BtoB向け広告を成功させる方法とは|広告の選び方と事例を解説

菊池 真也

Marketing Strategist / Consultant

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BtoB向け広告を成功させる方法とは|広告の選び方と事例を解説

広告を出すときに重要なのは、どのターゲットにどのような目的でアプローチするのかということです。

特にBtoB(Business to Business)の広告運用では、

  • 企業向けのため、配信規模やアクセス数がBtoC商材に比べて少ない
  • 購入に至るまで複数の方が介在し、リードタイムが長い
  • 平日のユーザー数が多く、休日はWeb上でのアクセスが減少する

といった特徴があります。しかしSaaS型モデルの製品・サービスでない限り、BtoC商材のように頻繁に購入が繰り返されることは少ない傾向にあります。そのためただ闇雲に広告配信をするのではなく、これらの特性を理解した運用を行わなければ、成果を得ることは難しいでしょう。

そこで本記事では、弊社が100社以上の企業さまとのお取引を通した事例から学んだ、BtoB業種の広告施策で成果を出すために必要な考え方と施策例をご紹介します。

▼関連記事
BtoB向けの広告運用でしっかりと成果を出すために知っておきたいBtoBマーケティングの基本については、別記事「1から分かるBtoBマーケティング|具体的な手法や成功事例を解説」で紹介しています。
広告やコンテンツマーケティングといった手法の前に、考え方の基本を学ばれたい方はぜひ合わせてご覧ください。

BtoBの運用型広告を始める前に知っておくべき2つのこと

本記事を読んでくださっている方は、認知獲得やリード獲得のために、BtoB領域で広告運用を始めようとされていると思います。リスティング広告やSNS広告といった手段で迷われている方もいらっしゃるでしょう。

最初にお伝えすると、BtoB領域において「この広告をこのように出せば成果に繋がる」といった魔法のような方程式は存在しません。一言にBtoB企業といっても製品やサービス、ターゲットや事業形態も多岐に渡りますし、そもそもなにを成果とするかによって適切な手法や運用方法が異なるからです。

そこで本章ではまず、BtoB領域での運用型広告で成果を得るために、実際の運用の前におさえておくべきポイントを紹介します。

  1. 目的とターゲティングを明確にする
  2. 本質的な事業成長を見据えて予算を決める

1. 目的とターゲティングを明確にする

広告に限った話ではありませんが、マーケティング施策を行う最初のステップとして、「何を目的として」「誰に」広告を届けるのかを明確にしましょう

下の図は、見込み客が製品やサービスを認知してから購入に至るまでのプロセスを表す「ファネル」と呼ばれているフロー図です。

マーケティング ファネル
ファネル

説明のために非常に簡略化されていますが、基本的にはこうしたフロー図に基づき、広告の目的を「製品購入」としてターゲットを今すぐニーズのある顕在層に絞るのか、そもそも製品・サービスを知ってもらうことを目的として潜在層向けに配信するかなど、目的を分けて考えます。

広告というと、購買意欲が高い顕在顧客に向けて購買行動を促すイメージが強いかもしれません。しかしBtoBにおいては冒頭で紹介したように、

  • 企業向けのため、配信規模やアクセス数がBtoC商材に比べて少ない
  • 購入に至るまでのリードタイムが長い
  • 平日のユーザー数が多く、休日はWeb上でのアクセスが減少する

といった特徴があります。

そのため、今すぐ客に向けてのみ広告を配信し続けたところで、十分な数の見込み客に見てもらえるかどうかはわかりません。「認知」や「興味」の段階にいる潜在層は当然ながら広告を見ていきなり購入には至らないことが前提となるため、より確度の高い顧客の発掘(リードジェネレーション)や育成(リードナーチャリング)を目的とした広告配信や他施策を並行させる対策も必要になります。

つまり、同じ製品・サービスであっても顧客が認知・興味・比較検討・行動のどのステップにいるかによって取るべきアプローチ方法は異なります。以上のことから、「何を目的に」「ファネルでいうと、どのステップにいるターゲットに向けて」広告を出すのかを最初に明確にしておきましょう。

