リスティング広告運用で追うべき指標と具体的な改善方法|初心者必見

菊池 真也

Marketing Strategist / Consultant

記事をシェア

リスティング広告運用で追うべき指標と具体的な改善方法|初心者必見

「リスティング広告を運用しているが、思ったように成果が出ない」「施策の改善を行いたいが、何をすべきか分からない」とお困りの運用担当者も多いのではないでしょうか。

運用を改善する際には、目標に対して今どのような状況なのかを判断する基準をしっかりと定義した上で、その基準をクリアするための改善施策を講じていく必要があります。

本記事では、運用に取り組む前にまず決めておきたい「指標」や、実際に運用をする具体的な流れ、改善のためのポイントについて解説します。

リスティング広告運用で「指標」に悩む担当者は多い

リスティング広告を運用していくと、「インプレッション数」「CPA(Cost per Acquisition)」「CVR(Conversion Rate )」など多くの効果測定指標があり、どの指標を重点的に見るべきが悩まれる方も少なくありません。

運用初心者によくある間違いが、「とにかくCPAを下げよう」「CPAを維持しよう」など、CPAのみを広告の成果基準として、施策の判断を下してしまうことです。

CPAとは、1人あたりの新規顧客を獲得(コンバージョン)するためにかけた広告コストのことで、リスティング広告の運用で最も頻繁に使用される指標です。

  • CPA=広告コスト ÷ コンバージョン数

何を持ってコンバージョンとするかは、企業や広告運用の目的によって異なり、商品購入やサービスの契約とするケースや、サンプルの申し込みや資料請求・メールマガジンの登録をコンバージョンと定義するケースもあります。

ここで注意しなければいけないのが、CPAは、あくまでも顧客獲得に費やしたコストを計測する指標であり、売上や事業そのものへの貢献度を表す指標ではないということです。

例えば、月100万円でリスティング広告を運用した結果、50件の資料請求(コンバージョン)があったとします。この場合のCPAは、2万円(100万円÷50件)になります。

しかし、資料請求したユーザーのうち、何件が最終的に成約したのか、どれくらいの売上になったのかを見なければ、CPAの2万円が適切なのか、高いのか安いのかを判断することはできません。

リスティング広告運用で重視すべき指標「ROAS」

そこで重要になってくるのが「ROAS」と呼ばれる指標です。

ROASとは、「Return On Advertising Spend」の略で、かけた広告費に対してどれだけの売上を得ることができたのかを表します。

  • ROAS=(広告経由の)売上 ÷ 広告コスト × 100

先の例に当てはめると、資料請求を行った50件のユーザーのうち、5件が最終的に受注となり、80万円の売上をあげたとします。この場合のROASは、80%(80万円÷100万円×100%)となり、100%を下回っていることから、かけた広告コストと得られたリターンが見合わないことがわかります。

また、健康商品や化粧品、サブスクリプション型のサービス、ECサイトなど定期購入や継続利用を前提とする場合には、「年間ROAS」という指標が用いられます。

  • 年間ROAS=(広告経由の)1年間の売上総額 ÷ 広告コスト × 100

いずれにせよ、ROASは広告費をどれだけ回収できているのかを表し、ROASが高ければ費用対効果が良いと判断できます。ROASを成果基準の一つに設けることで、予算配分を高くしたり、入札単価を高めたりといった施策の改善へとつなげることができます。

リスティング広告を改善する流れ

リスティング広告を改善する大まかな流れについて解説します。

  1. 運用の目的と目標の明確化
  2. 課題の抽出
  3. 改善施策の実施と分析

1. 運用の目的と目標の明確化

改善施策に着手する前に、今一度リスティング広告を運用する目的と目標を明確にしましょう。

この目的と目標がしっかりと定義されていない場合、「クリック単価を下げる」「品質スコアを高める」「CVRを高める」など局所的な数値の改善に終始してしまうケースがほとんどです。

  • リスティング広告を運用することで、自社が達成したい本来の目的はなんでしょうか?
  • またどのような状態になれば目的を達成できてると言えるでしょうか?

