リスティング広告のインハウス化|成功企業の特徴と効果的な内製戦略
この記事でわかること
広告運用のインハウス化を検討している方の中には「本当に自社運用が正しく行えるのか」「代理店に任せておいた方が良いのではないか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
確かに、Web広告(リスティング広告)をインハウスで運用することによって、代理店に依頼していた時には実現しなかった「スピード感のある運用」や「社内へのノウハウの蓄積」など、様々なメリットを享受できます。
しかし一方で、短期的なコスト削減だけを考えてインハウス化を進めてしまうと、担当者が突然辞めてしまったり、代理店に依頼していた時よりもパフォーマンスが落ちてしまったりするなど、結果的に失敗に終わるケースも少なくありません。
広告運用のインハウス化は短期的な視点ではなく、自社の事業の特性や事業フェーズ、リソースなどを十分に考慮した上で、舵をきる必要があります。
本記事では、「Web広告をインハウスで運用するべきか」と悩んでいる方に向けて、そのメリットやデメリットを、代理店に依頼する場合と比較しながら解説していきます。
また、インハウス化した場合に社内で行わなければいけない業務内容や、よくある失敗例などについてもお伝えするので、ぜひ本記事を参考にして、本当にインハウス化が適しているのかを考えてみてください。
Web広告は「インハウスと代理店のどちらが良い」と断言できるものではない

冒頭でもお伝えした通り、インハウスと代理店のどちらにもメリット・デメリットがあり、どちらが良いとは一概には言い切れません。
インハウス | 広告代理店 | |
---|---|---|
運用のコスト | ○ | ×20%程度のマージンが発生 |
販売管理費 | ×人件費や採用費などが必要 | ○ |
マネジメント工数 | ×体制構築と、その維持が必要 | ○ |
運用の品質 | △ | ○一定の品質が担保されやすい |
業界や事業への理解 | ○ | △ |
ノウハウの蓄積 | ○社内に蓄積される | ×社内に蓄積されない |
スピード感 | ○ | △ |
それぞれの違いを正しく理解し、今の事業課題やリソース状況に合わせて、最適な方を選択する必要があります。
例えば「インハウス運用で成果を出していきたいが、メンバーが他の業務と兼任しており、リソースを十分に割くことができない」という状況で無理やりインハウス化を行っても、運用手数料は削減できるかもしれませんが、本来必要な成果を出し続けることができない可能性があります。
この場合は、すぐにインハウス化をするのではなく、広告代理店に運用を任せるのが得策かもしれません。または、既存の代理店への依頼を続けつつ、少しずつ一部の媒体から自走化を進めるという「ミドルインハウス」の形を取ることもできます。既存の代理店がついていることでダブルチェックを行えるなど、運用上のミス防止のスキームを組める上に、代理店が持っている最新情報や知見を活かすことができます。
このように、インハウスと広告代理店のどちらが良いか、どのような形で運用するのが最適かは、各社の状況や課題によって異なるのです。
リスティング広告の運用をインハウス化するメリット

