オウンドメディアの戦略の立て方|具体例や設計のポイント【事例あり】
この記事でわかること
- 戦略の考え方
- 戦略の設計方法
- 他社がどんな戦略で成果に繋げたのか
オウンドメディアで成果を上げるには、正しい戦略設計が必要不可欠です。
しかし、戦略を描こうにも、世の中には正しいオウンドメディアの情報が、あまり出回っていません。マーケターや編集者といった視点から、オウンドメディアが語られることもありますが、そもそも、「オウンドメディアとは何か」といった根本的な定義さえ明確になっておらず、情報だけが錯綜しているのも事実です。
また、オウンドメディアには設計すべきポイントが数多くあることや、理想論ではなく実際に継続的に運用することを見越した戦略を立てていく必要があることも、オウンドメディアの成功を難しくさせている要因でしょう。
そこで本記事では、今まで50社を超えるオウンドメディアの戦略設計やグロース支援を行なってきた弊社の目線から、オウンドメディアの担当者が戦略を立てていく上で重要な考え方について紹介します。
オウンドメディアの立ち上げや運用にお困りではないですか?
オウンドメディアは、適切な戦略設計に基づき正しく運用することで、事業成長を加速させられる可能性があります。
- オウンドメディアを立ち上げ、インバウンドでの顧客獲得を行いたい
- すでに運用しているものの、思うような成果が得られていない
- 社内にリソースがなく、最適な運用ができていない
このようなお悩みは、数々のオウンドメディアマーケティングの支援で成果をあげてきたTHE MOLTSにご相談ください。業界歴10年のプロフェッショナルが、戦略設計や実行支援、組織構築など、貴社の事業成長に必要なご提案をいたします。
なぜ、オウンドメディアの戦略を立てることは難しいのか
オウンドメディアは正しい戦い方、つまり戦略をいかに設計するかが、成功と失敗の明暗を大きく分けます。
その方法や成果は多岐に渡りますが、まずは、オウンドメディアが一筋縄ではいかない理由を説明します。
1. 絶対的な成功パターンを定義しにくい
オウンドメディアは、運用の目的に応じて、企業の抱える様々な事業・採用課題を解決することができます。
- 自社の商品やサービスへの問い合わせ数を増やしたい
- 自社にマッチする求職者を増やしたい
- ユーザーが抱く自社のイメージを変えたい
このように、解決できる企業課題の幅が広いことが、オウンドメディアの魅力の一つと言えるでしょう。
例えば、サイトへのユーザー流入経路を、自然検索にすべきなのかソーシャルにすべきなのかといった「タッチポイント設計」一つとっても、オウンドメディアの成果は大きく変わっています。サイト内でどうユーザーに回遊してもらうかといった「サイト設計」や、どのような切り口でオウンドメディアを展開するかといった「コンセプト設計」も重要です。
できることが幅広いがゆえに、また全てのオウンドメディアに共通する絶対的な成功パターンを定義できないのが、興味深いポイントであり、また担当者を悩ませる要因の一つでもあります。
2. 理想論ではなく、自社の事業課題に応じた戦略設計が必要
目的に対して、最短ルートの戦略を定義できたとしても、きちんと運用ができないと戦略は水の泡となってしまいます。
例えば、検索向けのSEOコンテンツを作るのとソーシャル向けのインタビューコンテンツを作るのでは、ライターや編集者に求められるスキルセットが大きく異なります。ソーシャルを流入経路の主軸とすると決めても、ソーシャル上で反響を呼ぶようなコンテンツを作れる人材がいなければ意味がありません。
コンテンツ制作ではなく、広告運用が最適な施策だとなった場合や、そもそもオウンドメディアのデータ解析が正しくできていないといったときも、その領域において十分な知見を備えた人材にプロジェクトに入ってもらうことはマストです。
社内にどのような人材がいるか、また外部パートナーをいかに活用していくかといった点も加味して、現実的な戦略を立てる必要があるでしょう。
- オウンドメディアを新規で立ち上げたい
- メディアを立ち上げ、運用を続けているものの、一向に成果が出ない
- 外部のパートナーに任せっきりで社内にノウハウがなく、運用をインハウス化していきたい
BtoBのオウンドメディア事例から学ぶ、成果獲得までの戦略設計
ここからは、弊社がどのような手順でオウンドメディアの戦略を考えているかを、実際の事例と共に紹介します。
先ほどお伝えした2つのポイントの通り、多くのポイントで現実を見据えた戦略設計をしていることに、ぜひご着目ください。
半年間でリード獲得数10倍を達成したテレワークナビの事例