2. 本質的な事業成長を見据えて予算を決める

目的とターゲットが定まったら、次に広告予算を決めましょう。一般的に言われている広告予算の決め方の一つが、目標のコンバージョン(=CV)数から算出する方法です。

広告予算=目標CV数×目標CPA
目標CPA=LTV×粗利率

例えば月に獲得したいCV数が100件で、目標CPAが10,000円だったとします。この場合は 100件 × 10,000 100万円が予算となります。

しかしここでおさえておきたいのは、広告の目的が「新規顧客の最大化」であれ「クロスセルの最大化」であれ、事業としての本質的な目的は「見込み客からの売上をどれぐらいの期間で獲得できるか」にあることです。

例えば上記の「CV数100件」といった目標に対して、Webサイト訪問や資料ダウンロードでとどまるのか、はたまたその後の商談の商談に繋がる確率、そして商談から受注に繋がる契約率(+受注単価)によって、1件当たりのリードの評価が変わります。下図の場合は、「CV」の中でも売上貢献により近い「商談」を生むリードのほうが、広告予算の観点から見た価値評価は高いと考えられます。

BtoB広告ではコンバージョン率だけではなく、商談率・成約率が重要

つまり「見込み客」や「CV」を全て同じ指標として考えずに、本質的な事業成長のためにどこに注力すべきかを考えた計算式から必要な広告費の目安を決めていくことが大切です。

もう一つ、広告予算を考えるにあたって必要な観点が、今自社がどういう事業フェーズにいるかということです。既存の事業を成長させるためには、どれだけの期間でどこまで事業やプロジェクトを伸ばしたいのかという目標設定から逆算して、広告の全体予算を決めましょう。新規事業の場合は、競合他社がどれくらいのシェアを持っているのかを把握し、自社と競合の差異をブランド力・商品力といった観点で比較することで、必要な広告予算を割り出す方法もあります。

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広告予算の算出根拠と事業成長にかかわる広告費の考え方については、「リスティング広告の適正な広告予算とは。KPIの定め方について解説」で詳しく説明しています。ぜひ、合わせてご覧ください。

BtoB広告の手法と選び方

BtoB広告の手法は、前の章で伝えた、「目的」「ターゲティング」「予算」に合わせて適切に選ぶ必要があります。

本章では、運用型広告(リスティング広告、ディスプレイ広告、リターゲティング広告、SNS広告)に加え、記事広告、BtoBメディアの純広告枠、マス広告について、それぞれのメリット、デメリットを解説します。

BtoB広告のターゲット層と広告種類
顧客ファネルに応じた広告の種類

リスティング広告

リスティング広告は、検索エンジンにおいて検索ワードに連動して表示する広告です。例えば、デジタルマーケティング支援を行なっている会社の場合、「デジタルマーケティング支援」というキーワードで検索した人に広告を表示させることができます。

その特徴から、すでに製品・サービスに興味関心のある顕在層に向けたアプローチができるメリットがあります。

一方、指定したキーワードをターゲットが検索しない限り広告が表示されることはないため、潜在顧客へのアプローチには不向きです。

1クリック10円から広告を出すことができますが、クリック単価はキーワードの人気度によって大きく変動します。

▼費用相場
10円~500円前後/クリック

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リスティング広告の戦略について詳しくは、「リスティング広告の戦略設計|事例から学ぶ運用成功のポイントとは」をご覧ください。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリ状に表示される、画像広告・動画広告・テキスト広告のことです。

画像や動画といったクリエイティブを用いてターゲットに届けられることから、サービスや商品をまだ知らない、興味はあるが行動に移していない潜在層に対しても配信することができます。

さらに、自社の商品やサービスに近いものや関連する事柄を調べてたするユーザーを狙って広告を配信できるターゲティング機能を使えば、購買意向が強い顕在層にもアプローチすることができます。

▼費用相場
10円〜/1000インプレッション、または1クリック

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ディスプレイ広告について詳しくは、「5分でわかるディスプレイ広告!費用やメリット、運用のポイントを徹底解説」をご覧ください。

リターゲティング広告

リターゲティング広告とは、一度自社サイトやLPに訪れたターゲットに、再度広告を表示する手法のことです。

一度認知はしたものの、何らかの理由で離脱してしまったターゲットにリターゲティング広告を表示させることで製品・サービスを思い出してもらい、再び検討してもらうきっかけを作ることができます。