それではここからは、Web広告(リスティング広告)をインハウス化するメリット・デメリットを詳しく解説していきます。これらを元に、インハウスと代理店委託のどちらが適しているかを考えてみてください。
代理店に支払う手数料がかからない
ビジネスや業界への十分な理解がある上で、運用ができる
運用のノウハウが社内に蓄積する
スピード感のある広告運用ができる
メリット1.代理店に支払う手数料がかからない
当然のことですが、インハウスで運用することで代理店に支払う手数料がかからなくなります。
代理店に支払う手数料は、運用予算の20%が相場です。仮に年間で5,000万円のリスティング広告を運用した場合、代理店に1,000万円を支払う計算となり、非常に高額です。
その手数料を削減できるのは大きなメリットだと言えますし、実際にこの点を魅力に感じてインハウス化を検討している企業も多いでしょう。
ただし、インハウス化によって広告代理店に支払う手数料がかからなくなったからと言って、広告費以外のコストが0になるわけではありません。実際には、Web広告を自分たちで行っていくための販売管理費がかかります。
例えば、各担当者の人件費や採用費、体制を構築して成果を出し続けるためのマネジメントコストなどが必要です。そもそも広告運用のインハウス化をするということは、社内に広告部署を作るようなものです。そこには様々なコストがかかることを理解しておきましょう。
メリット2.ビジネスや業界への十分な理解がある上で、運用ができる
リスティング広告を自社で運用する最大のメリットは、売りたい商品・サービスやマーケットについて十分な理解がある上で、広告の運用ができる点です。
広告代理店は、いわゆる広告運用のプロではありますが、業界やマーケットに精通した「事業のプロ」ではありません。そのため、サービスや製品、そしてマーケットへの理解が浅いまま広告が運用されるケースがあります。
例えば、「顧客が本当に抱えているニーズ」や「企業の業界での立ち位置」「市場の急速な変化」などを代理店側が察知できずに、最適なキーワード選定や広告文の作成、ターゲティングがなされないといったことが発生します。
一方で、インハウスでリスティング広告を運用することで、自社サービスや業界を熟知した担当者が、直接広告を運用することができます。顧客をよく知っているからこそ、リスティング広告に置いても、顧客との最適なコミュニケーション戦略を描くことが可能になります。
メリット3.運用のノウハウが社内に蓄積する
リスティング広告の運用を代理店に外注している場合、ノウハウが溜まりにくいというデメリットがあります。そのため、いつまでも代理店に依存した状態になってしまい、より高いレベルでのマーケティング施策の立案や実行ができなくなってしまいます。
よくあるケースが、クリエイティブの制作から入札調整までを丸投げし、代理店から提出される月1回のレポートだけを確認するといったケースです。自社の担当者が広告運用のノウハウや経験がないと、代理店から提出されるレポートを見るだけでは、日々の獲得成果が妥当なのかを正しく判断できません。
インハウスで広告を運用すると、クリエイティブの制作・配信セグメントの作成・入札調整など広告運用に必要な要素を全て自社で考えていく必要があります。こういった広告運用の経験を通して、成功と失敗を繰り返すことによって、社内にノウハウを蓄積し、より確度の高い施策を高速で実行できるようになります。
メリット4.スピード感のある広告運用ができる
広告代理店の運用担当者は、一人で数社から数十社程度のクライアントを抱えています。そのため、担当者とのコミュニケーションに時間がかかってしまい、素早く施策の実行に移すことができないケースが多いです。
そこで運用自体をインハウス化することで、代理店側からの返答を待つ時間がなくなり、社内のコミュニケーションだけで施策を実行することが可能になります。
リスティング広告の運用をインハウス化するデメリット

一方で、自社でのリスティング広告にはデメリットも存在します。
- 広告運用の知識やノウハウのある人材が必要不可欠
- 情報収集が遅くなる
- 社内のリソースを必要とする
デメリット1.広告運用の知識やノウハウのある人材が必要不可欠
広告運用の未経験者を担当にすることもできますが、短期間で成果を出したい場合や高額での広告運用を検討している場合には、知識やノウハウをもった人材が必要不可欠になります。
社内に運用経験者がいない場合は、新たに採用する必要がありますが、高いスキルを持った人材は採用市場でも非常に限られており、簡単に採用できるものではありません。
また、せっかく経験者を採用できてもその後のキャリアプランがなければ、数年後に辞めてしまうケースも少なくありません。運用担当者が一人しかいない場合には、他の人が業務を引き継ぐことができずに、運用自体が止まってしまう可能性も孕んでいます。
採用にかかるコストや、未経験者を一から育てる時間を考えれば、広告のプロである代理店の手数料も必ずしも高いとは言えないでしょう。
デメリット2.情報収集が遅くなる
リスティング広告をはじめとする運用型広告において、Google 広告・Yahoo!広告など媒体の仕様変更や機能の追加といったアップデートが頻繁に発生します。
インハウスで広告運用をしていると、どうしても情報収集が遅くなってしまい、媒体の変化に対応できなくなってしまいます。
一方で代理店は、数十社〜百社程度のクライアントを抱え、多くの運用実績があります。他社の事例や最新情報を活かした運用をしてもらいやすいのです。
デメリット3.社内のリソースを必要とする
リスティング広告を運用するには、アカウントの開設やキーワードの選定・クリエイティブ制作・入札調整など非常に多くの時間を要します。
専任の担当者を確保できる場合は良いのですが、多くの企業の場合、他の業務と兼任の担当者が運用するケースがほとんどです。そのため、どうしても別の業務に追われてしまい、広告運用がないがしろになってしまうといった話もよく聞かれます。
代理店に依頼することで、運用に関わる業務をアウトソースできるので、本来の業務に注力しながら、広告運用を進めることが可能になります。
なお、インハウスで広告運用を行うに当たってどのような作業が必要になるのかは、次の章で解説しているので、合わせて参考にしてみてください。
リスティング広告のインハウス運用に必要な業務やリソースなどを確認