プロジェクトの概要
「テレワークナビ」(旧:インサイトシェア)は、「テレワークで日本を変える」というスローガンの下、Web会議システム・テレビ会議システムなどの遠隔ソリューションを提供している株式会社ブイキューブが運営するオウンドメディアです。
弊社がプロジェクトに参画させていただく以前より400〜500件ほどあったリード総数を、1年間で3倍の1,500件にするという目標を掲げ、取り組みが始まりました。
結果、新型コロナウイルスの影響や同社のテレビCMが打たれる前にオウンドメディアとしての受け皿を構築することができ、半年ほどで獲得リード数は10倍以上に増加。当初の目標であった1年間よりも早く、1,500件のリードを獲得できた例です。
実際の戦略ポイント
第1フェーズ |
オウンドメディア上のGA・データ分析環境の整備を実施。従来10程度しか把握できていなかったCVポイントを、300以上でもしっかりと計測できる分析体系を整えた。 |
第2フェーズ |
テレワークの文脈で多くのユーザーに正しく認知をしてもらうため、下記を実施。 |
第3フェーズ |
さらなるCV獲得のため、広告運用を開始、また既にリードが発生しているコンテンツの導線を見直すためのバナーの位置やクリエイティブの変更、新規コンテンツの作成、既存コンテンツの改修等を行なっている。 |
フェーズの区切り方はあくまでも例ですが、このように、最終的なゴールを見据えた上で、そこまでの道を最短で走ることができる段階に応じたミッションを設けています。
当初の目的は達成されたものの、その後はさらなる高みを目指す戦略を立て直すことで、下図のように成果の最大化に貢献することができた例です。


わずか2年で年商数億円に達成した不動産投資メディア

プロジェクトの概要
「レイビー」は、資産運用を主目的とするマンションの土地仕入、企画・開発、販売、管理までをワンストップで提供している株式会社グローバル・リンク・マネジメントが運営する不動産投資に関するオウンドメディアです。
不動産投資の初心者でも、不動産投資に関する知識や、不動産会社や投資用物件の選び方がゼロから学ぶことができるコンテンツを掲載しています。
弊社では、2019年3月より『レイビー』のコンテンツ強化、およびインハウス化支援をサポート。同年10月からは、リードから受注につなげる基盤作りとして、インサイドセールスチームのインハウス化の支援もサポートしています。
実際の戦略ポイント
第1フェーズ |
「見込み客を最大化し、どのようにしてリード獲得へと繋げていくか」をミッションに定め、コンテンツの強化を開始。まずは流入数を増やすために「月10本の新規記事の作成」という行動量を意識したKPIの設定を行いました。 |
第2フェーズ |
ユーザーニーズを追求した記事の構成案の作成方法や、CMSの仕様など、コンテンツマーケティングの基礎をレクチャーすることで、編集部の強化を実施。新規記事の配信に加えて、記事のメンテナンスを継続的に行なっていくことで、「不動産投資」や「不労所得」などのビッグワードで検索順位上位を獲得。 |
第3フェーズ |
資料請求やお問い合わせといったコンバージョン獲得を目的としたCTAの作成及び、調整を行うことで、プロジェクト開始前と比較して、セミナーへのお申し込み数は約15倍に、資料請求数を約10倍に成長させることに成功。 |
月間2,000〜3,000PVしかなかったメディアに置いて、行動量の徹底をKPIに据えると共に、社内の編集部にコンテンツマーケティングをレクチャーすることで、編集部の強化を行なった事例です。
またオウンドメディア支援に加えて、インサイドセールス支援を組み合わせることによって、獲得したリードが最終的に受注に繋がるまでのプロセスを設計しました。

