月間100万UUを超えた睡眠専門メディア『フミナーズ』。その成長の裏側に迫る

月間100万UUを超えた睡眠専門メディア『フミナーズ』。その成長の裏側に迫る

睡眠情報メディア「フミナーズ」は、現代人の睡眠に関する悩みを解消するため、2015年3月にスタートしました。

MOLTSは、さらなるメディアのグロース、また事業構築を目指し、2016年5月から「フミナーズ」のコンサルティングを担当。その後、1年で媒体の数字は激増し、目標に掲げていた月間100万UUを達成しました。※その後も順調に伸び続けて、2018年1月時点で400万UUを大きく超えています。

今回、「フミナーズ」を運営する帝人株式会社ヘルスケア新事業部門デジタルヘルス事業推進班リーダ 濱崎洋一郎氏と、同社ヘルスケア新規事業部門デジタルヘルス事業推進班の和田和子氏、MOTLS代表取締役の寺倉そめひこを交えた3名で、媒体成長の裏側を振り返りました。

※「フミナーズ」をはじめとした、B2C向けヘルスケア事業の運営は、帝人のグループ会社、株式会社ねむログが行っている。濱崎氏は、ねむログの代表も兼務。

Media Consultant / Business Producer
寺倉 大史
業界歴9年以上。事業開発、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。藍染職人、株式会社LIGを経て、メディアコンサルタントへ。

高く掲げた目標まで一緒に歩んでくれる人を探した


濱崎洋一郎氏(左) 和田和子氏(右)

寺倉そめひこ(以下・そめひこ):フミナーズのご相談をいただいたのは、僕がちょうど独立するタイミングでした。実は、独立後初めて携わらせていただいた案件でして。僕にとっても、思い入れの深いプロジェクトです。

濱崎洋一郎さん(以下・濱崎氏):そうだったんですね。それは嬉しいなぁ。

そめひこ:最初、どういった経緯でご相談いただいたんでしょうか?独立したばかりの人間に、なかなか相談しないですよね(笑)

濱崎氏:普通はそうかもしれませんね(笑)フミナーズは、リリースして最初の1年間で睡眠領域の情報発信に手応えを感じ、2年目の2016年はより角度を上げて伸ばしていこうと、月間100万UUという目標を設定しました。ただ、当時の媒体規模から考えると数字が大きすぎて編集部も実感を持てないような状態だったんです。

そめひこ:掲げた目標までの道筋をどう描くかって、難しいですよね。

濱崎氏:そうなんですよ。いままでと同じやり方で目標を達成するのは難しいとわかっていたので、従来の記事作りを担当いただいているパートナーに加えて、新たにメディアのグロースを得意とする方に手伝ってもらいたいと考えました。そこでお会いしたのがそめひこさんだったんです。

そめひこ:それでご相談いただいたんですね。濱崎さんからお話を伺ったとき、『得意領域だし、スキルとノウハウが活かせるだろう』と思い、是非やらせてくださいと即答させていただきました。

濱崎氏:私としては頼りになる人に関わってもらえることになった、と思ってたんですけど、他のメンバーは同じようにはいかなくて。最初、紹介したとき、和田さんのそめひこさんに対する態度は結構冷たかったですよね(笑)

和田和子さん(以下・和田氏):そんなことないですよ(笑)ただ、私は新しいパートナーが入ることも知らなくて、話を聞いて「そめひこ」ってインパクトのある名前の方だなと思ったくらいで。

そめひこ:たしかに、苗字の寺倉ではなく、「そめひこ」といきなり名乗るのは日本でも僕くらいかと思います(笑)

濱崎氏:たしかに、名前は印象的ですよね。名前も本名じゃなくて、独立したてで、メディアのグロースが強みで、コンサルタント…といわれると「この人本当に大丈夫?」と思っちゃいますよね。

そめひこ:改めて要素を並べていくと完全に怪しい人ですね。。

和田氏:でも、実際に一緒にお仕事をしはじめると、一気に印象が変わりました。

そめひこ:怪しいままで進んでいなくてよかったです(笑)

「一緒にやっていきましょう」という空気作り

そめひこ:いや、でもお仕事が始まってからは良い印象を持っていただけたようで嬉しいです。

濱崎氏:そめひこさんは“コンサルっぽくない”ですよね。

そめひこ:それって良い意味ですか?

