オウンドメディアKPI設計|成功事例と4つの重要ポイント解説
この記事でわかること
オウンドメディアを運用してはいるものの、何を目指して良いのかわからず、いまいち効果を得られていない企業は少なくないのではないでしょうか。
オウンドメディアで成果をあげるには、最終的なゴール(KGI)と、それを達成するまでの通過点における指標(KPI)の設計が欠かせません。
本記事では、コンテンツマーケティング領域のプロがオウンドメディアのKPIについて解説していきます。読み終えるころには、下記のポイントをご理解いただけるはずです。
- KPIとKGIの関係性
- 実際の成功事例で用いられたKPI
- KPIツリーの作り方
- KPI設計で注意すべき4つのポイント
ぜひ、参考にしてください。
そもそもオウンドメディアとは
本記事ではオウンドメディアのKPIについてお話していきますが、その前に、オウンドメディアの定義を振り返ってみたいと思います。
オウンドメディアは、その名の通り「企業が保有するWebサイト」と解釈されることが少なくありません。
これに対しコンテンツマーケティング領域で様々な実績をあげてきた弊社では、オウンドメディアを下記のように定義しています。
ただ一方的かつ闇雲にコンテンツを発信するのではなく、ユーザーと適切なコミュニケーションを取ること。具体的には「ファンになってもらう」「商品を購入してもらう」といった態度変容を促し、「認知拡大」「採用」などの自社課題の解決に繋げる方法の一つです。
そして、企業の課題解決までの戦略をコンテンツを通して共に考えるのが、弊社が得意とするオウンドメディアマーケティング領域でもあります。
オウンドメディアとコンテンツマーケティングとの違い
よく似た言葉として、コンテンツマーケティングというマーケティング手法があります。オウンドメディアでもよくコンテンツを用いることが多いですが、両者の違いはどのように考えればよいでしょうか。
額面通りに受け取れば、「オウンドメディアを用いたマーケティング」と「コンテンツを用いたマーケティング」になりますが、それではピンと来ません。ただ、それぞれ明確な定義もなく、なかなか理解しづらい概念でもあります。
筆者はオウンドメディアマーケティングのコンサルタントとして日頃から運用支援に入っていますが、よくオウンドメディアの運用をお店の経営に例えたりします。オールジャンルで幅広いテーマを扱うメディアなら総合デパート、なにか1つのテーマに特化した専門メディアなら家電量販店、といった具合です。
オウンドメディアマーケティングを理解するために、以下のように考えてみましょう。
メディア=店舗、コンテンツ=販売員で、考えてみる

※今回は、オウンドメディア=自社保有のWebメディアとして考えてみます
オウンドメディア運用を家電量販店経営に置き換えると、オウンドメディア=「店舗」そのもので、それぞれ専門の情報を持ち合わせているという意味ではコンテンツ=「販売員」です。販売員が接客を行い、お客さんに欲しいと思ってもらい、その結果商品を買ってもらう、つまり家電量販店における「成果」として売り上げが生まれるわけです。
筆者も実際に家電量販店の経営をおこなっているわけではありませんが、売上向上のためにさまざまな工夫がされていることかと思います。
店舗に足を運んでもらうための「集客施策」を行なっているお客さんの困ったを解決するために、「専門的な知識を持った販売員」を適材適所に配置販売員には正しい知識を持たせるだけでなく、「クロージング」も強化商品を「カテゴリ」で分けそれぞれに販売員を配置し、目的の商品や情報を探しやすくしている
ほかにも家電量販店ならではの経営手法や施策が用いられているかと思いますが、オウンドメディア運用に当てはまることも多いです。オウンドメディアもユーザーを呼び込むための「集客施策」を行い、コンテンツによってユーザーと「コミュニケーション」を図り、その一連のプロセスを通じて「成果」を上げていく、というイメージです。
さて、オウンドメディアマーケティングとコンテンツマーケティングの違いに話を戻すと、オウンドメディアを用いたマーケティングは店舗全体で成果をあげる手法、コンテンツマーケティングは販売員単位で成果をあげる手法と考えることができます。