これからWeb広告をインハウスで行っていくのであれば、以下のような業務を、社内で行わなければいけません。
戦略構築 |
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組織構築・マネジメント |
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メディアプランニング |
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広告アカウントの構築 |
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広告運用 |
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これらを社内で行うリソースやノウハウがあるか、ない場合はどのように確保していくのか、という点も考慮した上で、インハウス化を検討する必要があります。
また、インハウス化を進める際は将来的な事業成長も視野に入れておく必要があります。広告予算が月間数千万円規模に拡大すると、運用は「個人戦」から「チーム戦」へと変化し、ステークホルダーの増加、アカウントの複雑化、業務の細分化など、小規模運用時とは全く異なる組織体制が求められるためです。
大規模化に伴い、正論だけでは前に進まない組織調整、データ計測の複雑化、外部提案への対応など、技術面以外の課題が急増します。初期段階からこうした「チーム戦」の特性を理解し、組織体制の構築も含めた長期的な運用計画を立てることが、持続可能なインハウス化の鍵となります。
インハウス運用を成功に導く戦略設計の重要性
これだけ多くの業務を効果的に進めるためには、部分的な最適化ではなく、ビジネスゴールから逆算した戦略的なアプローチが不可欠です。多くの企業が「クリック単価を下げる」「品質スコアを上げる」といった戦術レベルの改善に注力しがちですが、本来重要なのは事業目標達成に向けた全体最適な戦略設計です。
リスティング広告の戦略では、「何のために広告を打つのか」という目的の明確化と、自社の事業フェーズに応じた適切な予算配分やKPI設計が求められます。実際の成功事例では、短期的にCPAを高めてでもコンバージョン数を最大化する戦略で、最終的にCV数300%アップ・CPA70%削減を達成したケースもあります。立てた戦略は必ず外れることを前提とした柔軟な運用が成功の鍵となります。
戦略的アプローチを学ぶことで、事業目標から逆算した正しいKPI設計により全体最適な運用が可能になり、事業フェーズに応じた予算配分で限られたリソースを最大限活用できるようになります。また戦術レベルの課題に振り回されることなく、本質的な事業課題の解決に集中することができます。
リスティング広告をインハウス化すべきかどうかの判断目安

ここまでお伝えしてきたように、Web広告のインハウス化が適しているかどうかは、事業の規模やフェーズ・担当者のスキルによって異なります。
そのため一概に、インハウスが良い・悪いを決めることはできません。
しかし強いてお伝えするならば、以下のようなケースであれば、まずはインハウスでの運用を始めてみることをおすすめします。
スタートアップ企業
少額での運用を考えている企業
短期間での成果を求めず、長期目線で取り組める企業
上記のような企業であれば、インハウス化が行いやすく、良い結果に結びつくことが多いからです。
まず、プロジェクトをアジャイルに(素早く柔軟に)進めていく風土や体制がある企業であれば、インハウスでの広告運用がうまくいきやすいと考えています。そのため、経営層がマーケティング知識に明るく、現場と距離が近いスタートアップ企業などであれば、インハウス化をおすすめできます。
また広告予算が少額の場合は、代理店に依頼しようにも、お断りされるケースや優秀なメンバーをアサインしてもらえないことがあります。それならば、最初から長期目線でインハウス化を進めていく方が、良い結果になることがあるのです。
まずは一通りの自社運用を始めてみて、運用の大変さや課題を把握するのがおすすめ
インハウス化を検討している企業は、まず広告運用に必要な業務(前章で紹介した内容)を一通り行ってみるのがおすすめです。
最近では、各広告媒体のヘルプやオンラインでの学習ツールを活用することで、初心者でも短期間で、運用を開始することが可能です。
実際に広告を運用すると、日々の入札調整やクリエイティブ制作の大変さを身をもって理解できますし、運用の課題を見つけることができます。
その上で、改めて代理店に依頼するメリットを照らし合わせることで、本当にインハウス化を進めるのが妥当かどうかの判断をすることができるでしょう。
実際に運用を開始する際は、成果を正確に測定するための指標を理解しておくことが重要です。特にCPA(顧客獲得単価)は、インハウス化の効果を判断する上で欠かせない指標です。
代理店委託時のCPAと、インハウス化後のCPAを比較することで、手数料削減以外の真の効果を把握できます。また、CPAの目標設定や改善方法を事前に理解しておくことで、運用開始後の課題発見や改善施策の立案もスムーズに行えるようになります。
リスティング広告のインハウス化でよくある失敗パターン

