オウンドメディアマーケティングとは|戦略設計と成功事例を解説
この記事でわかること
昨今、オウンドメディアを運用する企業は依然として増えており、筆者田島もその運用にまつわるご相談を数多くいただいています。
しかし、その中で感じることは、オウンドメディアそのものの役割を正しく理解できておらず、運用が上手くいっていない企業がまだまだ存在するということです。改めて、オウンドメディアを用いたマーケティングでどのようなことが実現できるのか、オウンドメディアマーケティングで成果を出すポイントを整理してみたいと思います。
オウンドメディア運用に携わる企業担当者の参考になれば幸いです。
THE MOLTSのグループ会社「KAAAN」にて、AIベースの運用の環境構築から、プロフェッショナルによる成果を倍に、期間を半分にすることを目指した支援まで、AIベースのオウンドメディア支援を行っています。詳しくは、KAAANをご覧ください。
オウンドメディアとは
そもそもオウンドメディアとは、どのようなサイトを指すのでしょうか。
一般的にオウンドメディアは、自社で運用するWebマガジンやブログのみを指すことが多いでしょう。
しかし弊社はこれまで50社以上のオウンドメディアの運用支援に携わってきた中で、オウンドメディアの定義を「事業課題を解決する手段、マーケティングツールの一つ」と捉えています。

例えば「自社商材のお問い合わせを増やしたい」「求職者からの採用エントリー数を増やしたい」「自社ECサイトの売上を増やしたい」など、企業が抱える事業や採用領域の課題に対し、メディアを通じてユーザーとのコミュニケーションを図り、解決へと導く手段がオウンドメディアというわけです。
そのため、オウンドメディアの運用によって「リード数が増えた」「採用エントリー数が増えた」「メディア経由の商品購入が増えた」などの成果が得られれば、オウンドメディア運用における成功といえるでしょう。当然ながら、闇雲にトラフィックを集めたりコンテンツを作っていても、それ自体が成果につながらなければオウンドメディアの成功とはいえません。
オウンドメディアは、企業が抱える事業課題の解決のために運用されるべきだと考えます。
オウンドメディアをマーケティングに活用する方法
オウンドメディアにはブランディングや採用活動の強化などさまざまな役割がありますが、マーケティングにおいては以下の4つの活用方法があげられます。
リード獲得(新規顧客の獲得)
既存の見込み客や顧客との関係構築
認知拡大(ブランディング)
直接的な収益化(マネタイズ)
活用方法をそれぞれお伝えします。
リード獲得(新規顧客の獲得)
新規顧客を獲得するために、オウンドメディアを活用する企業が多いです。
例えば、勤怠管理システムを提供している企業であれば、導入を検討しているユーザーが検索するであろう「勤怠管理システム 比較」「勤怠管理システム ランキング」「勤怠管理システム おすすめ」といったキーワードでコンテンツを制作します。検索で上位表示できれば、狙っているターゲットを効率良く集客し、問い合わせに誘導することが可能です。
新規顧客を目的としてオウンドメディアを活用する場合は、比較検討フェーズのユーザーに向けて情報を発信し、中長期的にコンバージョン(CV)を獲得する役割に適しています。

購買行動モデルのひとつであるAISASをベースに見ると、ユーザーの行動は「認知獲得〜興味関心〜比較検討〜アクション」といったフェーズに分けられます。比較検討フェーズとは、商品の購入やサービスの利用を判断するために、検討材料となる情報を収集したり、他商品や既存のサービスと比較したりする段階を指します。
比較検討フェーズのユーザーは課題解決の目標が明確な分だけ、検索キーワードも明確になり、手を打ちやすくなります。例外はあるものの、新規顧客の獲得を目的とするオウンドメディアは、検索をタッチポイントにメディア運用を行うことで、ユーザーとの接点が生み出せます。
オウンドメディア上で問い合わせを獲得するためには、購買意欲の高いユーザーの集客が欠かせません。単にPVやUUなどのトラフィックを見るのではなく、いかに比較検討フェーズの検索キーワードで上位表示を獲得できるかが重要になってきます。