販売員単位というとイメージしづらいですが、たとえばお店の外で販売員が実演販売している状態を想像してみてください。優秀な販売員であれば、お店のブランドや集客力に頼らずとも自らの力で集客し、商品の魅力を伝え、実際に商品を買ってもらうことはできるでしょう。比較的コストをかけずに実行でき、早ければ1日でも十分な成果をあげられるかもしれません。
ただ、やはり店舗と比べるとなると集客力や売上規模は敵いません。コストは抑えられても、取れる戦略の幅は小さく、得られる成果は限られてしまいます。
このように販売員だけの力で売り上げを上げていくのか、それとも販売員の力も借りながら店舗全体で売り上げを上げていくのか、と比較しながら考えるとオウンドメディアマーケティング、コンテンツマーケティングの違いも見えてくるのではないでしょうか。以下に整理してみます。

オウンドメディアの中にコンテンツが蓄積されるため、両者は親子関係のようなものです。どちらの手法が正しいというわけではなく、求める成果に対してどちらの施策が適切なのか、それぞれの特性を理解しておくことが大切です。
KPIの設定には、達成すべきKGIが必要

それでは本記事の本題、オウンドメディアの指標について見ていきましょう。
オウンドメディアマーケティングにおける「ゴール(KGI)」と「指標(KPI)」は、例えるなら「山登り」です。
主な共通点は、2つあります。
- ゴールは一つだけ
- 指標はフェーズ毎に設定する
例えば、「富士山の頂上でご来光を見る」ことをゴール(KGI)としましょう。
富士山の頂上という唯一無二のゴールを目指し、早朝(日の出前)に到着できるよう、時間を計算して登っていきます。この時、いきなり頂上の到達時間を目標とする人は少ないと思います。まずは、一番手前にあるポイント(5合目)の到着時間、次に6合目、そして7合目というように、段階的に計画を立てるのが現実的でしょう。
このようにゴール達成までのプロセスに設ける段階的な指標は「KPIツリー」と言います。
KPI設計には明確なKGIが必須
弊社では、オウンドメディアマーケティングにおけるKPIツリーの設計は、オウンドメディアを正しく運営していくための設計図だと考えています。
例えば「月間100万PVを目指したいです」といったご要望をいただくこともありますが、弊社では「なぜPVなのか」「なぜ100万なのか」を議論します。
なぜなら「100万PV」というKPIは、目標達成までの通過点でしかないからです。
決して、「100万PV」をKPIとすること自体が間違っているのではありません。ただ、「100万PV」の先に目指すKGIが明確に定まっていないと、仮にKPIを達成したとしても、プロジェクト的には本末転倒です。
先述の通り、オウンドメディアはユーザーと適切なコミュニケーションを取りながら事業課題を解決する手段です。
KPIの設定には、目指すべきゴール、つまり「オウンドメディアで何を成し遂げたいのか」を考え抜くことが必要不可欠ということを強調しておきたいと思います。
カスタマージャーニーに基づいて考えるKPIの種類
KGIが定まったら、それを達成するためのKPIを設定していきます。
この時どのようなKPIを設定すべきかは、カスタマージャーニーが大きく関係しています。
カスタマージャーニーとは、ユーザーが自社の商品・サービスを認知してからコンバージョンに至るまでの過程を、行動や心理的変化の観点から表したマップです。
KPI設定時には、このカスタマージャーニーを意識することで、ユーザーの心理状況ごとに最適なオウンドメディアの形を設計することができ、正しいKPI設定とブレのない意思決定ができるようになります。
例えば各態度において、下記のような指標が考えられます。

【集客段階】
オウンドメディアが市場認知を獲得できていない場合は、「見られている」ことを証明するターゲットキーワードの検索順位、PV数、UU、SNSでのシェア数などが考えられます。【ファン化段階】
一定の集客が見込める、あるいは集客KPIが達成できている場合は、ユーザーエンゲージメント率を測る直帰率、ページ滞在数などもKPIとなる場合があります。ただし全てのオウンドメディアモデルに当てはまるわけではなく、主にto CのECサイトなどで用いられます。
【成果獲得段階】
集客KPIが達成されているフェーズでは、実際の事業課題解決に直結する、コンバージョン(お問い合わせ数、資料ダウンロード数、商品購入数など)をKPIに設定することが多くなります。ただし、コンバージョンを意図しないLPには適用させないなど、コンテンツ毎に適切なKPIを精査する必要はあります。