濱崎氏:良い意味ですよ(笑)私たちもさまざまなコンサルタントとお付き合いがありますが、「こうすべき」と指摘してくださる方はたくさんいらっしゃいます。一方、そめひこさんは指摘に留まらず、「一緒にやっていきましょう」という空気を作るのがとてもうまいなぁと。

そめひこ:褒めてもらえるとは思っていなかったので、嬉しいです(笑)

和田氏:雰囲気って大事ですよね。メンバーを巻き込み、運用を回せる仕組みを整備して、やらなければいけないような雰囲気作りをする。すると、それぞれが自主的に動きはじめるんです。指摘だけでは、なかなか人は動けませんから。

濱崎氏:スタートしてすぐ、メンバーがそめひこさんに抱く印象も変わりましたね。ちょっと褒めすぎですかね?

そめひこ:褒めて伸びるタイプですので、どんどんお願いします。

「この予算、僕にくれませんか?」から始めた編集部の成功体験作り

そめひこ:フミナーズに関わり始めて、最初に濱崎さんから言われたことは、「一カ月間全体を見てください」というものでした。

濱崎氏:そうですね。フミナーズには、記事制作を担当する企業やSEOコンサルの企業など、さまざまな会社が関わっていました。まずは、状況を俯瞰して理解した上で、事業を見てほしかったんです。それで、まずは全体を見てほしいとお願いしました。

そめひこ:俯瞰したことで、フミナーズのどこから着手しなければならないかが整理できました。その上で、最初にアプローチしたのは流入元の費用対効果の算出。何にいくら予算を使っているかをGoogle Analyticsのデータと併せて分析しました。その結果、外部媒体へ記事を掲載する際の費用対効果が悪いことがわかってきました。

和田氏:そうでしたね。費用対効果が悪い部分を明らかにした後、「この予算、僕にくれませんか?」と言われたのを覚えています。

そめひこ:まず、グロースのフレームワークを取り入れようと考えたからです。このフレームワークはこれまでの経験を元に体系化した、再現性のあるものだと考えています。ただ、他のメンバーからすれば、いきなりやってきた人が考える新しいやり方を、いきなり納得して取り入れてもらうのは難しい。

濱崎氏:たしかに、すぐに納得してもらうのは難しいでしょうね。

そめひこ:納得してもらうためには、結果を残すことが一番です。グロースにおけるソーシャル流入と検索流入の関係性を知っていただくために、媒体にとらわれない拡散力のあるコンテンツを作ることができるパートナーに記事制作を依頼しました。カツセマサヒコさんさえりさんツベルクリン良平さん安達裕哉さんの4名です。結果、皆さん素晴らしいパフォーマンスを発揮し、ソーシャル流入が増加。全体の数字的にもグロースへ向かう可能性をお見せすることができました。

濱崎氏:あの記事は数字の伸び、また全体の数値の伸びもすごかったんですが、ライターのみなさんのフットワークの軽さに驚きました。

そめひこ:特に印象に残っている記事はありますか?

濱崎氏:どれも印象に残っていますが、さえりさんに書いていただいた柳沢教授へのインタビュー記事は特に印象に残っています。柳沢教授は筑波大学にある国際統合睡眠医科学研究機構のトップで睡眠に携わる人で知らない人がいないほど有名な方です。その方をインタビューしてくるのはなかなかできないですよ。

そめひこ:僕がきちんと段取り踏んで行えていなかったところもあるのですが(笑)、自ら動いてくれて、すぐにアポを取って取材に行ってましたね。ツベルクリン良平さんの記事も、睡眠コンサルタントの友野なおさんを自宅に呼んで記事にするというものでした。アクティブで企画力のあるライターのみなさんに助けられました。

和田氏:私たちも友野さんはお付き合いがあるのですが、自分たちで企画したりしても、あの記事は生まれなかったと思います。ツベルクリン良平さんの記事は、話題になったおかげで、いまだに検索上位に掲載されていて、読まれ続けていますね。

編集部と媒体特性に合わせ、注力して伸ばす流入経路の決定

和田氏:あのタイミングでソーシャル流入を狙って記事を作ったのは、検索流入を強化していくための土台作りの意味があったんですよね。

そめひこ:そうです。関わり始めた当時のフミナーズは広告からの流入がメインでした。フミナーズのように月に掲載するコンテンツ数が多くないメディアの場合、リファラルやソーシャルを流入元にしながら数字を伸ばすのは難しく、仮に伸びても単月で終わりやすい。持続的にメディアを成長させていくためには、検索を柱に流入を獲得していくことが一番だと考えました。

和田氏:当時、継続して読者を集められる仕組みを作るために検索流入も狙おうとしていたため、ちょうどいいタイミングだと思いました。

そめひこ:検索を流入の柱に据えることを決めた後は、パートナーと一緒にまずはキーワードに基づいた記事を制作、モデルとなるコンテンツを作りました。

和田氏:そうでしたね。検索を意識したコンテンツを作りたいと考えても、作成するための知見はなかったので助かりました。

そめひこ:その次は、地道に過去記事のメンテナンスを行いました。過去に掲載されている記事も、流入経路の特性を踏まえてしっかりとメンテナンスすることで、検索流入は伸びましたね。

