「約200の商材から何を狙うか」パーソルHDオウンドメディアが1年で流入3倍、CV5倍に伸長した理由

「はたらいて、笑おう」をビジョンに掲げ、人材派遣サービス、転職サービス、ITアウトソーシングや設計開発など、人と組織にかかわる多様なサービスを提供するパーソルグループ。
パーソルホールディングス株式会社は、パーソルグループ全体のシナジーを最大化すべく、グループ会社の垣根を超えたBtoBのデジタルマーケティングに取り組んでいます。リード獲得施策の1つとして、2020年よりオーガニック施策にも着手したものの、思うような成果が出ず、社内の知見やリソースも不十分だったことから、MOLTSにご相談をいただきました。
そこで今回、パーソルホールディングスの法人マーケティング推進室の林さま、グループ全体のコーポレートサイトを統括しているブランドコミュニケーション室 室長の渡邉さま、本プロジェクトを担当したMOLTSのメディアプランナーの田島光太郎が、これまでの取り組みを振り返りました。

コンテンツの量産で流入数は増えても「問い合わせ数の増やし方」が分からない

田島:MOLTSでは2021年の夏から、パーソルホールディングス(以下パーソル)のコンテンツSEOを中核にしたコンテンツマーケティング全般をご支援しています。改めて、ご相談いただいた当時に抱えていた課題感について教えてください。
林:私が所属している法人マーケティング推進室は、グループを横断したホールディングス起点でのBtoBマーケティング活動と、グループ会社のBtoBマーケティング活動支援の役割を担っています。このチームは、デジタルを活用してパーソルグループ全体の潜在顧客や商談を掘り起こす新規コンタクトを創出し、売上に貢献するというミッションを持っています。私の担当は主にオーガニック検索で商材への導線となる法人サイトへの流入を促して新規コンタクトの創出を促す基盤作りです。
2019年頃まではイベント出展や事例広告の出稿が中心でしたが、コロナ禍以降はデジタルを活用したプロモーション活動が本格始動し、オーガニック検索からの流入を増やすためにSEOの強化に取り組むことになりました。しかし、チームにコンテンツに強いメンバーがいるわけでもなく、ノウハウもほとんどない状態だったのです。
コンテンツにしても、コーポレートサイトの配下にある「パーソルテンプスタッフ」や「パーソルキャリア」などの法人サイトにお客様向けの情報ページがあるだけの状態でした。そして私自身、SEOという言葉は知っていても具体的に何をすればいいのか分かりませんでした。
田島:MOLTSにお問い合せいただく前にはどのような取り組みをしていたのですか?
林:まずは法人サイトの基盤を整える必要があったので、コンサルティング会社やパーソルグループ全体のコーポレートサイトを統括している渡邉に協力してもらいながら、CMSの導入を始めサイトのリニューアルとコンテンツマーケティングの立ち上げを進めました。リニューアルには半年ほどかけ、2021年4月には完了したのですが、次に「この量産したコンテンツを活用し、どうやってお問い合せや商談につなげていけばいいのか」という課題が出てきました。
コンテンツを増やしたおかげで、オーガニック検索経由での流入は増えていました。ただしその後、どのように商談につながりそうな潜在顧客を掘り起こしていくのか、どうやってPDCAを回していけばいいのかが分かりませんでした。これらの課題については、改めてデジタルマーケティングやSEOに深い知見のあるプロフェッショナルのノウハウが必要なため、伴走いただけるコンサルティング会社を探すことになりました。
MOLTSからの提案は「やるべきことや成果につながる道筋が明確だった」

田島:そのような中でMOLTSにご相談、また選んでいただいた決め手となったのはどのような理由からだったのでしょうか?
林:チーム内で、BtoBのコンテンツSEOに強い企業やお付き合いのある企業がどこかをヒアリングした結果、MOLTSを含む3社にご相談することになりました。当時の喫緊の課題は「良質な潜在顧客を発掘するにはどうすればいいのか分からない」「問い合わせ数や案件化率をどうやって改善すればいいのか分からない」というものでした。
これに対し、それぞれの企業からやり方をご提案されたのですが、「流入がこれくらいあって、ここに課題があるから、ここを伸ばすと成果が上がります」と的確なロードマップを示してくださり、最も具体的な進め方をイメージできたのが田島さんのプレゼンテーションだったんです。
渡邉:私も経験があるのですが、デジタルマーケティングのコンサルティング会社の方は「全部できます」と素晴らしい資料を基に提案されることが多いです。しかし実際に担当者の方にその知見があるかというと、ギャップがあるという例も少なくありません。
MOLTSの場合、少数精鋭でその分野のプロフェッショナルの方に担当していただけるので、安心感がまったく異なりました。加えて田島さんのお人柄もあり、「この人なら任せられる」と実感したんです。
田島:ありがとうございます。当時は「コンテンツを量産してオーガニック検索からの流入を伸ばしたけど、その後成果につながっていない」と伺っていたのですが、これはパーソルが特別というわけではなく、多くの企業で見られる課題です。
ポイントは、今のトラフィックをどう活かすかではなく、成果のためにどのようなコンテンツがあるべきかです。そこでまずは「売上を伸ばすためのコンタクトを獲得するため、どのようなコンテンツであるべきか」を逆算して考え、既存のコンテンツやそこに対する外部からの流入データを見ていくと、伸ばす余地や課題がはっきりと見えてきたんです。
林:田島さんのアウトプットは非常にシンプルで分かりやすいので、今も助けられていますね。
累計3500件のコンタクト獲得に向けた分野の絞り込みとキーワード設計