このようにオウンドメディアの成果指標は、プロジェクトの段階やオウンドメディアの特性によって様々で、一概に「これだけ設定しておけば良い」というKPIを断言することはできません。
まずは自社のオウンドメディアの目的をしっかりと整理し、KPIを独自に考えていく必要があるでしょう。
カスタマージャーニーは最適なコミュニケーションを理解するためのツール
ここで、カスタマージャーニーマップについて詳しく解説します。そもそもカスタマージャーニーマップはオウンドメディアのKPI設定以外にも活かすことができます。
カスタマージャーニーマップを作る目的
- ユーザー行動の仮説を立てる
- 適切なコミュニケーション施策を立てる
- 優先順位を定める
- チームで共通認識を持つ
カスタマージャーニーマップを作成することで、ユーザーがどのような情報に触れ、どのような疑問や障壁を感じながら態度変容していくのかを具体的に把握できます。
さらに、マップを通じてユーザー像を可視化することで、組織内の認識のズレを解消し、一貫性のある戦略実行が可能になるという利点もあります。具体的な作成方法は下記の記事で紹介していますのでぜひご覧ください。
なぜフェーズ毎にKPIを設ける必要があるのか
KPI設計をオウンドメディアのフェーズ毎に分けるのは、ユーザーの心理状態により訴求するためでもありますが、もう一つ理由があると考えています。
それは、無駄を排除し、取るべき行動を明確化させるためです。
正直、「なんとなく他社がやっているから」といった理由でオウンドメディアを運用している企業も少なくないでしょう。確かにオウンドメディアマーケティングは、広告運用やユーザー解析など、他のマーケティング施策と組み合わせて展開することもできます。ユーザーが集まれば、オウンドメディアだけでマネタイズを行うこともできるなど、可能性は無限大です。
しかし、明確な目的、KGI、そしてKPIツリーが設定されていなければ、かえってあれこれと手出しすることで迷走してしまい、オウンドメディアマーケティングの充分な効果を得られない可能性も考えられます。
チーム一丸となって最短距離で成果を出すことができるよう、注力すべきKPIに優先順位をつけ、選択と集中をすることが必要不可欠です。
次章では、KPIツリーの作り方を見て行く前に、実際の事例を用いて説明します。
【事例】フェーズによって異なるオウンドメディアのKPI例
オウンドメディアマーケティングで追うべきKPIが、オウンドメディアの特徴やフェーズによって異なることはすでに説明しました。
ここでは実際の弊社の成功事例から、オウンドメディアのKPI例を見ていきましょう。
1. 検索順位が指標になるケース
BOXILマガジンは、スマートキャンプ会社が運営しており、「勤怠管理システム」「人事評価システム」といった、法人向けSaaSサービスの比較を行えるToB向けのオウンドメディアです。
ユーザーがBOXILマガジンを経由して資料をダウンロードすることで、メディアの収益化に繋がるため、実際にサービスを比較検討しているユーザーにより多く見てもらう必要がありました。
そこで、検索を接点としたコンテンツSEO軸としコンテンツマーケティングを展開。サービスを実際に検討しているユーザーが検索するであろういわゆる比較検討ファネルに位置するキーワード(例:福利厚生サービス 比較、勤怠管理システム おすすめなど)で上位表示を獲得することををKPIとして設定。
その成果として、同メディアのコンテンツ「勤怠管理システム価格・機能比較 – おすすめをカテゴリー別で76サービス紹介」は、「勤怠管理システム 比較」をはじめとする複数の比較検討ワードで検索上位を取り続けることができ、メディアの収益化に大きく貢献しました。
TAISHI TERAKURA
Marketing Planner
業界歴10年以上。事業開発、オウンドメディア、コンテンツマーケティング支援を展開し、延べ100以上のプロジェクトを経験。藍染職人、株式会社LIGを経て、マーケティングプランナーへ。
2. コンバージョンが指標になるケース
オウンドメディアがすでに一定数の集客に成功している場合は、コンバージョンをKPIに設けるケースもあります。