例えば「新規顧客獲得」→「オウンドメディアで問い合わせ獲得」→「問い合わせ獲得に向けたサービスページの作成」→「記事コンテンツで検索キーワードの獲得」と、課題解決までの過程を逆算して整理してみましょう。そうすることでオウンドメディアの活用方法が明確になり、運用がしやすくなります。
そのうえで、CV数やCVR、あるいはキーワード順位や記事公開数など、フェーズごとに適切な指標を設定し、戦略を練っていきましょう。
既存の見込み客や顧客との関係構築
オウンドメディアは新規獲得だけではなく、獲得後の見込み客とのコミュニケーション(ナーチャリング)や、既存顧客との関係構築(CRM)にも活用できます。
▼ナーチャリング例
- オウンドメディアのコンテンツをメルマガで配信する
- 営業中にオウンドメディアのコンテンツを用いて商談を進める
▼CRM例
- サービスの活用ポイントをオウンドメディアに掲載し、参考にしてもらう
- よくある質問に対してオウンドメディアのコンテンツを用いて回答する など
オウンドメディアはコンテンツをストックさせることができるので、さまざまな用途に使い回すことができます。
認知拡大(ブランディング)
- 「〇〇ならこの会社」と思ってもらう
- 自社に興味を持てもらい、指名検索を獲得する
このような認知拡大やブランディングを目的とした施策としても活用できます。
例えば検索をタッチポイントにて、その領域でユーザーが求める情報を発信したり、ソーシャル上で話題になるようなコンテンツを作成したりして認知拡大を狙うこともできます。
人事担当者に向けて組織体制や働き方についての情報を発信しているオウンドメディアの場合、社外の有識者へのインタビュー記事や社員の働き方についてコンテンツを作るといった手段が考えられるでしょう。
オウンドメディアでターゲットが興味・関心を示しそうなコンテンツや、抱えている課題の解決につながるコンテンツを継続して発信することで、会社名やサービス名を知ってもらうきっかけを作ることができます。
直接的な収益化(マネタイズ)
広告事業を展開する場合は、オウンドメディアを活用して広告収益を得ることもできます。
例えば、掲載した広告経由で資料請求や商品購入などの成果を達成すると報酬が発生する「アフィリエイト」などを活用して収益化を図ることが可能です。
オウンドメディアの運用が得意な企業であれば、自社事業に加えて、広告による直接的な収益化を行うことで、売上を伸ばすこともできるでしょう。
オウンドメディアマーケティングで実現できること
オウンドメディアマーケティングの概念や活用方法を理解したところで、もう少し具体的な話に入っていきます。実際にオウンドメディアマーケティングを行うことで、どのような成果が得られるのか、これまで弊社が携わってきた企業の成功事例から見ていきましょう。
ここでは、先ほど説明したオウンドメディアをマーケティングに活用する方法のなかでも、弊社によく問い合わせをいただく「リード獲得」を目的とした事例をご紹介します。
1. CVを約3.8倍に伸ばしたBtoBオウンドメディアの例
| 課題 | サイトは既に持っていたものの、約7割が広告経由の集客で、ほとんどCVにつながっていなかった |
|---|---|
| 実施施策 | 問い合わせに至る経路からサイト設計を行い、キーワード設計により注力するキーワードを決定しリソースの最適化を実施 |
| 成果 | 自然検索経由のトラフィックは約23倍アップし、コンバージョン獲得数も支援前から約3.8倍に増加 |
企業の広告運用担当向けに、販促ツールを提供していた企業の事例です。
お取り組み時のオーダーとしては、自然検索経由でのコンバージョン(リード)最大化に対する支援でした。当時の課題として、自社のブランド名検索でも上位表示されず、ほとんど広告流入に依存していた状態だったためです。
サービスの仕様変更に伴いオウンドメディアがリニューアルされるとのことで、そのタイミングでサイト設計から見直すこととしました。今回のターゲットとなりうるペルソナの設計から、カスタマージャーニー設計、自然検索経由の流入設計、リード獲得に至るまでの経路設計、そしてコンテンツの実制作の部分まで、コンサルティングとしてアドバイスをさせていただきました。
その結果、リニューアルから半年で自然検索経由のトラフィックは約23倍、コンバージョン獲得も約3.8倍アップという大きな成果を出すことができました。結果的に広告流入の比率を下げることとなり、コスト削減にも貢献しています。
KOTARO TAJIMA