この2つの質問に答えることができれば、自ずと見るべき指標や改善すべき課題が見えてきます。

例えば、「事業の売上最大化」を目的としてリスティング広告を運用している場合、クリック単価を上げて多くのユーザーを獲得した方が、目的の達成に近づくケースは往々にしてあります。局所的な数値改善、つまり「クリック単価を下げようと」いった施策を実行してしまうと、目的と反対の方向に進んでしまうことになります。

▼関連記事
リスティング広告の目的や目標(KPI)の定め方について詳しく知りたい方は、別記事「リスティング広告の適正な広告予算とは。KPIの定め方について解説」も合わせて参考にしてください。

2 . 課題の抽出

目的や目標の達成の妨げになっている、課題を見つけていきましょう。

例えば、上記で挙げた「事業の売上最大化」を目的としたリスティング広告運用の場合、クリック単価を上げてコンバージョン数を増やすべきなのであれば、以下のような公式を、当てはめることができます。

  • コンバージョン数 = クリック数 × CVR (コンバージョン率)
  • クリック数 = 表示回数(imp)× CTR(クリック率)

つまり、コンバージョン数を増やすためには、「CVRを高める」「表示回数を増やす」「CTRを高める」といった指標を導くことができます。

現状の運用成果と照らし合わせて、CVRやCTRが低いキーワードやキャンペーンがないか、また表示回数を増やすべき低いキーワードやキャンペーンを見つけていきましょう。

3. 改善施策の実施と分析

発見した課題点を、目的や目標に応じて改善していきます。

具体的に改善すべきポイントについては次章で解説しますが、実施した施策が全て最初からうまくいくことは、まずありません。施策を実施した後は必ず分析を行い、更なる改善へと繋げましょう。

リスティング広告の運用で実際に行うこと

ここからは、実際に広告運用をしていく上で、担当者が行うべきことについて解説します。

  1. 予算管理
  2. 入札単価の調整
  3. キーワードの調整
  4. 広告文の調整
  5. ターゲティングの最適化
  6. ランディングページの最適化(LPO)

1. 予算管理

「1日の予算がしっかりと消化されているか」「月の予算に対して、予算消化が早すぎないか」など、日々の予算進捗を確認する必要があります。

予算管理でよくあるもったいないケースが、設定した日予算を消化してしまい、広告の掲載頻度が抑制されてしまうケースです。インプレッションのシェア率が下がってしまい、場合によっては大きな機会損失を招いてしまいます。

そうならないためにも、目標CPAをクリアしているのにも関わらず、ステータスに制限がかかっているキーワードや、「インプレッションシェア損失率」が高くなっているキーワードがないかをチェックしましょう。キーワード毎の費用対効果を加味した上で、予算を増額するといった対策が求められます。

また、キーワードだけでなく、キャンペーン全体や広告グループ毎に適切に予算が消化されているのかも確認しましょう。

2. 入札単価の調整

入札単価を調整することで、ユーザーの属性や使用デバイス・時間・地域などのセグメント毎に、広告の表示頻度を変えることができます。例えば、都内在住のターゲットと、地方在住のターゲットで費用対効果が異なる場合、費用対効果の良いターゲットに対して入札金額を引き上げるといった施策を打つことができます。

なお、入札単価の調整が行えるセグメントや対象範囲(キャンペーン単位・グループ単位)は、媒体によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。また、自動入札を行っている場合には、入札単価の調整が制限されますので、こちらも合わせて確認が必要です。

▶︎Google広告の「入札単価の調整」について、詳しくはこちら
▶︎Yahoo!広告の「入札単価の調整」について、詳しくはこちら

3. キーワードの調整

配信パフォーマンスに応じて、キーワードの調整を行います。キーワードの調整で行うことは、主に以下の4つです。

  • キーワードの追加
  • 除外キーワードの登録
  • キーワード毎の入札単価の調整
  • マッチタイプの変更

パフォーマンスが悪い場合には、ターゲットに対して十分に広告を表示できているかを確認しましょう。仮にインプレッションが少ない場合には、新たなキーワードを追加しましょう。

また、実際の配信結果を確認すると、想定していたクエリと異なるクエリで配信されコンバージョンを獲得できていないキーワードや、想定していたよりもパフォーマンスの悪いキーワードを見つけることができます。このような場合には、キーワードを除外することも視野に入れます。

マッチタイプの変更もパフォーマンスを改善するのに有効な施策です。マッチタイプには、「完全一致」「フレーズ一致」「絞り込み部分一致」「部分一致」などがありますが、完全一致を使用すると、無駄なクエリへの配信を防ぐことができ、部分一致を使用することで、関連キーワードへの配信を拡張できるといった特徴があります。

4. 広告文の調整

広告文を魅力的なものにすることによって、クリック率やコンバージョン率、また掲載順位を左右する品質スコアを高める要素となります。

リスティング広告は、競合他社と並んで広告が表示されるので、競合がどのような広告文を設定しているかを常にチェックする必要があります。仮に、クリック率が低い場合には、自社の優位性がしっかりとユーザーに伝わる内容になっているのかを確認しましょう。

また逆にクリック率が高いのにも関わらず、コンバージョン率が低い場合は、ターゲットとしているユーザーを集客している・ランディングページと広告文の関連性が低いといったことが考えられます。広告文をより限定的なものにする、ランディングページを変更するといった対策が求められます。