特にBtoBの場合、検討期間が長いこともあり、一度のサイト訪問だけで簡単に購入にいたらず、ターゲットは競合他社と比較検討に時間を要します。そこで、リターゲティング広告でターゲットとコミュニケーションを取り続けることで、思い出してもらいやすい存在になることはあります。

メリットは、過去に一度検討したターゲットに向けた広告配信となるため、他の広告手法と比べてコンバージョン率が高い傾向にはあります。ただし、過度に広告を表示させるとターゲットからあまり良い印象をもたれません。適度なタイミングや頻度に設定することが重要です。

▼費用相場
10円〜/1000インプレッション、または1クリック

SNS広告

SNS広告とは、Facebook・Twitter・Instagram・LINE・LinkedInなどのSNSに表示させる広告のことです。

SNS広告の一番のメリットは、職業や住んでいる地域、興味関心といったデータから狙いたいターゲットにピンポイントで広告を配信できることです。このことから、まだ商品・サービスを認知していない潜在層にもアプローチできます。

また、詳細に効果測定できるため、PDCAを回しやすいメリットもあります。

▼費用相場
1円~200円前後/クリック
※ただし条件による

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SNS広告ついて詳しくは、「SNS広告の費用相場っていくらなの?出稿方法や課金形態を4大SNSで徹底比較」をご覧ください。 

記事広告

記事広告とは、第三者メディアと協力・連携して出す、記事型の広告のことです。タイアップ広告とも呼ばれ、企業や商材のPRを目的としたコンテンツを制作し、コンテンツのPV数を保証することで、広告主から直接収益を得る方法です。1PVあたり約50〜100円が相場となっており、1万PVを保証するコンテンツであれば、約50万〜100万円の収益を見込むことができます。

記事広告のメリットの一つは、第三者の目線で商品やサービスを紹介してもらえる点でしょう。また、タイアップするメディアの認知度が高ければ、多くの人に認知してもらえるだけではなく、信頼感を持ってもらって購買意欲を高めることができます。

記事広告の費用は、媒体にもよりますが、50〜200万円程度が相場になります。以下は、記事広告を出した時の想定PV数と費用の例です。

メディア名想定PV数費用
マイナビニュース4000〜5000PV80万円
WIRED10,000PV100万円
MarkeZine2,000〜4,000PV90万円
ITmedia5,000〜10,000PV140~240万円

こちらの表はあくまでも一例です。自社サービスと関わりのあるメディアの記事広告を調べてみると良いでしょう。

BtoBメディアの純広告枠

純広告とは、サイト内で決められた広告枠に広告を表示させるものです。

純広告の大きなメリットは、今まで自社の商品・サービスに興味関心のなかった潜在層にもアプローチできる点です。人気のあるメディアであれば、そのぶん多くの人の目に触れることになります。掲載するメディアをBtoBに関連するメディアに絞ることで、ターゲティングも大まかには可能となります。

マス広告

マス広告とは、マスメディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)に掲載される広告のことです。一度に多くの人に見てもらえるため、製品・サービスの認知を増やすことができます。

最近ではテレビやタクシー広告でも、BtoB企業のCMを見かけることが増えました。マス広告で商品・サービス・会社名の認知を大きく広げることで、検討段階で選ばれやすくなったり、指名検索が増えWeb施策においても受け皿となるサイトやコンテンツへと結びつけることができます。ただし予算がかかる上、しっかりとした設計に基づかないと「ただ広告を打って終わった」と目的を見失う結果になりかねないので注意が必要です。

広告単体ではなくマーケティング全体の最適化をしよう

ここまでBtoB領域で広告を成功させる考え方や種類についてご紹介しました。

実際に広告を運用していると、戦略はあっても日々の情報キャッチアップや入札業務に忙殺されてしまい、運用体制そのものがうまくいっていないケースは多々あります。実際に「CPAを下げたい」「Facbook広告の成果が思わしくないから、Twitter広告をやってみたい」を個別施策寄りのご相談を受けることも珍しくありません。

