データドリブンマーケティングとは?実施手順やよくある失敗を解説

MOLTS編集部

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データドリブンマーケティングとは?実施手順やよくある失敗を解説

企業の競争力を高めるために、データドリブンマーケティングを本格的に組織に取り入れたいという企業が増えています。

データドリブンとは、「データによって動かされる」つまり、データを意思決定の判断軸としたマーケティング手法や経営手法のことを指します。

データドリブンマーケティングや、データドリブンを軸とした経営手法は、日本では2017年ごろから関心度が高まり、最近では経営幹部にデータ活用の責任者(CDC)を据える企業も見られます。

本記事では、データドリブンマーケティングの基本的な考え方から、実際の成功事例、また組織に取り入れていくために知っておくべきポイントや注意点について解説をしていきます。

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データドリブンマーケティングとは?

記事の冒頭でも説明しましたが、データドリブンマーケティングの「データドリブン(Data Driven)」とは、データによって意思決定を行うことを意味します。

従来のマーケティングでは、「何となくこちらの施策が良さそう」「かつて成功した施策だから」といった、勘や経験に基づいた意思決定が行われる場面がありました。

しかし、市場の移り変わりが激しい現代においては、手掛けているビジネスが今までとは全く異なる状況におかれるケースも多く発生するため、今まで通りの担当者の勘や経験だけに頼っていては生き残っていけない現実があります。

データドリブンマーケティングでは、勘や経験といった要素をできるだけ排除し、収集したデータの検証を通して、マーケティング施策の計画〜改善を行なっていきます

データをもとにマーケティング施策を実行し、また実行した施策に対してもデータを用いて効果検証と改善を繰り返すいわゆる「PDCAサイクル」を高速に回していくことで、マーケティング施策の成功率を高めていくことが可能になります。

データドリブンマーケティングが注目されている背景

データドリブンマーケティングが注目されている背景として、企業が得られるデータが従来に比べて格段に多くなったことが挙げられます。

特に、Web上のユーザー行動に関しては、Googleアナリティクスをはじめとするアクセス解析ツールや、マーケティング効果測定ツールなどが広く普及し、比較的簡単にデータ収集〜分析が行えるようになりました。

またオープンDMPなどを活用して、自社では取得できない外部データ(3rd party data)を取り扱えるようになったことや、位置情報データやPOSデータを活用してリアルな顧客行動をデータ化できるようになったことも、企業のデータドリブンマーケティングを後押しする要因です。

このように、様々なデータを収集〜分析することで、今まで詳細に把握することのできなかった顧客の行動を「見える化」できるようになったため、データをもとに最適なマーケティング施策に投資するデータドリブンマーケティングの考え方が、普及してきたと言えるでしょう。

データドリブンマーケティングを始める上で重要な4つの考え方

データドリブンに意思決定を行なっていきたいと思っても、様々な障害があります。ここからは、データドリブンマーケティングを始める上で、意識しておくべきポイントについて解説していきます。

1.正しいKPIツリーを立てることが大前提

データドリブンマーケティングは、ただ得られるデータをもとに数値の改善を繰り返すことと捉えられがちですが、ここには大きな落とし穴があります。

データドリブンマーケティングを実行する上で大前提となるのが、データに基づいたKPIツリー」が正しく組み立てられていることです。

KPIツリーとは、最終目標に据えた「KGI(重要目標達成指標)」を達成するための「KPI(重要業績評価指標)」、また各KPIを達成するための「施策」がツリー構造で紐づいている状態を指します。

この「KPIツリー」が破綻している、もしくは十分に意識がされていないと、得られるデータを元に数値の検証〜改善を続けたとしても、思ったような効果を得られないといったケースがほとんどです。

とあるECサイトを例として、KPIツリーを見てみましょう。

KGIとして目標とする「売上高」を設定したとします。この場合、「ECサイトの流入数」「コンバージョン率(CVR)」「客単価(1回あたりの購入金額)」を各KPIに据えて、それぞれの数値を改善することで、売上高の最大化を見込むことができます。

売上高(KGI)=サイト流入数 × CVR × 客単価

また、KPIも各施策に紐づいている必要があります。「ECサイトの流入数」を増やすためには、「広告」「自然検索」「SNS」といった流入経路別に分解し、それぞれの流入数を最大化していく必要があります。