ここまでの内容を考慮して、メリットが大きいのであればインハウス化をしてみるのももちろん間違いではありません。
しかし、自信を持って「インハウス化をすべきではない」と言えるケースもありますので、説明していきます。
短期的なコストダウンを目的にインハウス化してしまう
弊社へのお問い合わせでもよくある「インハウス化を進めたい」という企業からよく聞かれるのが、代理店に支払っているコストを削減したいという理由です。もちろん、代理店からインハウスの運用に切り替えることで、短期的なコストダウンは可能になりますが、長期的なリターンを見ると決してコスト削減に繋がっていないケースも多くみられます。
これに対し、広告は企業による投資に過ぎませんので、成果を獲得し続けなければ、運用を行う意味がないというのが弊社の見解です。長期的に成果を獲得し続けるには、運用のノウハウや経験を社内に蓄積するだけでなく、成果を出し続ける強い組織の構築が必要になってきます。
強い組織の構築には、即戦力となる高いスキルを持った人材の採用や、未経験者を育てていくためのロードマップの作成、またマネジメント層がしっかりと広告運用について理解し、メンバーを評価する体制が欠かせません。
これらの組織構築の必要性を加味せず、なんとなくコスト削減に繋がるといった理由でインハウス化を進めると、一時的にコスト削減を達成することはあっても、成果を恒常的に出し続けることは難しく、成果は出ないが人件費だけかかり続けるといったことが起こりかねません。
担当者が突然辞めてしまう
運用の担当者をなんとか確保したものの、突然会社を辞めてしまい運用自体が止まってしまうケースも多く聞かれます。
リスティング広告の運用を担当者ひとりに任せきりにしてしまうと、ナレッジやノウハウが属人化してしまい、新しい担当者が業務を引き継ぐのが難しくなります。
事業会社の広告運用担当者で高いパフォーマンスを発揮できる人材は、当然ですが市場での価値も高まり、外部の会社から引き抜きの声がかかるケースも少なくありません。
マネジメント層が運用担当者のキャリアプランをしっかりと描くことや、運用をひとりに任せずに蓄積されるナレッジやノウハウを社内で共有する体制、既存の担当者が仮に抜けてしまっても新しい担当者がすぐにコミットし一定のパフォーマンスを発揮できる組織を作ることが大切になってきます。
リスティング広告の目的が明確になっていない
新しく広告運用を始めたいという企業に多いのが「リスティング広告を何のために運用するのか」という目的が明確になっていないケースです。
広告運用の目的は、販売促進・ブランドの認知拡大など、企業によってさまざまですが、広告運用を通じて達成したい目的が明確でなければ、広告の正しい設計をすることができません。結果的に、誤った目標設定をしてしまい広告の予算に見合ったリターンを得られないといった問題が発生します。
リスティング広告のインハウス化を成功させるためのポイント