Media Planner / Consultant
業界歴8年以上。BtoBマーケティング、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。コンサルタント・PMとして戦略設計、インハウス化・グロース支援を行う。
提供領域
2. オウンドメディアの活用で0から年間数万件のリード獲得を実現し、アウトバウンドからインバウンドに変化

| 課題 | アウトバウンド中心での集客に限界を感じていた |
|---|---|
| 実施施策 | オウンドメディアを活用して、コンテンツSEO施策を実施 |
| 成果 | インバウンドで集客できるようになり、年間数万件の法人リード創出 |
人材サービスや採用支援などさまざまな人材事業を展開する株式会社ネオキャリアでは、サービスの認知拡大とリード獲得のために人事担当者向けのオウンドメディアとして『HR NOTE』を立ち上げました。
これまでテレアポを中心として組織を拡大してきたため、マーケティングに関する知見が社内にありませんでした。
そこでオウンドメディアでユーザーとどのようにコミュニケーションを取ってリードを獲得していくのかなど、運用に必要な知識を身につけ、ユーザー視点でのコンテンツ制作から開始。初年度で目標だった月間100件のコンバージョン(CV)獲得を達成しました。
現在、年間数万件の法人リードの獲得を実現しています。オウンドメディア経由でリード送客できるようになったことで、もともとアウトバウンド文化からインバウンドマーケティングマーケティングにも取り組むように変化しつつあり、経営戦略にも好影響を与えています。
TAISHI TERAKURA
Marketing Planner
業界歴10年以上。事業開発、オウンドメディア、コンテンツマーケティング支援を展開し、延べ100以上のプロジェクトを経験。藍染職人、株式会社LIGを経て、マーケティングプランナーへ。
3. オーガニック集客を実現し広告での集客から脱却したオウンドメディアの例

| 課題 | 広告中心でCPAが高騰しており、会社が潰れてしまいかねない状況だった |
|---|---|
| 実施施策 | オウンドメディアを立ち上げ、ユーザー視点のコンテンツ制作の実施(広告に代わる集客チャネルの構築) |
| 成果 | オーガニックで集客できるようになり、広告費換算で年間1.5億以上の売上創出に貢献 |
アンテナ工事やエアコン工事などの事業を行う株式会社ライフテックスでは、広告施策で集客していたものの、CPA高騰によりSEOでの集客を実施するためにオウンドメディアの運営を開始しました。
戦略に沿って購買に近い比較検討フェースのユーザーを獲得するためのコンテンツを作成し続けることで、着実にコンバージョン(CV)獲得できるようになりました。
結果、月間250件だったCV数が1年で4倍の約1,000件獲得できるようになり、広告CPA換算すると年間で年間1.5億以上の売上創出に貢献しています。
SAORI NAGATA
Strategy & Project Manager
業界歴10年以上。オウンド・コンテンツマーケティングを中心に100社以上を支援。現在はデジタルマーケティングの立ち上げから実行、組織開発・コミュニケーション設計までの総合支援を行う。
4.組織体制の最適化でCV数5倍増、売上8倍を実現したBtoBオウンドメディア戦略

| 課題 | イベント出展や広告出稿中心のリード獲得から脱却し、オーガニック施策を強化したいが、社内にコンテンツSEOの知見やノウハウが不足していた |
|---|---|
| 実施施策 | ・コンテンツSEO施策による基盤構築 |
| 成果 | ・流入数:1年で3倍に増加 |
「はたらいて、笑おう」をビジョンに掲げ、人材派遣サービス、転職サービス、ITアウトソーシングなど、人と組織にかかわる多様なサービスを提供するパーソルホールディングス株式会社では、2020年より新たにオーガニック施策に着手しました。
それまではイベント出展や広告出稿を中心にリード獲得を進めてきましたが、200以上もの商材がある中でより効率的な集客を目指し、オウンドメディア戦略を開始。当初は「2年間で累計3,500件のコンタクトを獲得」というミッションを掲げ、まずは200ある商材の中から3商材に絞ってコンテンツを展開。