ECサイトの流入数(KPI)=広告 + 自然検索 + SNS

データドリブンマーケティングにおいて、よくやってしまいがちな誤りが、KPI構造を意識せずに、特定の施策の数値改善に注力してしまうことです。

売上アップを意識するあまり、クーポン施策だけに終始してしまう、サイト改善だけにリソースを割いてしまうなど、場当たり的な対応をすると、全体のマーケティング活動の最適化にはつながりません。

データドリブンマーケティングを機能させるためには、正しいKPIツリーが大前提であることを頭に入れておく必要があるでしょう。

2.データの重要性を理解する

データドリブンマーケティングを始める上で、まずはデータの重要性をしっかりと理解する必要があります。データドリブンマーケティングは、データを分析するだけでなく、次のアクションにつなげていくことに意味があります。

現場レベルでデータの重要性を理解していても、経営層(意思決定者)がデータ活用に理解を示さなければ、施策を実行に移していくことができません

特に飲食業など実店舗をもつビジネスの場合、経営層のデータへの関心度が低いケースがあります。後述するデータの見える化など、データをわかりやすい形でレポートすることや、勉強会を開くといった工夫が必要になってきます。

3.データドリブンマーケティングはトップダウンで進める

経営層がデータの重要性を理解するとともに、データドリブン経営を行なっていくためには、トップダウンで組織の変革を進めていく必要があります。

データドリブンマーケティングは、今まで現場の担当者が行なってきた意思決定の仕組みを抜本から変えていくもので、現場の反発を招いてしまう場合があります。

また、時にマーケティング部だけでなく、営業やカスタマーサクセスといった部署を横断した施策が必要になる場合もあります。

例えば、KPIツリーにおいて受注率が重要な指標になる場合は、データをもとに営業施策の改善を行なっていく必要がありますし、LTVの向上が重要な指標になる場合は、カスタマーサクセスのサービス改善が欠かせないことが多々あります。

また、部門ごとで分断されているデータを統合して分析していくことも欠かせません。

データドリブンマーケティングを進めていくためには、経営層が指揮をとり、組織が一丸となってデータを活用する体制を作ることが大切です。

4.データの見える化をする

収集したデータはただの数字の羅列にしか過ぎません。過去の数値との比較や、他のデータと照らし合わせることにより、初めてデータに意味を持たせることができます。

例えば、Webサイトの月間アクセス数だけを把握しても、具体的なアクションに落とし込むことはできません。前月や昨年同月との比較を通して、トラフィックの増減や増加率を割り出すことができます。

また、カテゴリーやページ別のトラフィック数や、流入経路ごとのトラフィック数、ページごとのコンバージョン率などを把握することで、改善への分析を始めることができます。

このようにデータは収集するだけでなく、施策につなげるために「見える化」が欠かせません。この見える化の作業には、データ処理や統計・データベースに関する知識やスキルを持った人材が求められますので、企業によってはデータアナリストを新たに採用する、外部パートナーを活用することも検討すべきでしょう。

データドリブンマーケティングを始めるステップ

データドリブンマーケティングを始める具体的なステップを解説していきます。

STEP1:KPIツリーの設計

まずは、デジタルマーケティングの根幹となるKPIツリーの設計から始めましょう。最終的な目標であるKGIを達成するために、正しくKPIを組み立てていくことが大切です。

KPIを設定することができたら、具体的に何のデータを集めていく必要があるのかを定義しましょう

例えば、サイトへの流入数であれば、広告・オーガニック(自然検索)・SNS・Direct・リファラル(一般サイト)など流入チャネルごとに細分化して、データを集めていく必要があります。

収集するデータによっては、「社内に点在しており、現場の担当者やデータ分析の担当者がアクセスできない」「フォーマットが統一されていない」といった問題が発生する場合があります。DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)やDWH(データウェアハウス)・BIツールを導入するなど、データを一限で管理する仕組みを整えていく必要もあるでしょう。

STEP2:データの収集

次にデータの収集を行なっていきます。

サイトのアクセスログや営業活動に関するデータなどは、Googleアナリティクス等のアクセス解析ツールやSFA(営業管理システム)を導入することによって、比較的簡単に収集することができますが、データによっては外部の調査会社を利用するなど意識的に収集して行かなければいけません

例えば、企業の好感度や想起率のデータを集めたい場合は、数ヶ月・1年単位など定点的に外部の調査会社に依頼して、アンケートなどを行う必要があります。

また、コールセンターに寄せられる顧客のお問い合わせやクレームは、対応者が都度ログを取っていくことが欠かせません。

昨今ではIoT(モノのインターネット、インターネットにつながる家電・機械など)も一般的になりつつありますが、こうした装置においてもインターネットを通じたサービス・ソフトウェアの提供のみならず、プロダクト・サービス改善に活かせるように、利用ログを収集していくことも重要です。