和田氏:懐かしいです。会議室に缶詰になってコツコツとメンテナンスしましたね。それまでは、公開したらそのままの記事が多かったので、メンテナンスすると数字が伸びていくのがよくわかりました。

濱崎氏:地道な施策を1つずつ重ねていって、 4月の時点では「100万UUなんて現実味がなさ過ぎる」と思っていた編集部も、夏頃には「これはイケるんじゃないか?」という空気になりましたよね。

試行錯誤を重ねながら編集部の体制を変更

そめひこ:目標に到達するまでの道筋がわずかに見えたものの、その後もなかなかスムーズにはいきませんでした。100万UUという目標を考えると、当時のペースのままでは間に合いそうになかった。

和田氏:そのときに、メインで掲載していたニュース記事を、検索を意識した記事に変えていきましょうと提案いただいたんですよね。

そめひこ:そうです。他のメンバーの方にもご無理を言って協力していただきました。

和田氏:大きくメディアの運営の方法を変えることになるご提案でしたが、「やりましょう!」と、体制のシフトを進めていくことにしました。

そめひこ:検索を重視した編集部の体制に変えていくために、検索を意識したコンテンツの見本を作成したり、キーワードの洗い出しや、見出し数や記事ボリュームなどのリサーチの実施、ディスカッションしたり…。

和田氏:アドバイスだけではなく、実際にMOLTSさんが手を動かしてくださる場面もあって、とても助かりました。

濱崎氏:ただ、やはり検索を意識した記事をコンスタントに出せるようになるまでに、時間がかかりましたね。企画から記事を作っていたのを、検索キーワードから記事を作るという方法に切り替えるのに苦労しました。いくつもの失敗を重ねた数ヶ月でした。

そめひこ:あの時期は、いろんなことを試行錯誤しました。何かを変える、ということはやはり時間と力が必要だということを再認識しました。また、私のミスもあり御社に損失を出してしまったこともありました。

濱崎氏:そんなこともありましたね。正解がわかっているわけではなく、目標の達成に向けて、様々なことを試す時期でした。

そめひこ:毎週、大人数で集まって、なかなか話が進まないということが続いていました。僕個人としては、週を追うごとに焦りが募っていました。

濱崎氏:そめひこさん焦ってましたね。

そめひこ:あれ、バレていました…?

濱崎氏:それはもう(笑)ただ、あの揺り戻しは必要なことだったと思っています。行ったり来たりを繰り返すことで、関わるメンバー全員の理解が進み、数ヶ月後には狙い通りに記事を作れるようになりました。あの数ヶ月があったからこそ、目標は達成できたと思います。

「目標」をチームにリマインドする存在として

そめひこ:僕、改めて濱崎さんにお伝えしないといけないと思ってることがあるんですよ。

濱崎氏:なんですか?

そめひこ:僕はあの数ヶ月を経て、改めて濱崎さんがクライアントですごく良かったと思ったんですよ。

濱崎氏:そうですか。

そめひこ:あれ、あっさりですね(笑)

濱崎氏:冗談冗談(笑)なんで、良かったと思ったんですか?

そめひこ:濱崎さんは「和を重んじる」方で、僕が冷静になれなくてパートナーと言い合いになりそうなときも常に冷静に場を整えてくれることが何度もあったんです。その冷静さにいつも助けられたなと思っていて。普通、僕は冷静でいなければならないんですが(笑)

濱崎氏:こちらこそ、そめひこさんには感謝したいです。和を重んじる良い人の役を演じていると、誰か悪者になる人が必要なんです。「なんだよこれは!」ってそめひこさんが言うから、「まぁまぁ落ち着いて」と私は治める役割に徹することができる。

そめひこ:ちゃんとお役に立てていてよかったです(笑)本日を迎えるにあたってこの1年弱を振り返り、あらためてちょっと反省してました。

濱崎氏:そめひこさんは、目標をチームにリマインドしてくれるじゃないですか。それがすごく大事で。言われて、みんな目標を思い出してる。

和田氏:そめひこさん、最近も焦ってますよね。「今年は数字も堅調に伸びているからいいね」という空気の中、「そうじゃない!」って顔してる。

そめひこ:完全に顔に出てるんですね(笑)

和田氏:最近の焦りは何に対してなんですか?

