「0から年間数万件の法人リードを生み出す組織へ」ネオキャリアがインバウンド文化へ変化していく5年の歴史

寺倉 そめひこ

Media Consultant / Business Producer

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「0から年間数万件の法人リードを生み出す組織へ」ネオキャリアがインバウンド文化へ変化していく5年の歴史

採用支援から人材サービス、またHR Techサービスに至るまで、30を越える事業を展開している株式会社ネオキャリア

MOLTSでは、ネオキャリアの人事向けクラウドサービス 『jinjer』のオウンドメディアとして立ち上がった『HR NOTE』のグロース支援を2016年より担当。また翌年からは組織全体でのマーケティング強化、マーケティング組織づくりなど、トータルでのコンサルティング支援をさせていただきました。

3年間に渡ったコンサルティング支援は2019年に終了しましたが、テレアポ文化が根強かったネオキャリアが、5年の月日を経て現在は年間数万件の法人リード創出を実現し、アウトバウンドカルチャーからインバウンドカルチャーへと変化しつつあるそうです。

そこで今回、『HR NOTE』を立ち上げ、現在はネオキャリアにてマーケティング部部長を務める根本慎吾さまとMOLTS寺倉そめひこが、お取り組み当時から今にいたるまでを振り返りました。

テレアポで成長してきた会社だったからこそ、はじめはインバウンドマーケティングの重要性を誰も理解していなかった

そめひこ:はじめてご相談いただいた2016年4月時点では、ネオキャリアはマーケティング部もなく、テレアポを中心としたアウトバウンドカルチャーの会社でしたよね。そんな中、ネオキャリアとしてHR Tech領域に踏み出した『jinjerシリーズ』が生まれ、『jinjer』の事業拡大のためのオウンドメディアとして『HR NOTE』を立ち上げたタイミングで、MOLTSがコンサルに入らせていただきました。

コンサルは3年で終了しましたが、あれから2年経ったいま、ネオキャリア全体でのマーケティング状況はどんな感じですか?

根本:オウンドメディアをはじめた当初は、インバウンドマーケティングの重要性について、まったくと言っていいほど社内からの理解を得られていませんでした。当時はLP(ランディングページ)という概念すら社内にないくらい、テレアポが強い会社でしたからね。

しかし、いまとなってはインバウンドマーケティングが、ネオキャリア全体における経営戦略のひとつにまでなっています。

リード件数もMOLTSにコンサルしていただいた時期に比べて数倍、トータルでは年間数万件へと年々増えているんです。専任担当者が私一人だけだったところから、現在ではBtoB領域で15名弱、その他集客や広報領域も含めると全体で約50人の組織にまで成長し、インバウンドマーケティングへの投資を強化し続けられる体制へとなりました。

そして、サービスによっては、売上の9割がインバウンドマーケティングから生み出せている部署も出ており、各事業部ごとに濃淡はあれど、インバウンドマーケティングが成長戦略を描く上で非常に重要であるという認識でチームが動いています。

そめひこ:すごい成長していますよね。MOLTSにご相談をいただくクライアントからも、「HR NOTEのようなことをしたい」と言われたりしますからね。

また僕の中で “ネオキャリア地獄” というのがあって。検索においての話になりますが、取りたいいくつかのキーワードの検索1位、2位が『HR NOTE』含め、ネオキャリアのサイトで埋め尽くされているんですよ。そこを今後どうやって崩していこうか、みたいなのと時々戦っています(笑)。

根本:メディアとして本当に強くなりましたからね。『HR NOTE』だけで年間数千件のリード送客ができるようになってますし、メディアの知名度も上がったことで、毎日のように掲載希望依頼のご連絡をいただいたりもしているんですよ。

また、オウンドメディア立ち上げ2年目からは『jinjer』だけでなく、全社のインバウンドマーケティングを担うため「アウトバウンドカルチャーをインバウンドカルチャーにする」というスローガンを掲げて動いていましたが、いま社内では「なにか新しいプロダクトを立ち上げるときは、インバウンドマーケティングとセットでやりたいよね」という発想になっています。

2016年当時は社内の誰も協力してくれなかったのに対して、いまでは事業部とマーケティングチームが協力体制を築けるようになっていたりと、少しずつネオキャリアのカルチャーが変わってきたなと実感しています。

0からスタートし、運営開始1年半後には100件のリード送客を達成。「はじめは検索順位1位の価値すら理解していなかった」

そめひこ:今回はアウトバウンド文化だったネオキャリアがどうインバウンド文化へと変化していったのか、まずは『HR  NOTE』が立ち上がった経緯から振り返っていければと思うのですが、あらためて当時はどういった課題感があったのでしょうか?