このように収集するデータによっては、ツールを導入するだけでなく、データを収集するための仕組みを整えていく必要があることを覚えておきましょう。

STEP3:データの加工

収集したデータの中には、不要な情報がたくさん含まれています。そのため、分析をしやすいようにデータを加工します。

Webサイトのアクセスログで言えば、自社内からのアクセスや関係者からのアクセスがトラフィックに含まれている場合があります。そのため適切にログを計測するためには、これらのトラフィックを除外する設定を行います。

またデータの分析を効率的に進めていくためには、様々なデータを1つの画面で管理ができるダッシュボードを作成することや、社内外の関係者に報告するためのレポートを作成する必要があるでしょう。

STEP4:データの分析

データの可視化や加工が終わったら、具体的に分析の作業に入っていきます。データの分析とは、得られたデータから、問題点を発掘し、具体的なマーケティング施策を立案するまでの作業を指します。

そのためデータ解析や統計のスキルだけでなく、マーケティングの知識や市場に対する理解、また時にデザインやコンテンツ作りの知識も必要になってきます。マーケティングの担当者や、デザイナー・コンテンツの制作者なども含めて、定期的に議論を行うといったことも大切です。

STEP5:施策の実行と検証

最後は、立案した施策を実行へと移します。ここで大事なのが、施策実行後に必ず効果検証を行い、さらなる改善へとつなげていくことです。

データドリブンマーケティングの本質は、施策を実行することではなく、あくまでも定めたKPIを達成して成果に結びつけることにあります。PDCAサイクルを回して、次のアクションを生み出していくことが、データドリブンマーケティングを成功に導くキーポイントと言えるでしょう。

データドリブンマーケティングにおけるよくある失敗

データドリブンマーケティングを実践する中では様々な課題が発生し、なかなかうまく機能しないことも多いものです。

そこで本章では、データドリブンマーケティングの代表的な失敗例とその対策をご紹介します。

1. データ分析のみで実際に活用できていない

最もありがちな失敗例として、データ収集や分析だけに留まってしまい、施策への活用までできていないというケースがあります。

Webサイトのアクセス解析データやマーケティングオートメーション(MA)、CRMなど、多種多様なデータやツールに投資をしている企業は多いでしょう。

しかしツールを導入して分析し、現状を把握しただけではデータの意味はなく、実際に施策に活用して初めてデータドリブンマーケティングが機能しているといえます。

そのためまずは自社がどのような課題を抱えているのか、またデータを用いて何を実現させたいのかを事前に明確にしておきましょう。

活用目的がなければデータは数字や文字の羅列でしかないため、基本に立ち返ってデータの活用法を考えることが重要です。

2. データを見ても具体的な改善施策や意思決定に繋がらない

いくら豊富なデータが蓄積されていたり、高価なツールを導入しても、それを活用できる人材が社内にいなければ機能しないケースです。

そもそもツールの使い方や、どのように分析していけばいいのか分からないということも多いでしょう。

もちろん目的が決まっていれば必要なデータの目星は付きますが、大量のデータの整理や加工にはスキルが必要となるため、こうした実作業を行える人材は貴重な存在ですよね。

データドリブンマーケティングを推進していくためには、データに強い人材を育成・採用するほか、場合によっては外部パートナーへ依頼することも必要になってくるでしょう。

データがなくてもデータドリブンな動きを

データドリブンマーケティングを進めていく上で、陥りがちなのが「データがない領域に関しては施策を打てない」という状況です。

特に新規事業を始めるときに、社内にデータがないため、勘や経験を頼りに事業を進めていくといったケースが見られます。

しかし、新規事業といっても既に蓄積しているデータが、全く役に立たないということは稀です。既存の事業と領域が異なったとしても、この部分はデータが活かせる・この部分はデータが活かせないといった判断をしていくことが大切です。

また既存のデータが活かせない領域に関しても、ある程度の仮説をもとに事業を進めていくことで、データが蓄積された段階で、データドリブンなマーケティングに移行していくことができます。

データがない領域だからデータドリブンマーケティングができないと考えるのではなく、類似事例のデータを参照することや、データドリブンマーケティングに移行することを見越して、施策を実行していくことを意識すべきでしょう。

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