そめひこ:今期掲げている目標に対して、現在の進捗状況が焦りにつながってますね。今のスピードだと、目標が達成できないんじゃないかと。

濱崎氏:たしかに、焦らないとまずい時期にきてますね。

そめひこ:今期はマネタイズを本格的にしているので、よりいっそう焦る気持ちがあります。マネタイズに向けて、スピードを上げるために記事制作のチームとマネタイズのチームに分けましたが、まだなかなかスピードは上がっていないので。

濱崎氏:正直に言えば、本当は成果に対して焦らなければいけないタイミングではあるんですよ。2015年に新規事業を立ち上げて、17年度は3年目。決めているわけではないのですが、3年が経つと結果が気になり始めます。ただ、私が焦ると、みんなやりにくくなってしまいますから。

そめひこ:おっしゃる通りです。代わりに、僕が焦っているくらいでちょうどいいと。

濱崎氏:そう思います。いい役割分担ができていると思っていますよ。

そめひこ:では、僕は引き続き焦りキャラで(笑)

濱崎氏:お願いします(笑)でも、そめひこさんに助けられてるのは、そこだけじゃないんですよ。

そめひこ:ほんとですか!

濱崎氏:媒体が成長して、注力するべきことが変化しても、変わらず関わってもらえている。ゼロイチが得意な人と、10から100に伸ばすのが得意な人って、普通は違いますよね。ただ、求める役割が変わったからといって、お願いする人をスイッチしちゃうと、新しい人とはそれまでの成功体験が共有できない。

そめひこ:たしかに、役割を変えつつ、継続して関わらせていただいていることで、気付けることも増えているかもしれません。

濱崎氏:そうなんですよ。過去の積み重ねがあるから、「ここは大事だ」「これはやっちゃダメだ」って一緒に考えやすい。フェーズに応じて、人が変わってしまう
と引き継げないじゃないですか。連続して見てくれる人が側にいるのは、とても助かっています。

そめひこ:そう言っていただけてうれしいです。

濱崎氏:100万UUという土台作りからご一緒できたからこそ、マネタイズや今後を考える上でも、これまでの文脈をわかった上で話ができる。そめひこさんの「一緒にやっていこう」という姿勢と相まって、良い意味でパートナーになれていると思いますね。

フミナーズは睡眠のポータルサイトに

そめひこ:最後に、聞いてみたいことを聞かせてください。この先、フミナーズをどうしていきたいとお考えですか?

濱崎氏:マネタイズ以外でいえば、現状5人に1人が眠りの問題を抱えているという調査結果がある中、眠りに課題があると自覚できていない人も少なくありません。そういった人に対しても何かしらアプローチをしていきたいですね。

そめひこ:より広い人々にリーチしていきたいと。

濱崎氏:そうです。以前、ある人に「フミナーズは睡眠のYahoo!になれる」と言われました。情報もあるし、モノも買えるし、コミュニティもあるし、相談もできる。そういった、ポータルサイトのような場になるといいですね。

そめひこ:ここまで情報の信頼性を担保し、専門家・お医者さんにも話を聞き、しっかりと睡眠に関する情報を発信しているところは多くありません。人々が不眠に困ったらフミナーズにいく、という行動が当たり前になってほしいですね。

濱崎氏:では、せっかくなので私からも聞いてもいいですか?MOLTSさんは最近人を増やされていますが、今後はどんな風に拡大していくつもりなんでしょう?

そめひこ:僕らは、どこまでいっても「美味い、酒を飲む。」ことを目指していくだけですね。そのために、成功体験を積み重ねていきたいと思っています。フミナーズの皆さんともこの間、ようやく一緒にお酒を飲めましたね。

濱崎氏:あれは楽しかったですね!普段話さないようなメディアの将来の話とか、プライベートな話もできましたね。そめひこさんの結婚の話とか(笑)

そめひこ:その節はありがとうございました。お花までいただいて、本当嬉しかったです。

濱崎氏:今回は和田さん席が遠かったので、たぶんそめひこさんあまりお話しできてなかったのかな。

そめひこ:やっぱり避けられてるんですかね。

和田氏:そんなことないですよ(笑)こんなスピーディーに結果へ導いてくれたパートナーは、今までで初めてです。こちらもはやくしたいという気持ちがあったので本当にありがたいと思っています。

そめひこ:和田さんから褒められるとやっぱり嬉しいですね。でもあのお酒も、目標を100万UU達成できたから、とても楽しく飲めたんだと思うんです。良いお酒を飲むために、成果を目指す。今後も、そうやって仕事をしていきたいそういった経験をたくさん積んでいきたいですね。

濱崎氏:また飲みに行きましょう。次は席を並べて。

著者情報

TAISHI TERAKURA

寺倉 大史

Media Consultant / Business Producer

業界歴9年以上。事業開発、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。藍染職人、株式会社LIGを経て、メディアコンサルタントへ。

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