その結果、1年で流入数は3倍、CV数は5倍へと大きく伸長しました。 さらなる成長を目指し、「1年間で4,100件のコンタクト獲得」という高い目標を設定した2年目には、短期間でPDCAを回せる仕組みを整えました。
コンテンツの質向上のため、社内有識者による監修制度を導入し、パーソルならではの専門性の高いコンテンツ提供を実現。同時に、フォーム改修などのCVR改善施策を実施したことで、CVRは2倍以上に改善し、受注金額ベースでは前年同期比で8倍という大幅な成長を遂げています。
さらに作成したコンテンツが営業ツールとしても活用されるなど、マーケティング以外の部門にも波及効果をもたらしています。
KOTARO TAJIMA
Media Planner / Consultant
業界歴8年以上。BtoBマーケティング、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。コンサルタント・PMとして戦略設計、インハウス化・グロース支援を行う。
提供領域
オウンドメディアマーケティングに取り組むメリット
ここまでの内容をもとに、オウンドメディアマーケティングに取り組むことでどのような効果が得られるのか、改めてメリットを解説します。
新たな集客チャネルを構築できる
オウンドメディアは検索やソーシャルなど、さまざまなタッチポイントに対応することができます。
これまでは広告やオフラインでしか集客を行えなかった企業も、オウンドメディアを活用することでユーザーとの接点を増やし、集客を有利に進められる可能性があります。
ユーザーにとって有益なコンテンツが蓄積していけば、顧客に自ら売り込まなくても興味や関心が高い顧客からの問い合わせが集まるようになるので、見込み顧客を発掘できる「プル(引き込み)型」の営業ができるようになるでしょう。オウンドメディアをうまく活用できれば、インバウンドマーケティングの足がかりになります。
施策の柔軟性が高い
オウンドメディアは自社の解決したい課題や運用目的にあわせて、コンテンツなど発信内容を自由にカスタマイズできます。
前半で説明した以下のような活用方法がありますが、これら全てを1つのオウンドメディアで行うことも可能です。
- リード獲得(新規顧客の獲得)
- 既存の見込み客や顧客との関係構築
- 認知拡大(ブランディング)
- 直接的な収益化(マネタイズ)
またマーケティング以外にも、採用活動を有利に進めるためのコンテンツを制作する、といったこともできます。
基本的にオウンドメディアは中長期的な運用になるため、そのときの状況にあわせた施策を実施できることは大きな強みです。またオウンドメディアマーケティングに取り組むことで、組織体制の構築など経営戦略につながるケースもあります。
制作したコンテンツが資産になる
ターゲットの行動につながるような良質なコンテンツがオウンドメディア上に蓄積されていけば、コンテンツが資産となります。
広告のように費用をかけ続けなくても新規顧客を獲得し続けられる可能性があるので、「CPAを抑えてWebから集客を行いたい」という企業は、検討してみるのがおすすめです。
ユーザーの課題や悩みに寄り添ったコンテンツを発信することで、自社のサービスや商品への信頼にもつながるでしょう。
実施する際に確認すべきポイント
オウンドメディアはただ立ち上げて、コンテンツを公開すれば成果が上がるわけではありません。
マーケティングへの活用を検討している方は、以下のようなポイントを考える必要があります。
運用目的(ミッション)を明確にする
成果指標が設定されているか
戦略が設計されているか
実行するためのプランを考え、体制を作る
1. 運用目的(ミッション)は明確か
オウンドメディアにはさまざまな形があり、目的によって運用方法が大きく異なります。そのためまずは「今解決すべき課題は何か」「どのような課題を解決するためにオウンドメディアを活用するのか」を明確にしましょう。
企業が抱える事業課題は、当然ながらその事業内容によってさまざまです。これまで弊社が携わってきた企業のメディアでは、たとえば以下のようなケースがありました。
運用目的(ミッション)の一例
- サービスを伸ばしていくために、リードを獲得する
- ECサイトの販売数を伸ばす
- 見込み顧客との接触機会を作る
- 自社サービスの認知・好意度を高める