根本:2016年1月に人事向けクラウドサービス『jinjer』がローンチしました。当時はまだ世の中的にもHR Techの認知は低い状況で、そこで認知拡大およびリード獲得を目的として立ち上げたのが、人事向けオウンドメディア『HR NOTE』でした。

ただ、そもそもインバウンドマーケティングの知見が社内にあるわけでもなく、私自身どうやってメディアをグロースさせていくか、リード獲得に繋げていくのか、右も左も分からない状態だったんですね。そこで外部の知見が必要だということで、MOLTSにご相談させていただきました。

『HR NOTE』が始まってから4ヶ月後にようやくGoogle Analyticsを導入するレベルでしたので、最初は「Google Analyticsとは?」みたいな基礎からレクチャーしていただきました。また、そめひこさんからは「1日1本、記事を書く」というミッションを与えられていたので、腰と肩を痛めながら毎日記事を書いていたのを今でも覚えています。

そめひこ:実績ドリブンな多くの企業は、成果を出さないとメディア廃止という経営判断をされてしまうため、初年度にいかに成果を出すかが重要でした。「指標はPVだ!」と言ってた上司がある日「あんまり意味なくね」となるケースもある。そこで、まずは社内に認めてもらう材料を揃えるためにも、事業に好影響が出るリード数を成果指標にしていましたね。

しかし、すぐにリードが増えるわけでもなく、虎視淡々と成長のチャンスを伺いながら、少しづつ前に進み続けるしかない。成果が出ていないにも関わらず、お伝えしたやり方に沿って毎日1本記事を書くのは相当メンタル的にもしんどかったはずです。ゴールが見えない状況の中、愚直に記事を書き続けた根本さんは単純にすごいなと思ってました。

根本:当時は本当に知見がないので、なにが正解なのかわからなかったんですよ。なので、とりあえず書き続けろと言われたから、書き続けるという感じでしたね(笑)。

検索結果で上位表示されることの価値も理解していませんでしたから、当時「勤怠管理システム」というキーワードで検索順位1位表示になったときも、そめひこさんがめちゃくちゃテンション上がっていたのを見て、「PV数が増えていないのに、なんで喜んでるだろう」と思うようなレベルでした。リードの増え方を見て、その意味を知ったみたいな。

そめひこ:そんな中でも根本さんを「さすがだな」と思ったのが、取材記事をやりたいと言ってきたときです。経営的に価値があると思ってもらうためにも、まずは事業に直結する成果を達成することを優先すべきだったタイミング。そのため僕の中では、工数もかかり、さほど効果が見込めなさそうな取材記事は今はまだやるべきではない、という判断でした。その前に、やることがあると。

しかし、「それでもやりたい」と根本さんが言ってきたんですよね。それって根本さんが、誰よりもメディアのことを考えて、熱量を持ってコミットしているからこそできる発言。そういった熱量を持っている人がメディアを担当しているなら成功するなと思いました。

根本:「人事のためになるメディアをつくりたい」と思っていたので、成果を出すためにやらなければいけないことと、人事のためという観点でやりたいことの二軸で常に葛藤し続けていて、そめひこさんからもよく「それ意味あるんですか?」と詰められてましたね。

ただ、僕からしたら、そめひこさんが誰よりもコミットしてくれていたと感じています。たとえば目標が未達になりそうなときも、ネオキャリア側のメンバーではなく、そめひこさんが一番どうにかしようと頭を使って考えてくださり、動いてくれていたなと。だからこそ、最終的に初年度で目標としていた月間100件のコンバージョン(CV)獲得を達成できたと思っています。

そめひこ:どこかのタイミングで「目標達成まであと1件足りない!」となって、今だから語れますがMOLTSが『jinjer』を申し込んでリードに貢献していましたね(笑)。そのまま、契約になり、今でも弊社は『jinjer』です。

「倍の目標なら達成できるからつまらない」視座を高めたことで、組織文化を変えていく動きがとれた

根本:初年度で100件のリード獲得が達成できたので、2年目は月間200件を目標にしようとしたら、「このままの成長曲線を描けば、当然200件は達成できる。それであれば1,000件を目指すべき」だと、そめひこさんに怒られましたね。