5. ターゲティングの最適化

リスティング広告では、地域・使用デバイス・年齢や性別といったセグメントでターゲティングが可能です。ターゲティングを曖昧にしてしまうと、コンバージョンに繋がらないクリックを増え、結果的にCPAが高くなるなど、リスティング広告の費用対効果が悪くなってしまいます。

ターゲットの年齢や性別・地域などが決まっている場合は、ターゲティングを見直し、配信する対象を絞るといった対策が有効です。また、現状で明確なターゲットがなく配信されているケースでは、配信結果を分析し、どのような属性を持つユーザーからのコンバージョンが多いのか、また費用対効果が高いのかを加味した上でターゲティングを最適化していきましょう。

6. ランディングページの最適化(LPO)

「クリックはされるものの、コンバージョンに繋がらない」といったケースでは、遷移先のページに問題があるかもしれません。

ランディングページの最適化は、リスティング広告の費用対効果を高める上で非常に重要です。設定した広告文や見出しとランディングページに一貫性がない場合、ユーザーが求めているものとは違うと判断され、離脱に繋がってしまいます。

ランディングページを最適化する時には、

  • ユーザーが求めている情報が含まれているか
  • ファーストビューでユーザーを惹きつけられる内容になっているか
  • 資料請求やお申し込みなどのCTAボタンが分かりやすく設置されているか
  • スマホで見やすいデザインになっているか

といった点を検証し、ユーザーが次のアクションへと繋がるよう改善をしていきましょう。

リスティング広告を分析するポイント

リスティング広告を正しく分析する上で、重要な3つのポイントについて解説します。

  • キャンペーン全体から徐々に細かく見ていく
  • 改善インパクトの大きいものから取り組む
  • ABテストで比較をしながら改善をしていく

キャンペーン全体から徐々に細かく見ていく

改善すべき点を見つける際に、重要なポイントが「キャンペーン全体から徐々に細かく見ていく」ことです。

最初からキーワード単位で見ていくのではなく、キャンペーン→広告グループ→キーワードと、アカウントの上の階層から下の階層へと、徐々にドリルダウンしていくと、悪い点を見つけやすくなります。

例えば、キャンペーン単位で目標を達成しているのか、達成していないのかを区別する、広告グループ単位で目標を達成しているのか、達成していないのかを区別するだけで、分析をスムーズに行えます。

改善インパクトの大きいものから取り組む

すでにリスティング広告の運用を経験したことがある方であれば、お分かりだと思いますが、成果分析を行うと、挙げるとキリがないほど、改善すべき点が見つかります。

その全てを改善したくなる気持ちもわかりますが、運用担当者のリソースは限られています。必ず優先順位を付け、ビジネスインパクトの大きいものから取り組むことが大切です。

例えば、以下のような2つのキャンペーンがあったとします。

クリック数クリック単価コストコンバージョンCVR
キャンペーン①100¥100¥10,00011%
キャンペーン②10,000¥100¥1,000,0001001%

キャンペーン①の場合、CVRを3%に改善したとしても、コンバージョン数自体は3件(+2件)までしか増えません。一方のキャンペーン②の場合、CVRを1.5%に改善すると、コンバージョン数を150件(+50件)に増やすことができます。

このようにクリック数やコンバージョン数などのボリュームを加味しながら、同じ労力をかけるのであれば、どの施策を実施するのが最もインパクトが大きくなるかを考えるのが大切です。

ABテストで比較をしながら改善をしていく

思ったような成果が出ない時に、広告文や見出し・ランディングページの内容やデザインを変えようと考えるかもしれません。

しかし、闇雲に変更しても良い結果が生まれることは多くありません。その時に重要なのがA/Bテストの実施です。

A/Bテストを行う上で大切なのが、テストを実施する前に仮説を立てることです。現状のユーザー行動を分析し、何が原因でクリックされないのか、遷移先のページで離脱されているのかを考えた上で、デザインや内容の変更を加えましょう。

また、A/Bテストを行う際には、できるだけ同じ条件下で実施します。テスト条件が異なると、正しい分析が行えません。例えば、同じキーワードで同じように配信していても、季節的な要因や競合の出稿状況によって、得られる結果は異なります。

広告運用のインハウス化と外部委託のメリット・デメリット

リスティング広告の運用をインハウスで行うべきか、代理店に依頼すべきかは多くの企業が悩む点です。

最近では、インハウス化支援を行う事業者も増えたことから、インハウスに舵を切る企業も多いですが、インハウス・代理店依頼にはそれぞれメリット・デメリットがあります。どちらが優れているかではなく、自社の置かれた状況も加味しながら最適な方法を選ぶことが大切です。