企業規模、事業フェーズ、BtoB/ BtoCといった事業形態など課題も異なりますが、オウンドメディアを用いてどのような課題を解決するか、どのようなオウンドメディアであるべきか、オウンドメディア運用が成すべきミッションを定義しましょう。
本来は立ち上げ時に設定すべき項目ですが、運用フェーズであっても常に目的の達成に向かっているかを振り返ることは大切です。もし、いますぐミッションを口に出して言えないのであれば、すぐに社内で認識合わせを行いましょう。経営陣や事業責任者を交え、共通した言葉でミッションを言語化しておくことが大切です。
どのような課題を解決するのか、ミッションから考える
2. 成果指標が設定されているか
オウンドメディアの目的を果たす上で、その達成度合いを定量的な指標で定義します。
たとえばリード獲得を増やしたい場合には「問い合わせ数」「資料ダウンロード数」など、サービスの認知度を上げたい場合には「新規ユーザー数」や「指名検索数」、あるいはアンケートによる「ブランド純粋想起の獲得数」を設定する、などです。これらはあくまで一例ですが、オウンドメディア運用の成果を測る上で非常に重要です。
成果指標の一例
- リード獲得数(問い合わせ数、相談件数)
- 商品購入数
- 新規ユーザー数
- リピート率
- 指名検索数
- ブランド認知度
- 採用エントリ数 など
重要なのは、その指標の達成が事業課題の解決に紐づくものかどうかです。「商品購入」などは売上に直結しやすい分かりやすい例ですが、「指名検索数」などはそれ自体は直接的な売上にはなりません。事業売上や利益の拡大にどう紐づくかを定義した上で設定する必要があります。
このとき、最終的な成果指標の達成に対し、マイルストーンとして中間目標を立てておくとよいでしょう。たとえばメディアを立ち上げてすぐに「売上を◯◯円にする」といった指標を立てても、日々の運用で達成に向かっているかを正しく把握できません。経営判断としてもすぐに「失敗」の烙印を押されることになります。
そのため、事業フェーズや進捗に応じて適切な中間目標を設定しましょう。いつ、どのような状態になっていればオウンドメディアとして良い評価とするのかを定めることが大切です。必ず事業目的の達成が先にあり、その達成度合いを測るために成果指標を定める、という順序を押さえておきましょう。
成果として、何がどれだけ得られたら、目的は達成されるのか?
参考記事
オウンドメディアのKPI|成功に導く具体的な事例、4つの注意点を解説
3. 戦略が設計されているか
目的、成果指標を決め目指すべき方向が明確になったところで、ゴールに到達するための戦略設計を行います。
オウンドメディアではさまざまな施策が行えますが、前章で設定したミッションやKPIを達成するために、何にリソース(予算や人員・時間など)を投下するのかを明確にする必要があります。
- ターゲットの明確化
- タッチポイントやチャネルの明確化
- 成果を得るための導線の設計 など
弊社ではよくペルソナやカスタマージャーニーマップを作成し、「ターゲットユーザーはどこでどのような行動をしているのか」「そのユーザーと接点を持つためにはどのチャネルが有効なのか」「接点を持ったユーザーに対してどのようなコミュニケーションを取って成果に繋げるのか」を整理し、戦略を組み立てています。
検索をタッチポイントにするのであれば、キーワード設計も重要です。
戦略設計の例(BtoB向け運用型広告のツールベンダーの場合)
BtoB向けに運用型広告ツールを提供する企業から、「自然検索流入によるリード獲得の増加」といったご相談をいただいたときのことです。
それまでのリード獲得は広告に依存しコストがかかっていたり、自然検索ではほとんどサイトが表示されないなどの課題がありました。加えてサービス内容の変更に伴うサイトリニューアルを控えているという状況でした。
一方で、企業自体の知名度が高いことから被リンクの獲得やリファラ流入の獲得はできており、検索トラフィックをあげるポテンシャルが高い状態でもありました。
そこで、「自然検索経由でのリード獲得」を成果指標とし、年間目標数値の達成に向けてプランを練っていきました。
まずはターゲットユーザーのカスタマージャーニーを整理した上で、チャネルごとにコンテンツのタッチポイントと役割を定義します。
- 広告、リファラルを中心に、課題認知〜興味関心層を獲得