とあるテレワーク系ベンダー企業のオウンドメディア(to B向け)では、プロジェクト第一段階において十分なPVを獲得できており、他メディアとの連携などからも、市場においてある一定の認知は得られていました。
そこで、認知されてから実際のコンバージョン率を高めることを課題とし、成果指標をコンバージョン数(下記の総数)に置きました。
| 1. 問い合わせ数 2. 資料ダウンロード数 3. 無料体験申し込み数 |
この段階では、PVや検索順位をKPIとして追わない分、比較検討段階のユーザーに訴求するためのサイトリニューアルおよびコンテンツ制作、また広告運用も合わせて包括的な施策を行いました。
短期間集中型でコンテンツ制作とメンテナンスを展開し、プロジェクト開始から1年2ヶ月後に設定していた目標に対して3倍以上のリード獲得に成功。結果、サイト全体のトラ フィックか一気に底上げされ、リニューアル時に設計していた、企業とサービスの認知促進にも貢献しています。
ちなみに、「アフィリエイトサイトは収益化してなんぼなので、コンバージョンを指標とするのが正しいですか?」とは良く聞かれる質問ですが、これに対する弊社としての答えは、「場合による」です。
ECサイトやアフィリエイトサイトなど収益化を目的としたWebサイトでは、最終的な購入や問い合わせのみを追いかけがちになってしまうかもしれませんが、極端な話、PVがゼロのWebサイトにいくらコンバージョンポイントを設けても、最終成果には結びつきません。
まずは、オウンドメディアが「見られている」状態を作る必要があります。
3. 行動量が指標になるケース
PVやCVRのようなカスタマージャーニーに基づいたKPIではなく、「コンテンツを◯本公開する」といった行動指標をあえて設けることもあります。
必ずしも多くの人に読まれることを想定していないニッチな産業のWebサイトや、事例集・資料ダウンロード専用の情報サイトなどがこれにあたります。
オウンドメディアの目的や事業フェーズによって、成果指標を見直し最適化させることは常に意識しましょう。
オウンドメディアの収益化戦略と成功事例から学ぶ
オウンドメディアの運営においては、事業課題の解決を第一の目的としながらも、投資対効果を高めるための収益化も重要な検討事項です。オウンドメディアの収益化には、「事業に貢献して間接的に収益化する方法」と「広告収入などで直接的に収益化する方法」の2つのアプローチがあります。
事業貢献型の収益化では、リード獲得や商品購入などを通じて事業売上に寄与することを目指します。一方、直接収益型では、SSPやインフィード広告、アフィリエイト、記事広告などを活用してメディア自体で収益を生み出します。
ただし重要なのは、どちらの手法も「オウンドメディアの本来の目的である事業課題解決」から逸脱しないことです。
下記記事で紹介している成功事例から学ぶことで、オウンドメディアの投資回収を早め、持続可能な運営体制を整えることができます。オウンドメディアのKPI設計においては、直接的な収益指標も含めて検討することで、より包括的な運営戦略を構築できるでしょう。
オウンドメディアのKPIツリーの作り方
オウンドメディアのKPIは、最終目標であるKGIから逆算し、「どんな要素が揃えば各フェーズが達成できるのか」をできるだけ定量的・具体的に洗い出していきます。
なぜ売上を伸ばしたいのか
↓
そのために必要なパフォーマンスは何か
↓
どれくらいのコンバージョンがあれば良いのか
↓
それを実現させるにはどのくらいのPVが必要か
↓
どの領域(カテゴリーなど)から攻めていくのが効率が良いか
↓
そもそも判断できるデータはあるか
例えば「自社サービス売上の伸び悩み」という課題一つをとっても、「リピート率の向上」で解決されるのか、「購買検討しているユーザーのコンバージョン」が足りないのか、「そもそも知られていない」のかによって、KPIツリーの内容は大幅に変わってきます。
このように逆算すれば、自社のオウンドメディアが現状どの段階にいるかを判断した上で、KPIツリーを設定することができます。
その結果、戦略意図に沿ったチーム構築もでき、目的達成のための最短ルートを辿ることができるのです。
オウンドメディアの成功に向けて最短距離を走っていくためには、リライトやタイトルの調整といった記事メンテナンスも重要です。ユーザーにとって良いコンテンツを追求する改善のアクションこそがメンテナンスといえるため、以下の記事も参考にしてください。