リスティング広告のインハウス化を成功させるには、以下のようなことを取り入れるのがおすすめです。
- 経営層やマネージャーも、広告運用における影響範囲を適切に認識する
- 自ら手を動かし、日常のコミュニケーションを確認する
- 伴走型コンサルティングを活用する
ポイント1.経営層やマネージャーも、広告運用における影響範囲を適切に認識する
ここまで述べてきたように広告運用をインハウス化するためには、コスト面だけでなく、採用面や事業全体のバランスも考慮した上で、判断していかなければいけません。
そのため現場の従業員だけでなく、経営層やマネージャーも、広告運用における影響範囲を適切に認識する必要があります。
近年の広告運用は、全体的な高度化・複雑化が進んできており、いかに情報をキャッチアップしながらPDCAを回していけるのか、といった地味で高負荷なパフォーマンスが求められます。
そうした背景も十分理解したうえで「適切な打ち手はどこなのか」という勘所を、経営層やマネージャーが常に鍛えておくことが重要だと考えています。
ポイント2.自ら手を動かし、日常のコミュニケーションを確認する
これまで代理店に広告運用を一任していた企業は、一度広告配信の作業を自分たちでもやってみる、という経験を持つことをおすすめします。
広告運用は見た目よりも地味な作業の連続です。それらを実際に体験することで、毎日の入稿作業の負荷だけでなく、現実的なオペレーション工数などもシミュレーションすることができます。
その結果、今後起こる可能性の高いリスクを、施策前にある程度予見できるようになる可能性があります。
詳細はこちらの記事でも解説しているので、合わせて参考にしてみてください。
ポイント3.伴走型コンサルティングを活用する
インハウス化を検討する際は、伴走型の運用支援を付けることを弊社ではおすすめしています。
未経験者が一から運用を始めるとなると、どうしても成果が出るまでに時間がかかってしまいます。
また、そもそものKPI・KGIなど目標設定が正しくなされていなければ、成果が出ているのかの適切な判断すらできません。
そこで、運用自体は自社で行いつつも、伴走型のコンサルティングを付けることで、メンバーの教育や組織づくり・目標設定をサポートしてもらうことができます。
また、見過ごしがちな運用ミスのチェック機能として、伴走型コンサルティングを活用することもできます。例えば、作業ミスに気づけず、リンク切れを起こしたまま広告を配信し続けてしまえば、そこにかけた数十万、数百万円は無駄になってしまいます。そのようなミスが積み重なっていくと、経営に与えるダメージも甚大です。
伴走型コンサルティングと連携し、運用のミスを防止するスキームを作ることで、起こりうるリスクを事前に回避できる可能性が高くなります。
リスティング広告のインハウス化に成功した事例

繰り返しになりますが、リスティング広告のインハウス化をうまく行うためには、ただ運用担当者を育成するだけでは不十分です。各社の規模やリソース・事業課題に合わせて、戦略構築や組織構築をしっかり行っていかなくてはいけません。
ここでは、実際にリスティング広告のインハウス化に成功した企業が、どのような取り組みを行い、どんな成果を上げられたのかを紹介します。
- 既存の代理店への依頼を続けつつ、一部のみインハウス化を行いCPAを30%削減
- 伴走型のコンサルティングを活用し、3ヶ月でCPAを安定させたインハウス化に成功
事例1.既存の代理店への依頼を続けつつ、一部のみインハウス化を行いCPAを30%削減
美容・化粧品の製造〜販売を行うA社では、取り扱っている商品や領域ごとに複数の代理店に依頼し、リスティング広告の運用を行っていました。
しかし、CPAが高騰したことから、インハウス化への舵切りを決定し、弊社とともにインハウスで運用できる基盤を構築していきました。
当初は、複数の代理店に広告運用を依頼しており、レポート含め煩雑化している状態であったため、まずは全体のKPI・KGIの再設定を実施。また、社内の運用担当者のノウハウが不足していたため、担当者をゼロからトレーニングし、自走できる状態を整えました。
このとき、最初から完全なインハウス運用を行わず、リソース状況に合わせて一部は代理店に委託したまま、徐々にインハウス化していく「ミドルインハウス」の形を取りました。
結果的に、月数千万円規模の運用規模に成長し、広告代理店に依頼していた時と同等のCV数を獲得しながら、CPAは30%削減を達成。リスティング広告に続き、Facebook広告でもインハウスで運用できる体制を構築しました。

SHINYA KIKUCHI
Marketing Strategist / Consultant
業界歴16年以上。運用型広告のコンサルティング、インハウス化支援、代理店の組織構築などを行う。 成果を最大化するためのチームビルディングが得意。
事例2.伴走型のコンサルティングを活用し、3ヶ月でCPAを安定させインハウス化に成功