- 自然検索経由で、興味関心〜比較検討層を獲得
その上で、自然検索経由のリード獲得に向け、下記の施策を実施しました。
- 主要サービスのキーワードを起点として構造化したサイト設計
- 訪問から問い合わせに至るユーザー行動に合わせたコンテンツの経路設計
- ブランドおよび関連キーワードで上位獲得するためのコンテンツSEOの実施
詳細は後述の事例記事にて紹介していますが、リニューアル以降の半年弱でコンバージョン数が約3.8倍まで伸長しました。検索経由のトラフィックも23倍近く伸び、プロジェクト終了後もなお伸び続ける、右肩上がりの曲線を描くことができました。結果的に、広告が占めるトラフィックの割合も1%程度にまで下がっています。
KOTARO TAJIMA
Media Planner / Consultant
業界歴8年以上。BtoBマーケティング、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。コンサルタント・PMとして戦略設計、インハウス化・グロース支援を行う。
提供領域
ただ闇雲にコンテンツをつくる、キーワードで1位をとる、ではなく、成果獲得につなげるためどのようなコンテンツをつくるべきなのか、どのようなキーワードで1位をとるべきなのか、この戦略設計が非常に重要です。
戦略を立てることは、やるべきことを決めると同時に、「やらないこと、諦めること」を決めることでもあります。上記の例では、クライアントが複数持つ商材の中でも「やらない商材」を決め、着手する商材でもリード獲得になり得ないキーワードはつくらない、と明確に定めていました。
可能性が広がるオウンドメディアだからこそあれこれと手をつけたくなりますが、やることを絞り、目の前の実績を積み重ねることに注力することが、結果的にオウンドメディア運用の成功につながっていきます。
この戦略設計が、オウンドメディアの成果を大きく左右すると考えています。
どうやってその目的、目標を達成するのか?何を諦めるか?
4. 実行するためのプランや体制はあるか
いくら理想的で美しい戦略が描けても、実行できなければ成果は生まれません。戦略設計に基づいて実行していくために、具体的な計画を立て、そのための運用体制を構築し、実運用を進めていきます。
例えば、「検索をタッチポイントにして、コンテンツSEOを用いてリード獲得を最大化する」といったケースを想定した場合、以下のような項目を整理していきます。
▼チェックポイント
| 設計・企画フェーズ | 運用フェーズ |
|---|---|
リード獲得に繋がるキーワード設計 | コンテンツ設計、企画 |
キーワード設計では、目的のリード獲得に繋がるであろうものとそうでないものを分け、あらかじめコンテンツの方針を定めていきます。その上で、全体の目標から逆算し、いつまでにどれだけのコンテンツを制作すべきかスケジュールを立てていきます。
同時に、コンテンツ設計や制作、運用において、だれが、どのような流れで、何を行うのか、会議体やコミュニケーションツールも含めて、一連の流れが滞りなく進行するまで詳細を詰め、具体的な行動計画まで落とし込んでいきます。
このときのポイントは、はじめからキレイな計画を立てようとしないことです。特にメディア立ち上げ初期などの場合はスモールスタートさせ、目の前の成果を積み上げていきましょう。その後、メディアの成長に合わせて人材の確保や、社外のパートナーなど外部リソースの活用を検討することをおすすめします。
立てた戦略や計画は100%思い通りにいくとは限りません。何かしらのひずみや、予測できない事態は起こりえます。そのような先の読めないことを考えるよりも、まずは必要最低限の体制・計画をつくり、あとは実行していくことが大切です。成果獲得に向けてトライアンドエラーを繰り返し、改善を積み重ねることがオウンドメディア運用には欠かせません。
また運用開始後は、行った施策の効果を検証する必要があります。データを取得する環境があるか、またそのための体制があるかも確認しておく必要があるでしょう。例えば、リード獲得に向けてコンテンツSEOを運用する場合、Googleアナリティクスでは以下のような指標を主に評価しています。
- 対策キーワードの検索順位、表示回数、クリック数 など
- コンテンツのセッション数、ページ/セッション、CV、CVR など
具体的にいつ、だれが、何をやるのか?