オウンドメディアの指標を設ける際の4つの注意点

最後に、より効果的にオウンドメディアの指標を設けるための注意点を4つだけお伝えします。
オウンドメディアマーケティング領域で多くのプロジェクトとPDCAを回してきた中で、弊社が学び得たことです。ぜひ、お役立ていただけますと嬉しいです。
効果測定できることが大前提
KPIはオウンドメディアの特性やフェーズによって異なるとはお伝えしたものの、共通認識として「SMART」なKPIを設けましょう。
「SMART」は、効果的なKPIを設計するためのフレームワークで、それぞれ下記の頭文字をとったものになります。
- S(Specific):明確であるか
- M(Measurable):測定可能か
- A(Achievable):現実的に達成可能か
- R(Relevant):ゴールと関連性があるか
- T(Time-bound):期限があるか
オウンドメディアの成果は、先述の通り様々な指標で測ることができますが、弊社では成果を明確にて「美味い、酒を飲む」ために、出発点と着地点をしっかりと定義してプロジェクトを進めていきます。
そのためデータ集計ができていない場合は、具体的な指標を立てる前に、データ収集・分析の提案をさせていただくこともあります。
KPIは、ある一点から別の点への改善効果を測るものですが、明確なデータを元にした根拠がないと、効果測定そのものができないからです。
加えて、オウンドメディアは都度目標の設定を見直すことも重要です。たとえば、サイト運営の初期フェーズではまずはトラフィックを増やすことが重要になるため、記事数をKPIと置いたり、一定のトラフィックが集まった後では本来追うべきコンバージョン数を指標に設けるケースなど一度設定した目標設定は、メディアの運用状況により適宜見直しをかける必要が出てきます。オウンドメディアの目標設定は、適宜見直しをかけ修正しながら進めましょう。
KPI測定を強化するGA4とBigQueryの連携活用法
オウンドメディアのKPIを正確に測定し分析するためには、適切なツールの選択と実装が不可欠です。特にGA4(Google Analytics 4)とBigQueryを連携させることで、従来のアナリティクスでは難しかった高度なデータ分析が可能になります。
GA4の基本的な分析機能だけでは把握できない詳細なユーザー行動や長期的なデータトレンドを分析するために、BigQueryとの連携が効果的です。この連携により、未加工のローデータを活用した自由度の高い分析や、複数のデータソースを統合した包括的な分析が実現できます。特にオウンドメディアのKPI測定において、以下の3つの点で大きなメリットをもたらします。
- カスタマイズされた詳細分析:特定のコンテンツグループごとのパフォーマンス測定や、コンバージョンパスの詳細分析など、GA4の標準レポートでは取得できない深い洞察を得ることができます
- 長期データの保存と活用:GA4では最大14ヶ月までしか保存できないデータを、BigQueryでは無期限に保存可能。これにより、季節変動や年次比較などの長期トレンド分析が可能になり、コンテンツ戦略の長期的な効果測定ができます
- 複数データソースの統合:CRMやMAツールのデータとGA4のアクセスデータを統合することで、単なるPVやCVだけでなく、顧客属性ごとのコンテンツ評価や、リード獲得後の顧客行動までを含めた包括的なKPI分析が可能になります
オウンドメディアの成功を測る指標は、単純なトラフィック数だけではありません。BigQueryとの連携により、より精緻で事業貢献に直結したKPI測定と分析が可能になります。
認知獲得の段階でPVを指標に置かない
認知獲得のフェーズでPVを指標においているオウンドメディアのケースをよく見ますが、弊社では2つの理由から、そのような提案は基本的にしていません。
1つは、PV数は季節やトレンドなど、コントロール不可能な要因に影響されてしまうこと。もう1つは、検索順位が上がれば、ユーザーが検索結果画面からサイトを訪れてくれる割合(=CTR、クリック率)が上がり、PVも自ずと増えるからです。
米国Advanced Web Ranking社によるデータ(2023年1月時点)では、狙ったキーワードで検索1位を獲得した際の平均CTR(クリック率)が、40%程度ということがわかっています。