3カ月でリード総数を4000件へ倍増させたSaas比較メディア

プロジェクトの概要
「ボクシルマガジン」は、多種多様なクラウドサービスのトレンドや事業者を紹介し、サービスの掲載を希望する企業には見込み顧客のリード獲得を促しています。
弊社では、3ヶ月に期間を限定としてコンサルティングを実施。戦略的にメディアをグロースさせる体制を構築し、コンテンツの思考法や制作スキームを伝えました。
実際の戦略ポイント
第1フェーズ |
プロジェクト開始から最初の1ヶ月は、キーワードの選定とコンテンツの骨子作りにフォーカス。ボクシルマガジンの目的であるリード獲得に関連するキーワードを選び抜きキーワードツリーを作成すると共に、該当するキーワードを検索するユーザーのニーズを汲み取り、コンテンツに盛り込んだ骨格を作成していきました。 |
第2フェーズ |
プロジェクト開始2ヶ月目には、新規コンテンツの作成に加えて、既存のコンテンツのメンテナンスを開始。コンテンツSEOのライティングや編集を体系的にレクチャーし、編集部として自走できる体制を構築していきました。 |
第3フェーズ |
社内メンバーと外部パートナーとの役割を明確化し、スムーズにメディア運営が行える体制を構築。結果的に、3カ月間で月間40万UUから70万UUへ伸長、リード獲得も4000件弱に倍増することに成功しました。 |
コンテンツSEOのノウハウが不足している中、3ヶ月という非常に短い時間で、オウンドメディアの役割やコンテンツSEOのライティングや編集の仕方を体系的にレクチャーし、編集部の強化に成功した事例です。

その他、オウンドメディアの成功事例に関しては、デジタルマーケティングカンパニー「株式会社ニュートラルワークス」が運営する、オウンドメディアマーケティングを成功させるには?の記事も併せて参考にしてみてください。
事例から読み取れるオウンドメディアの戦略のポイント
前章で紹介したオウンドメディアの事例は、事業分野、従業員数、オウンドメディアの担当メンバー体制から運用予算まで、何一つとして同じ条件ではありませんでした。
したがって、成果に結びついた要因として検索をタッチポイントとしたコンテンツの改修はあったものの、同じ戦略で進められた訳ではありません。オウンドメディアの戦略設計は、オウンドメディアの数だけ多様といっても過言ではないでしょう。
ただし、そんな中でも共通して学び取れるポイントがありますので、ここでは3つに絞って整理したいと思います。
1. 戦略を考える前に「目的から成果を定義」する
そもそも弊社では、オウンドメディアは、企業が抱えている事業・採用課題を解決するための手段としてのメディアであると捉えています。
そのため、まずはしっかりと「何のためにオウンドメディアを運用するのか」といった目的を決める必要があります。目的は企業によって様々で、事業拡大のために商品やサービスの売上拡大といった目的もありますし、求職者に自社の魅力を伝えて採用エンゲージメントを高めることが目的になる場合もあるでしょう。
目的が定まったら、オウンドメディアを運用する目的を達成したと言うためには、「どのような状態になれば成果と言えるのか」を考える必要があります。
仮に、商品やサービスの売上拡大が目的であれば「お問い合わせ数」や「資料請求数」といったリードの総数が成果になりますし、採用エンゲージメントの向上であれば、採用のエントリー数といったものが成果になります。
2. オウンドメディアの戦略はフェーズを分けて考える
企業によっては、「資料請求やお問い合わせといったリードを獲得したい」「ブランディングをして商材の知名度を上げていきたい」「オウンドメディアを直接的に収益化したい」といったように、オウンドメディアを運用する目的が一つではない場合があります。自社で所有しているサイトですから、あれもこれもと多くを願ってしまうのはごく自然でしょう。
このように目的が複数ある場合は、同時並行で進めていくのではなく、目的ごとにフェーズを区切り、戦略を立てていく必要があります。
例えば、オウンドメディアを直接的に収益化するためには、その前提として、一定のトラフィック数が必要です。そのためマネタイズに関しては、オウンドメディアの運用初期ではなく、ある程度メディアが成長した時点で取るべき戦略と言えるでしょう。
また、リードの獲得とブランディングのどちらを先のフェーズで行うべきかは、自社の優先度合いによります。まずリードの獲得が最優先なのであれば、リードをいかに取るのかといった戦略から先に組み立て、一定の成果が得られた時点でブランディングの施策へと移行していきましょう。
3. 最短ルートを歩むために、リソースの選択と集中が必要
オウンドメディア運用は、目的の達成までに最短のルートを歩むことを意識しなければいけません。
多くの企業では、オウンドメディアにかけることのできるリソースは限られています。そんな中で、「検索向けコンテンツ」も「ソーシャル向けコンテンツ」も両方作る、動画もSNS配信もやってみる、など闇雲に施策を取っても、成果に直結せず、目的を達成するためにかえって時間がかかってしまうでしょう。
オウンドメディアは企業が運営している以上、成功すれば投資に、失敗すれば、ただ資金が流れ出ていくだけの媒体になってしまいます。
「いかに無駄なく成果を出せるか」という視点で、正しい戦略設計を元に、リソースの選択と集中を行う(「やるべきこと」「やらないこと」を明確に切り分ける)ことが大切です。
失敗するオウンドメディアは、正しい戦略・運用・継続のどれかが欠けている