そめひこ:「延長戦で見える事をしてても面白くないですよ! より美味い酒は飲めないですよ!」と伝えていた記憶があります(笑)。

根本:ただ、どう考えても1,000件はさすがに厳しいぞとなり、月間400件のリード獲得を最終的な目標に設定しました。そして200件はマストで達成させ、その上で400件を達成するためにはどうすればいいかという発想で動いていこうとなりました。

そこで『jinjer』だけでなく、他のサービスへも送客していく必要があるということで、「アウトバウンドカルチャーをインバウンドカルチャーにする」というスローガンを掲げ、『HR NOTE』以外のメディアとして採用ポータルサイトもその後立ち上がっていきました。

そのタイミングで、ふたり体制だったマーケティングチームに新卒社員が加わったり、異動制度で他部署の人間が加わったりと、人数が増えていきました。また、他サービスへ送客するためには他部署との連携が必要なため、そめひこさんが役員陣にいくつかプレゼン、ディスカッションしていただいたりもしました。

メンバーの評価をどうするかといったこと含め、「こういうことも、そめひこさんに相談していいんだっけ?」という内容も積極的に相談して前に進めていきましたね。

そめひこ:僕がコンサルタントとして関われる時間は限られているものの、外部じゃなく同じチームの仲間として関わらせてもらっていると思っていたので、僕がお伝えできることはすべてお伝えしようと思っていました

いま振り返ると2年目はクリティカルな戦略に基づいて行動するというよりかは、高い目標に対してひたすらやれることをやるという、根性論でのアプローチでしたよね。ただ、当時のネオキャリアにはそれがあっていた、そう今でも思っています。それによって視座が高まり、マーケティング組織としての土台づくり、多くの人が「インバウンドいけるんじゃないか」という視点になり、実績も増え、ジャンプアップに繋がっていったのかなと感じています。

そして『HR NOTE』内に他事業部のLPをつくれる機能を作って、リード獲得の受け皿をひたすらつくっていき、元々あったメールアドレスのリストからメルマガからの送客も含め、月間400件のリード獲得が達成。そこで月間400件いけるのであれば、3年目は年間8,000件を目指しましょうとなりましたね

根本:ただ、2年目、3年目のときにつらかったのは、営業側にリード送客しても、ありがたみを感じてもらえなかったこと。そのタイミングでは、まだSFA(営業支援システム)を導入しはじめていたタイミングだったので、マーケティングチームがどれだけ組織に貢献しているのか、リードから受注までを可視化する仕組みができていなかったんです。

しかし、さらなるリード獲得のためにはコンテンツマーケティングだけでなく、セミナーを開催など事業部サイドと連携していく必要があります。そこで、そめひこさんからは、「まずは全事業部に対して動くのではなく、1〜2事業部に集中し、成功事例をつくっていきましょう」と言われました。その上で成功事例を持って、他事業部を説得していくという動きをとっていこうと。

そして、リード送客がどれだけ売上に繋がっているのかを可視化できるようにしていき、社内でも少しずつインバウンドマーケティングの重要性が理解されるようになっていきました。

その結果、はじめは我々の人件費くらいしか予算がなかったのが、いまは各事業部からマーケティング予算をもらえるようになっていったんですよ。それはカルチャーが少しずつ変わってきている証拠だなと感じています。

営業もマーケも強い会社を目指して。ネオキャリアの成長の転換点をつくっていく

そめひこ:メディア運営開始4年目からは、MOLTSのコンサルティングが終了して自走する形だったと思うのですが、どうやって進めていったんですか?

根本:まず、4年目になって “チーム” から “マーケティング部” へと変わりました。そしてやったことも、本当にそめひこさんから学んできたことを愚直にやり続けてきた、という感じです。

ただ、自分の中では大きな変化がありました。そのタイミングでは、すでに組織全体としてもマーケティングの重要度が高まっていたため、自分が責任持って決断して進めていかないと、この組織が潰れるなと思ったんですね。

いままでは、そめひこさんに甘えていた部分もあったと思うんです。しかし、自走しなければいけなくなり、「自分たちだけでやっていくんだ」と覚悟を決めたのを覚えています。