このCTRは10位で1.6%程度まで落ち込み、トップの記事とすでに30倍もの差があることが伺えます。また、3位でもCTRは8%程度です。1位とは5倍近くの差があることから、いかに1位を獲得することが成果に繋がるのかが分かるでしょう。
オウンドメディア担当者の中には、とにかくコンテンツをたくさん作ることによって、認知 / 成果をあげていこうという戦い方をしているケースもありますが、労力をかけても多くの場合は失敗に終わります。大事なのは、狙ったキーワードで1位を獲得することです。同じ労力をかけても1位を獲得することでの成果へのインパクトは大きいのです。コンテンツをたくさん作るのではなく、メンテナンスを繰り返し、一つひとつのコンテンツの質をあげ、しっかりと1位を目指すという考え方が重要です。
ゴール達成のインパクトはあるか
指標を達成することで到達できるゴールが、企業にとって十分なインパクトをもたらすのかも見極めましょう。
例えば、大学法人向けのSaaS型サービスを提供している企業のオウンドメディアで「問い合わせ数」を指標に置くとしましょう。
文部科学省の「令和元年度学校基本調査」によれば、全国の大学機関は786校です。仮に全校舎がサービスに興味を示してくれたとしても、最大786で頭打ちとなってしまいます。
このように、設ける指標が果たして市場において現実的であるかどうかは、考え直さなければいけません。
どれだけオウンドメディアで成果を出すことができても、限界が決まっている「出来レース」になってしまっては意味がないのです。
コンテンツの役割によって適切な指標は変わる
指標を設定するときは、それが対象コンテンツにおいて妥当であるか判断する必要があります。
例えば、「読了率」「滞在率」です。
比較検討系キーワードで執筆されたSEOコンテンツや、医療系のお悩み解決コンテンツは、「読了率が高ければ良い」「滞在時間が長ければ良い」とは言い切れません。なぜなら、前者であれば早くに購入してもらうこと、後者であれば早くに対処法がわかることがベストだからです。
ユーザーが早々に”解”を得られることが大切である以上、最後まで目を通してもらうことが必ずしも良いとは限りません。
全ては事業の成功から逆算した指標の設計を行う
これまで多くのメディア運営の支援をする中で、特に多いと感じた指標がPVやUUといったトラフィックに関するものでした。もちろんその指標がゴールとイコールとなっていれば良いですが、多くの場合で事業課題に対して乖離がある設定がされており、なんとなく目の前にある数値を追っている、そのような企業が非常に多いように感じていました。
このような自体が発生する要因として、オウンドメディアの運営が、どのように事業の成功に、そして、企業の成功につながっていくのか、イメージができてないことに問題があると感じています。
例えば、今回のケースで考えていくと、オウンドメディア運営における目的は「リード獲得」です。
以下の図は、オウンドメディアでリード獲得をする→売上までを可視化したものです。このように1枚の絵に書くことで、メディア運営がどのような役割を果たしているのかが明確になります。

本来であればこれが頭の中に描けた上で、今自分たちが何を目標にメディア運営をしていくべきか、その指標が見えてくるはずです。ですが、多くのメディア担当者が「施策単位」で成功を定義し進めているため、よくわからない指標の設定になっているのです。
まずはオウンドメディアは運営が目的ではなく、事業課題を解決するための手段であることを正しく認識し、その上で事業の成功とは何か、そのためにメディアを使って何をしていくのかを定義し、運営していく必要があります。
AI時代のオウンドメディア運用とは?新たな価値創出の形
オウンドメディアの基本を理解したところで、生成AIがもたらす変化についても知っておくことが重要です。
元々「企業の事業・採用課題を解決するための手段」であったオウンドメディアは、AI時代においてさらに「企業独自の形式知と暗黙知を活用して差別化を図るプラットフォーム」としての役割も担うようになっています。
生成AIによりコンテンツ制作の生産性は飛躍的に向上しましたが、同時に「60点問題」が発生しています。これは、AIを利用することで一定水準のコンテンツが簡単に作れる一方、多くの企業のコンテンツが類似してしまう問題です。
この課題を克服するには、社内のプロフェッショナルが持つ暗黙知(経験や判断、ノウハウなど)を形式知化し、それをAIによるコンテンツ生成に組み込むことが重要です。