株式会社すむたす様が運営する、不動産の買取再販サービス「すむたす売却」の事例です。
同社が抱えていた課題は「サービスをグロースさせるための環境整備」でした。少人数のチームであったため、社内のマーケターが最新のトレンドや知見を得ることが難しく、また取り組みについてのディスカッションを行えるパートナーがいない、などの問題がありました。
そこで弊社MOLTSにご相談をいただき、インハウス支援およびコンサルティングを実施。
まずはすむたす様の事業理解を深めることからスタートし、リスティング構築、KPI設計、アカウント構築等のサポートを行いました。
すむたす様とはチャットや月に2回の対面ミーティングで積極的にコミュニケーションを取らせていただきました。1日に何度もPDCAを回し、事業戦略にまで踏み込んで事業を成長させていくスタイルを実現。
その結果、取り組み開始から3ヶ月でCPAを安定させ、申し込み件数を増やしていくことに成功しました。
伴走型のコンサルティングによって、すむたす様からはこのようなお声をいただきました。
- 「僕らのリテラシーもどんどん高まり、結果的により高度なコミュニケーションを取れるようになっていく、という循環が良かった」
- 「マーケティングに関係ないメンバーも、いまではマーケティングに興味関心を持っていて、とても良い影響をいただいています」
より詳しい内容は、こちらの記事をご覧ください。

KENGO MATSUO
Marketing Strategist / Consultant
業界歴17年以上。デジタルマーケティング戦略設計・運用型広告(月額広告費10万円から数億円まで)を中心に支援。新規事業のテストマーケや計画設計も含め、様々なフェーズの支援を経験。
提供領域

SHINYA KIKUCHI
Marketing Strategist / Consultant
業界歴16年以上。運用型広告のコンサルティング、インハウス化支援、代理店の組織構築などを行う。 成果を最大化するためのチームビルディングが得意。
まとめ|インハウス化に固執せず、事業の状態から最適な運用方法を見つけよう
本記事では、リスティング広告をインハウス化するメリット・デメリットや成功させるポイントについて解説しました。
リスティング広告のインハウス化は、インハウス化することを前提として話が進んでしまうケースが多々あります。特に、日々の運用コストが大きく、代理店に支払う手数料が高額な場合や、既存の代理店の成果が芳しくない場合には、いち早くインハウス化したいと考える担当者も多いでしょう。
しかし、長期的な視点で見た時に果たしてインハウス化が妥当なのか、また本当にインハウス化することができるのかといった判断は慎重に行わなくてはいけません。
インハウス化をすれば必ずコスト削減に繋がる訳ではなく、組織や評価体制を社内でしっかりと構築する必要がありますし、担当者が突然辞めてしまった時に、事業に影響が出ないよう考慮しなければいけません。
弊社では、運用型広告のインハウス化を支援すると共に、インハウス化が妥当なのかのご相談にも対応しています。インハウス化を進めるべきか悩んでいる企業の担当者は、お気軽にご相談ください。
よくある質問とその回答
リスティング広告のインハウス化を成功させるには、「運用担当者の教育」と「組織体制の構築」を正しく行う必要があります。
マネジメント側が、ある程度の失敗は許容し、運用担当者に仮説と検証を繰り返す機会を十分に与えていくことが重要です。
またWeb広告のインハウス化は、社内に広告部署を作るようなものなので、販管費やメンバー評価・メンバーのキャリアパスなどをしっかり考え、長期的に成果を出し続けるための組織構築を行わなければいけません。
「インハウス化を進めたいが、教育やマネジメントをどのように行えばよいのか分からない」という担当者様に、MOLTSでは成果にこだわった伴走型のインハウス支援を提案しております。
まずは一度「リスティング広告のコンサルティング内容」をご覧ください。
インハウスと代理店のどちらにもメリット・デメリットがあり、どちらが良いとは一概には言い切れません。
例えば「インハウス運用を行って、代理店手数料を抑えつつ成果を出していきたいが、メンバーが他の業務と兼任しており、リソースを十分に割くことができない」という場合は、インハウス化しても本来必要な成果を出し続けることができない可能性があります。
そのため、今の事業課題やリソース状況に合わせて、インハウスと代理店委託の最適な方を選択する必要があります。
詳しくは以下の章をご覧ください。
著者情報

SHINYA KIKUCHI
Marketing Strategist / Consultant
業界歴16年以上。運用型広告のコンサルティング、インハウス化支援、代理店の組織構築などを行う。 成果を最大化するためのチームビルディングが得意。
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