また、そめさんからも「決断したら、あとはそれを正解にするしかない」と言われたことがありましたが、まさにその通りだなと。決断と実行の繰り返していくことで、徐々に自分の中でも自信がついていったなと感じています。

そめひこ:2年半が過ぎた頃から、僕が離れたほうがネオキャリアのマーケティング組織は成長するなと感じていて。既にみなさん自走していたが、僕が関わることで殻になって広がりができていないと感じることもありました。また、外部の人間が踏み込めるライン、そして組織や施策が広がっていく中で最初からいたコンサルタントが見れる範囲は限られていき、根本さんを中心に推進していくことで、より加速していくだろうなと思っていました。

その頃ちょうど新規事業をつくろうという話もあったので、生活の一部になっていた新宿への訪問がなくなる寂しさがあり、非常に悲しい選択でしたが、3年ちょうどでコンサルから離れる決断をしました。

だから、今こうして成長されている話を聞いて、あの時決断したことが間違ってなかったと、凄く嬉しく思っています。コンサルティングを受けて、よかったなと思えることって何かありますか?

根本:一番は、視座を高めてもらえたことです。2年目の目標設定のときもそうでしたが、そめひこさんがいなければ、5年でリード獲得を0から数万件へと成長させていくようなスピード感を実現できていなかったと思います。

あのとき、目標を400件ではなく200件のままにしていたら、『jinjer』単体のマーケティング活動に収まっていたかもしれません。

また、初年度に1日1本、記事を書くというミッションを与えられ、そこで「ユーザー視点」というのを口酸っぱくそめひこさんに教えてもらいました。いまはeBookやホワイトペーパー、ウェビナーなども展開していますが、初期からユーザー視点の重要性を理解していたからこそ、成果に繋がるユーザーコミュニケーション設計ができていると実感しています。

そして、アウトバウンド文化の会社がここまでインバウンドマーケティングを遂行していくなんて、経営陣ですら描けていなかったビジョン。そめひこさんが経営陣を巻き込んで進めてくださったからこそ、そのビジョンがいま実現に近づいているのだと思っています。

そめひこ:とてもありがたいです。新型コロナウイルスの影響が出る前に、インバウンドマーケティングの基盤をつくれたのは本当によかったですよね。

根本:本当にそう思います。いまはコロナ禍でリモートワークが増えていて、テレアポが全然通用しなくなっているんですよ。

また、コロナ以前からサイトに電話番号を載せない企業も増えていましたし、テレアポを嫌う会社も増えていましたから、インバウンドマーケティングの土台ができていたのは、会社として本当によかったなと思っています。

そめひこ:最後に、今後の展望を教えて下さい。

根本:営業もマーケティングも両方強い会社って、なかなかないと思っているんですね。そこで、今後よりインバウンドカルチャーを社内に根付かせていき、ネオキャリアを「営業も強いけど、マーケティングも強い会社」にしていきたいと考えています。

そのためにも、1部署1専属マーケター制を目指して、社内での成功事例を1つずつ増やしていきたいなと。そして数年後に振り返ったときに、「ネオキャリアの成長の転換点は、マーケティング部がつくったよね」と社内から言われるように、日々邁進していきたいと考えています。

そめひこ:多種多様な事業をてがけているからこそ、営業が強くないといけない市場もあれば、マーケティングが強くないといけない市場もあって、そこを網羅できるようになればネオキャリアはめちゃくちゃ強い会社になりますよね。

これからの展開、非常に楽しみにしています。多くの企業がネオキャリアの牙城を潰しにかかってくることも増えてくるかと思いますし、僕も他社にアサインされれば潰しに行きます。ただ、そうやってお互い高めあえて行けると、数年後またさらなる高みで話ができて楽しそうですね。次のステージで美味い酒を飲みましょう。本日はありがとうございました!

この記事を書いたメンバー

SOMEHIKO TERAKURA

寺倉 そめひこ

Media Consultant / Business Producer

1987年、京都生まれ。藍染職人から2013年株式会社LIGに入社。同社でメディア事業部部長、人事部長を経て、2015年9月からは執行役員を務める。2016年3月にデジタルマーケティングカンパニー『MOLTS』を設立し、独立。オウンドメディア、コンテンツマーケティングのアドバイザリー、インハウス化支援、運用代行を軸にし、事業開発、営業組織教育、組織開発など幅広く支援の幅を広げ、累計50社以上の事業成長に貢献する。

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