効果的なアクセス解析でオウンドメディアの成果を最大化する
オウンドメディアの運用においては、データに基づいた改善サイクルを回すことが成功の鍵となります。適切なアクセス解析ツールを活用し、ユーザー行動を正確に把握することで、コンテンツの最適化や導線の改善が可能になります。
「どのページが見られているか」だけでなく、「なぜそのページが見られているのか」「どのようなユーザーが、どのような経路で訪問し、どのような行動をとっているのか」を深く理解することで、戦略的な意思決定が可能になります。
アクセス解析を効果的に活用するポイント
- KPIに合わせた計測設計を行う:オウンドメディアの目的に応じて、どの指標を重視するかを明確にし、それに合わせたイベント設定や目標設定を行うことで、意味のあるデータ収集が可能になります。
- ユーザージャーニーを可視化する:流入経路からコンバージョンまでの動線を分析し、離脱が多いページや滞在時間が短いコンテンツを特定することで、具体的な改善ポイントが明確になります。
- 定期的なレポーティングサイクルを確立する:週次・月次で定期的にデータを振り返る習慣を作り、PDCAを回し続けることで、継続的な成長を実現できます。
アクセス解析は単なる数字の確認ではなく、オウンドメディアの成果を高めるための戦略的ツールです。適切な分析環境を整え、データドリブンな意思決定を行うことで、より効果的なメディア運用が可能になります。
行動量なくしてメディア運営の成功はない
先述したとおり、オウンドメディアは目に見える成果が出るまでに時間がかかります。運用を続けていくことで、よりより結果と成果を生み続けることが理想です。得たい成果や成功を定義し、そこから逆算して指標を設定を行う必要があります。
しかし最初に肝心なのは、問い合わせ数を増やすために必要な数値を追うというよりは、成果を上げるための基盤作りです。
そのためには、初期でコンテンツを作るためのチーム体制をゴールにしたり、そのチームで月10本の記事を作る、などの基盤を整えるためのKPIを設定することがほとんどです。
オウンドメディアで成果を上げるためにはやはり行動量は欠かせません。行動量がないところに戦略があっても意味がありませんし、戦略を正しく実行させるためにも行動量は必要不可欠です。
これまで成果を上げてきた多くの企業もまた必ずといっていいほど一定の行動量を積んでいたことでしょう。
しかしながら、オウンドメディアを運営しているなかで「3年問題」の壁に突き当たることも多くあります。
▼オウンドメディアの「3年問題」
- 3年経てば、担当者がいなくなる
- 3年経てば、得たい結果や成果が変わる
- 3年経てば、熱量はなくなり、既存のブランドや成果にぶら下がり衰退してしまう
オウンドメディアを成功させ続けるには、つねに上を向き続ける組織や体制、仕組みを作らなければいけません。また、経営戦略の方向性の切り替えや退職などが生じても、対応できる柔軟性を社内で育み続けることがなにより重要です。
まとめ|オウンドメディアは事業課題解決の手段と捉えて運用しましょう
今回はオウンドメディアマーケティングをテーマに、そもそもの考え方から、コンテンツマーケティングとの違い、オウンドメディアマーケティングで実現できること、実現のために必要な考え方をお伝えしてきました。
聞き慣れない言葉ではあるものの、その本質が「事業課題を解決するための手段」と捉えれば、考えるべきことはシンプルです。なんのためにオウンドメディアを運用するのか、それによって解決したい事業課題はなんなのかを明らかにし、成果獲得に向けた正しい運用を行いましょう。
弊社も数々のオウンドメディア運用のご相談をいただき、コンサルティングに入るケースが多いですが、明確な成果指標が立てられていなかったり、そのための戦略設計でつまづいているメディアも多いです。裏を返せば、オウンドメディアの設計を正しく行うことで、大きくグロースするケースも往々にしてあります。
もしオウンドメディア運用につまづいている、なかなか成果がでないとお困りであれば、まずは運用目的や成果の定義、あるいは戦略設計の部分から見直してみてください。
著者情報
KOTARO TAJIMA
Media Planner / Consultant
業界歴8年以上。BtoBマーケティング、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。コンサルタント・PMとして戦略設計、インハウス化・グロース支援を行う。
提供領域
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