例えば「判断知」(経験に基づく判断感覚)、「実践知」(効率的な業務ノウハウ)、「関係知」(人への理解や対応感覚)など、企業独自の暗黙知を活用することで、他社との差別化が可能となります。
AIの活用も初期の効率化から、独自知見との融合を経て、継続的な価値創出へと段階的に発展させることが成功の鍵です。
- AIを活用した効率的なコンテンツ制作と独自の暗黙知を組み合わせることで、KPI達成の加速が期待できる
- オウンドメディアを通じて社内の知識を循環させ、企業全体の競争力強化につなげられる
- 編集部の役割が情報発信だけでなく、暗黙知の収集・形式知化という新たな価値創造に拡大する
オウンドメディアは運用してからが勝負
Facebookの創設者、マーク・ザッカーバーグ氏が言ったとされる有名な言葉に「Done is better than perfect.(完璧を目指すより、まずは終わらせろ)」とありますが、オウンドメディアの運用においても、この姿勢は極めて重要です。
オウンドメディアのPDCAサイクルの中で、KPIが変動することは大いにあり得ます。本記事で事例にあげたボーグルも、第一フェーズでは「検索順位」であった指標を、オウンドメディアの成長や状況に合わせて「資料請求」や「問い合わせ」へと変化させていきました。最終的なゴールに対して今の指標が最適かどうか、常に問い続けてきたからです。
オウンドメディアを成功へと導くためには、最初に立てた指標に固執するのではなく、PDCAの中で柔軟に指標を設けることで理想のオウンドメディアに近づけていきましょう。
よくある質問とその回答
オウンドメディアで成果を上げるためには、目的・KPIの明確化、戦略設計、運用、改善を繰り返していく必要があり、短くても成果が出始めるまでに半年〜1年程度はかかってきます。
オウンドメディアで目指すべき成果を見据えながら、改善を繰り返し、長期に渡って継続できる運用体制が必要です。
オウンドメディアを新たに立ち上げたい、今あるメディアを成長させたいという担当者様に、MOLTSでは成果にこだわったオウンドメディア支援を提案しております。
まずは一度「オウンドメディアの支援内容」をご覧ください。
オウンドメディアで見るべき指標はいくつかありますが、指標(KPI)を見る前にゴール(KGI)を定めましょう。
たとえば、富士山の頂上という唯一無二のゴールを目指し、早朝(日の出前)に到着できるよう、時間を計算して登っていきます。この時、いきなり頂上の到達時間を目標とする人は少ないと思います。まずは、一番手前にあるポイント(5合目)の到着時間、次に6合目、そして7合目というように、段階的に計画を立てるのが現実的でしょう。
本記事では、オウンドメディアの見るべき指標の事例を以下3つに分けて、プロの視点から徹底的に解説しています。
- 検索順位が指標になるケース
- コンバージョンが指標になるケース
- 行動量が指標になるケース
詳しくは「【事例】フェーズによって異なるオウンドメディアのKPI例」をご覧ください。
オウンドメディアのKPIは、最終目標であるKGIから逆算し、「どのような要素が揃えば各フェーズが達成できるのか」をできるだけ定量的・具体的に洗い出していきます。
例えば「自社サービス売上の伸び悩み」という課題一つをとっても、「リピート率の向上」で解決されるのか、「購買検討しているユーザーのコンバージョン」が足りないのか、「そもそも知られていない」のかによって、KPIツリーの内容は大幅に変わってきます。
このように逆算すれば、自社のオウンドメディアが現状どの段階にいるかを判断した上で、KPIツリーを設定することができます。その結果、戦略意図に沿ったチーム構築もでき、目的達成のための最短ルートを辿ることができるのです。
詳しくは「KPIの設定には、達成すべきKGIが必要」をご覧ください。
著者情報
KOTARO TAJIMA
Media Planner / Consultant
業界歴8年以上。BtoBマーケティング、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。コンサルタント・PMとして戦略設計、インハウス化・グロース支援を行う。
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