田島:正式に支援することが決まり、2021年の7〜8月にかけてコンテンツSEOを軸にした戦略設計をしました。その後、9月以降はコンテンツの改修を進めていきましたね。
林:はい、オーガニック施策のKGIは「2021年4月〜2023年3月の2年間で累計3500件のコンタクトを獲得」すること。それを達成するため、グループの商材やサービスが約200個ある中で、まずはどこにターゲットを絞って注力していくべきかを話し合ったことを覚えています。
田島:SEOを強化するといっても、一気に全方位を攻めるのは非効率で順位上昇も期待できません。重要なのはすべての商材に手をつけることではなく、より売上に貢献する商材を定め、商談や受注につながるキーワードを定義し、その分野で勝ち切ることです。
そこで、林さん、渡邉さんと週1回ミーティングを持ち、現在のコンタクト獲得状況やSEOのポテンシャルを加味しながら優先度を定め、本プロジェクトで注力すべき商材を絞り込んでいきました。
注力領域を定めた後は獲得すべきキーワードを設計し、すでにあったコンテンツの改修も含めSEOコンテンツの運用に踏み切りました。制作については当社からコンテンツ制作のディレクターとライターをアサインし、パーソルにはコンテンツの監修を担当していただきました。協業しながら進められたおかげで、クオリティを担保しつつ一定数の記事を量産することができています。
コンテンツSEOによる獲得目標をチーム全員で共有するダッシュボードの構築

林:田島さんにはPDCAを効率的に回すことを前提に、KGIとする3500件のコンタクト獲得に向けて、最低限達成すべき法人サイトへの訪問数や実際のアクションにつながった数値として、CVRなどをKPIとして設けていただきました。現在も定例ではこのKPIを月次でチェックしながら、目標値は四半期に一度見直しています。
田島:当初からパーソルの課題だった「PDCAの回し方が分からない、回せない」ということから、我々だけでなくプロジェクトメンバーが共通認識をもってPDCAを回すための環境が必要でした。
そのためにまず行ったのは、KGIとする3500件の分解です。「3500件を達成するためのコンテンツ強化」と言っても、現状との乖離が大きいと施策の効果が見えにくくなります。そこで法人サイト全体のCV経路を分解していくと、コンテンツSEO施策以外でも一定数コンタクトが獲れていることが分かりました。それらの件数は定数と考え、「コンテンツSEO施策で獲得すべき件数」を明確化していきました。注力商材を絞ったように、見るべき数字も絞ったことで、PDCAが回しやすくなったと思います。
渡邉:プロジェクトが進む中では、ダッシュボードの導入もご提案いただきました。細かい数字や状況をリアルタイムで共有するには何かしらの仕組みが必要性を感じていたところでした。単なる営業のための提案ではなく、弊社と同じ視点で何が必要かを的確に判断してご提案いただけることでとても助かっています。
伴走から1年でサイトへの流入数は3倍、CV数は5倍以上の月200件に

林:田島さんに伴走いただいてから、プロジェクト開始から約1年で法人サイトへの流入数は3倍近くに伸びました。また、CV数は5倍以上で、現在は月200件以上発生しています。
田島:トラフィック重視ではなく、CVにつながるキーワードにおいて、上位表示できるようになったことが非常に大きいです。以前までは検索ボリュームやサイトへの流入数が大きくても、CVになっていないキーワードが目立ちました。現在は人事領域、アウトソーシング領域、採用領域など、各事業のコンタクトにつながるキーワードを選定した上で良質なコンテンツづくりを続けたことで、着実に上位表示できています。
林:法人サイトに実績がついてきたことで、社内にも変化が起きています。
1つは、会社としてオーガニック領域により注力する方針に舵を切ったことです。現在は広告やイベント施策が問い合わせ数の9割を占めているのですが、今後数年でオーガニックからの獲得割合を半分程度まで上げていく方針です。オーガニックを増やすことは事業の効率化にもつながるので、価値は大きいと思います。
さらに、プロジェクトのチーム体制も強化しています。開始当初は私1人だけでしたが、ここ数カ月で2人のメンバーが新たに加わりました。
渡邉:定性的な成果としては、林とチームの成長があります。立ち上げ当初は初心者だった林が、現在はチームを牽引するまで、知見・経験を蓄積しました。
これはMOLTSの伴走も大きく貢献していると思います。やるべき作業をただ分担するのではなく、ロジカルな戦略をご提案いただき、それを受けた林がナレッジとして自分にインプットし、チームに還元していったことが今回の体制強化につながった。そこに到達するまで常に支えてくれた田島さんには感謝です。
田島:そうしたご意見をいただけると私も嬉しいです。
さらなる流入のための「壁」をMOLTSの知見で打破したい
田島:最後に改めて今後の展望について聞かせてください。
林:先ほどもお話ししたように、今後はオーガニック経由の流入をさらに向上させていくという目標があります。そこは私も今以上に真剣に取り組んでいきたいので、MOLTSには引き続きご支援いただければと思います。
渡邉:私は林が率いるチームをオブザーバーとして見守ることを第一にしていきます。その上で今後についてですが、やはりマーケティングなので今以上に競合の動きや今後のトレンドといったマーケットの情報を取り入れて戦略を考えていく必要があると思います。
この1年半の間に自社でできる施策はほぼ展開してきたので、大きな伸びしろはあまり期待できなくなるかもしれません。そこを打破するために、田島さんにはこれからもその知見でもってご協力をお願いしたいと思います。
田島:ご期待に添えるように頑張ります。ありがとうございました。
構成:岩崎史絵、撮影=関口達朗
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