オウンドメディアにおける失敗とは、目的に対して定義した「成果」を達成できないことを指します。成果は、正しい戦略に基づいて、運用と継続を繰り返せば、必ず出てきます。
成果に至らないケースは、戦略の立て方や運用方法が間違っているもしくは、継続ができていない場合がほとんどです。
よくあるのが、オウンドメディアの目的が「リード獲得」であるにもかかわらず、PV数・UU数といったトラフィックばかりを追いかけてしまうケースです。
何が問題なのかというと、トラフィックを追い求めるばかりに、リード候補にならないユーザーを集めてしまい、結果的に「PV数は上がるがリード自体はあまり獲得できない」といった事態に陥ってしまいかねないからです。
こういった場合、「リードを獲得するためには、流入経路をどう設定するか」「どのキーワードで検索してきたユーザーを刈り取るべきか」といった戦略の設計や、狙ったキーワードを質の高いコンテンツを制作するための運用体制の構築、また、キーワードで1位を獲得するために継続してコンテンツを改善するといったことが大切です。
これら「戦略・運用・継続」のどれかが欠けてしまうと、成果の達成が遠のいてしまいます。
オウンドメディアを立ち上げ運営していく上で、ぜひこの3つのキーワードを意識して、取り組んでいただければ幸いです。
よくある質問とその回答
オウンドメディアで成果を上げたいのですが、どのようにすれば良いですか?
オウンドメディアで成果を上げるためには、目的・KPIの明確化、戦略設計、運用、改善を繰り返していく必要があり、短くても成果が出始めるまでに半年〜1年程度はかかってきます。
オウンドメディアで目指すべき成果を見据えながら、改善を繰り返し、長期に渡って継続できる運用体制が必要です。
オウンドメディアを新たに立ち上げたい、今あるメディアを成長させたいという担当者様に、MOLTSでは成果にこだわったオウンドメディア支援を提案しております。
まずは一度「オウンドメディアの支援内容」をご覧ください。
オウンドメディアの戦略設計で、何をしたらいいのかわかりません。まずはじめに着手することは何ですか?
戦略を考える前に、まずは「何のためにオウンドメディアを運用するのか」目的を明確にしましょう。企業の抱える事業課題によって、目的は異なります。
目的が定まったら、オウンドメディアを運用する目的を達成したと言うためには、「どのような状態になれば成果と言えるのか」を考える必要があります。プロジェクトメンバーで共有しやすい定量的なデータで示せるのが理想です。
詳しくは「戦略を考える前に「目的から成果を定義」する」をご覧ください。
オウンドメディアの成功事例はありますか?
本記事では、弊社がこれまでにプロジェクトを牽引した4つの事例をご紹介しています。
- テレワークナビ|半年間でリード獲得数10倍
- レイビー|セミナー申込数15倍
- ボクシルマガジン|3カ月でリード総数を4000件へ倍増
オウンドメディアの戦略設計は、オウンドメディアの数だけ多様といっても過言ではありません。自社にとって適切な目標を設定し、施策を行っていきましょう。
詳しくは「BtoBのオウンドメディア事例から学ぶ、成果獲得までの戦略設計」をご覧ください。
新規メディアの立ち上げまでにかかる期間はどのくらいですか?
ヒアリングから与件整理、戦略設計からチーム体制の構築、施策実行まで、約3ヶ月〜最長半年までをお考えください。(どのくらい複雑なものかにもより時期が異なるため、詳しくはお問い合わせください)
詳しくは以下を参照ください。
オウンドメディアの戦略設計や運用は、プロにご相談ください
オウンドメディアの可能性は非常に大きく、リード獲得や認知拡大、採用への貢献など、企業が持つさまざまな課題解決に貢献する可能性を秘めています。しかし、できることが多いがゆえに、ノウハウやリソースが不足し、適切な設計や運用に課題を抱える企業も少なくないでしょう。
事業成長やマーケティング成果のためのオウンドメディア運用を検討されている方は、ぜひTHE MOLTSにご相談ください。オウンドメディア運用を通じた数々のプロジェクトで成果を上げてきたプロフェッショナルが、貴社の事業成長を支援いたします。
- 月数件のリード獲得が約2年の運用を経て年5,000件へ成長
- 片手間で運用していたオウンドメディアが、直接売上約6億を稼ぐ事業へと変革
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まずは貴社のお取り組み状況についてお聞かせください。オウンドメディアマーケティングのプロが、事業成長の観点から成果を出すための最適なご提案をいたします。
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