メリットデメリット
インハウスコスト削減、広告運用レベルやスピードUPが期待できる社内に十分なリソースが必要
代理店社内に知識やリソースがなくても本格的な運用が可能広告運用時の社内連携に時間がかかる可能性がある

インハウスでの運用は、コスト削減や運用レベルの向上といったメリットがあります。ただし、ここで注意して欲しいのが短期的なコストダウンを目的としたインハウス化は失敗しやすいということです。

確かに、代理店に運用を依頼すると、通常広告費の20%程度は、代理店に支払うコストが発生します。この20%のコストを削減しようとインハウス化するケースも多く見られますが、自社で運用するためには運用ノウハウや知識を持った人材がいることや、社内に十分なリソースがあることが大前提となります。

広告は企業にとっての投資に当たりますので、仮に代理店に支払うコストをカットできたとしても、運用を通じて事業の売上が拡大しなければ意味がありません。

その点、代理店に依頼することで、社内に知識やリソースがなくても本格的な運用が可能、また経験者が必要な手順をサポートしてくれるといったメリットが生まれます。

繰り返しになりますが、どちらを選択すべきかは事業のフェーズや社内の状況によって異なります。

▼関連記事
広告運用のインハウス化についてお悩みの方は、別記事「リスティング広告の運用はインハウス化するべき?判断基準をプロが解説」で判断する基準を解説していますので、そちらも合わせて参考にしてください。

リスティング広告の運用事例|事業戦略に踏み込み、売上20%増を実現

結婚相談所の比較や資料請求可能な『婚活・結婚おうえんネット』、税理士が探せるマッチングサービス『税理士紹介エージェント』を運営する株式会社パスクリエイト株式会社では、サービスのリード獲得を目的にリスティング広告の運用を行なっていました。

しかし、担当者が退職したことにより新たに運用できる人材が不足したことや、事業成長の伸び悩みといった課題を抱えていたことから、弊社が運用方針を含めたリスティング広告の戦略立案〜実行のサポートを実施しました。

弊社では、運用における局所的な数値を改善するだけでなく、リスティング広告を事業成長の一つの手段として捉え、どのように運用するのが事業成長を加速させるのかを第一に、事業全体のKPI設計や目標P/Lの設定などのコンサルティングを開始。

運用においては、キーワードの網羅性を高めることや、自動入札を適切に活用することで、事業全体の売上を前年比で20%アップすることに成功しました。また、自社で広告運用にかけるリソースを削減することによって、社内で接客に集中できるといった副次的な効果も生まれた事例です。

▼関連記事
当事例の詳しい背景ついて知りたい方は、別記事「事業戦略にまで踏み込み、売上20%増を実現したリスティング広告運用の裏側」で解説していますので、そちらも合わせて参考にしてください。

まとめ|リスティング広告の運用目的を見失わずに、PDCAサイクルを回せる体制を作ろう

リスティング広告の運用を改善するための、考え方やノウハウは多くの媒体から提供されています。それらを実行することは大切ですが、ただCPAを下げる・コンバージョンを上げるといった考えに陥らないことが重要です。

改善施策を実行する前に、まずは広告運用の目的を今一度、見つめ直しましょう。目的と照らし合わせると、必ずしもCPAを下げることが優先施策でないケースがあります。事業を成長させる上で、リスティング広告で何を達成すべきなのかを定義した上で、改善施策に取り組むことが大切です。

また、仮に入札単価の調整やキーワードの調整を行なったとしても、全ての施策が良い結果を招くとは限りません。

改善施策に取り組んだ結果、どのような成果を得られたのかを日ベース・週ベースなどでモニタリングし、次なる改善へと繋げる体制を作っていくことが求めらるでしょう。

この記事を書いたメンバー

SHINYA KIKUCHI

菊池 真也

Marketing Strategist / Consultant

1982年生まれ。広告代理店で100社以上のリスティング広告を運用し、株式会社アイレップにて総合通販、大手人材会社の運用型広告コンサルタントを経験。中小から大規模の広告運用を経験したのち、GMOペイメントゲートウェイ株式会社にてEC企業の集客支援を行う組織を構築。2018年3月にMOLTSへ参画し、子会社STAUTに所属。業界問わず、また大手企業からスタートアップまで幅広く事業成果の獲得を軸とした運用型広告のコンサルティング、インハウス支援を行う。2020年3月よりSTAUTの代表取締役に就任。

  1. MOLTS
  2. リスティング広告
  3. ナレッジ
  4. リスティング広告運用で追うべき指標と具体的な改善方法|初心者必見