?
林:獲得件数は着実に増えていて、前期は1年で2,800件であったのに対し、今期はすでに3,000件を超えており、1.5〜1.6倍近く伸びています。また、フォーム改修などの施策によってCVRは2倍以上に改善。さらに受注金額ベースでは前年同期比で8倍と大幅に伸びています。
注力したいキーワードがしっかりと伸びていたり、売上にも繋がっていたりと、あるべき姿になっているなと感じています。
寺尾:実は、DX領域はゼロからのスタートで、本当に検索での上位表示が狙えるのか懐疑的でした。しかし、ビッグ〜ミドルのキーワードでも検索結果1位のコンテンツが生まれたり、いろいろとやってきたことが結果に結びつき、あらためてゼロからでも成果に繋がることを実感しましたし、どう進めていくべきかを理解できたことは大きな学びでした。
また、これまではサイト全体であったり、記事単位で数字を見ていましたが、商材ごとにキーワードグループを分けて集計する形へと変えていただいたことで、どのカテゴリーが伸びているのかを可視化できるようになったことも成果のひとつだと感じています。
田島:もともとはイベント出展や広告の出稿が中心だったところから、現在ではオーガニック流入施策による成果が生まれていることで、社内でのプレゼンスの変化などは何かありますか?
林:オーガニック流入施策への期待値は非常に高まっており、体制に関しても私一人からスタートして、現在は寺尾、さらにまた新しい人材が入る予定があったりと、体制を強化できるようになっていきました。
また、これまで制作したホワイトペーパーが営業部門からも好評で、「営業ツールとして資料を活用したい」といった声もあったりと、マーケティング以外でも活用できる資産になっているのはとても嬉しいことだと感じています。
寺尾:監修コンテンツのためにインタビューさせてもらった有識者の方々が、日々の業務の中でもコンテンツを活用いただいているようで、さらにその方のクライアントからもお褒めの言葉をいただいたりと、広がりが生まれているのはとても嬉しいです。
そして、有識者の方々は事業責任者クラスの方々が多いため、そうした方々に我々の活動が認知してもらえていること自体が非常に価値あると感じています。
田島:これまでつくってきたコンテンツが、他部署の方々や有識者の方々に利用いただいているのは嬉しいですね。
やはり、広告施策と違ってコンテンツ施策はすぐに成果が出づらいため、社内では「何かやっているけど、何をやっているかわからないチーム」と見られがちです。しかし、結果が伴うにつれて体制が強化していったり、社内でのプレゼンスが高まっているというのは、やはりコンテンツ施策をやっていく上で嬉しい変化。
良いコンテンツができた、検索順位が上がっている、など自己満足して終わらず、しっかりと事業の成果に繋がっているようで、私もとても嬉しく思います。
プロとして伴走いただけることが心強い。ただリード数だけを伸ばすのではなく、売上に繋がるリードを獲得していく
田島:今回の結果をふまえて、今後どのように取り組んでいく予定なのか展望を教えていただけますか?
林:オーガニック流入からの成果をさらに伸ばしていくことを期待されているため、量的な部分で伸ばしつつ、質をいかに強化するかが重要だと考えています。そこで、ただリードを獲得するだけでなく、売上に繋がるリードをしっかりと獲得していきたいと考えています。
また、社内の体制も変わるため、私たちの活動の質も変えていきたいですし、効率化できるところは効率化していきたいと思っています。
寺尾:今後メンバーが増えることで、できることが増えていきます。そのため、行動量を増やしつつ、林からもあった通り、いかに質を高めていくか。また、パーソルグループ自体が変化のスピードが早いため、そうした変化についていけるよう、私たちのPDCAのサイクルも高速化していき、さらなる成長を目指していきたいと考えています。
田島:そうした展望に対して、THE MOLTSに今後期待していることは何かありますか?
林:検索のトレンド変化があったりする中、最新情報を常にキャッチアップされていて、THE MOLTS自体が日々進化されているのがさすがだなと感じています。そのため、これからもぜひ我々に伴走いただき、支援いただければと期待しています。
寺尾:アルゴリズムの変化であったり、いまであれば生成AIのトレンド変化があったりと、オーガニック施策は外部環境の変化を受けやすい中、プロフェッショナルとして伴走いただけることは本当に心強いですし、私自身多くのことを学ばせていただいています。これからもぜひ、変わらぬご支援をいただければ幸いです。
田島:ありがとうございます。今回あらためてプロジェクトを振り返ってみると、実は特別なことはあまりやっていません。やるべきことをしっかりと見定め、最後までやり切ること。たとえば体制であったり、実行スピードやコンテンツの質をどう上げていくかなど、当たり前のことをちゃんとやることが重要だとあらためて感じさせられるプロジェクトでした。
そして、そうした実行力があるのがこのチームの強みだと思いますし、今後もチームの強みを強化していきつつ、闇雲にリードだけ増えて商談や売上に繋がらないというのは本質的ではないため、おっしゃるとおり、商談に繋がるリードを獲得していくこと含め、これからも成果にこだわるTHE MOLTSとして伴走していきたいと思っています。
著者情報

KOTARO TAJIMA
Media Planner / Consultant
業界歴8年以上。BtoBマーケティング、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。コンサルタント・PMとして戦略設計、インハウス化・グロース支援を行う。
提供領域
記事をシェア