そうしたときにお伝えしているのは、「広告手法」や「広告自体」にとらわれずにマーケティング全体の最適化することを忘れてはいけないということです。

下図は顧客に自社の製品・サービスを知ってもらってから購買に至るまでに考えられる施策(一部)を簡単にまとめたものですが、広告はマーケティング施策の一部にすぎませんから、特定の広告手法や広告という施策にとらわれすぎてしまうと、ほんの一握りの見込み客にしか向き合えていない状態になってしまいます。

顧客の質と広告の種類

事業の本質的な目的に立ち返り成果を出すためには、広告だけではなく、他の手法と組み合わせて顧客のニーズに答えていく必要があります。

▼関連記事BtoBマーケティング全体像について詳しくは、「1から分かるBtoBマーケティング|具体的な手法や成功事例を解説」をご覧ください。 

また何度かお伝えている通り、BtoB広告はクリックした人が全員すぐに顧客になるわけではありません。広告においてCPAはKPIにされることが多いですが、BtoBにおいては尚更、「有効リード率/ 数」や「商談化率」など、いかに売上に貢献しているかをCV指標として考慮すべきです。

そのためにも、広告運用担当者は広告管理画面だけではなく、必要であればマーケティング担当者やインサイドセールスとも協力して、広告の成果を観察しPDCAを回していきましょう。

▼関連記事
リードを育てる”リードナーチャリング”について詳しくは、「リードナーチャリングとは?求められる背景から手法まで解説」をご覧ください。 

BtoB企業の広告成功事例

最後に、BtoB領域の広告運用の成功イメージを持っていただくためにも、弊社が広告領域を支援して成果をあげたBtoB企業の例をご紹介します。 

BtoBのITシステム企業|月10件に満たなかったリード数が、3ヶ月で月約100件にまで急成

クライアント課題リードの獲得数が少なく事業がスケールしない
ミッションCPA20,000円・150件以上のリードの獲得
広告の種類リスティング広告

■プロセス

以前インハウスで広告を運用した経験があったが、5件~10件のリード獲得にとどまり、思ったような成果が出なかった。そのため、商品・サービスの理解を通じてターゲットをfixし、キーワード・広告文・バナークリエイティブの選定をサポート。初月で得られた広告効果から、KW・バナークリエイティブを調整し、そこから得られた結果を基に広告文のトンマナを整え運用を実施した。

■成果

初期接点としてのターゲット・媒体・キーワード選定・CVまでの導線の見直しを行い、月間で約100件、計300件ほどのリードを獲得することができた。また、クリエイティブと広告文にUSPを盛り込み、広告クリック後のページでは、余計な情報は一切排除し、離脱数を最小限に抑えることに成功。広告文×クリエイティブの組み合わせを複数作成し、スピード感あるA/Bテストを実行した。

参考:月10件に満たなかったリード数が、3ヶ月で月約100件にまで急成長。広告アカウントの設計から運用までをトータルサポート

BtoBのITツールベンダー|CPAおよびリード獲得件数の改善に貢献しCAC最適化を実現

クライアント課題広告運用ノウハウ不足
ミッションCACの最適化
広告の種類リスティング広告・Facebook広告

■プロセス

Google広告のみだったが、ターゲットを広げるためにFB広告も展開。またFAX DM、メールナーチャリングなどのオフライン広告の展開、セミナー企画などチャネル拡大を実施。またCAC最適化のために、CRM/SFA分析を実施し、訴求ターゲットの明確化を実施。

■成果

Google広告の場合、CPA1万〜2万円、月10件程度のリード獲得数であったのが、CPA8千円、最大300件のリード獲得を実現。リードジェネレーションによるSQLへの転換率が20%増加し、日々成長している。

まとめ|目的を見失わず広告を上手に利用して最適化を図ろう

本記事では、BtoB企業が広告を出すにあたっての考え方のプロセス、広告手法の選び方、事例をご紹介しました。

この記事を見ていただいている方は、きっと広告を出すことを検討していると思いますが、まずはそもそもの目的を考え、ターゲットに合わせた施策を選びましょう。

他の施策でも言えることですが、広告も出して終わりではなく、しっかりと目的・目標にあった指標に向かっているかということを分析しながら改善していくことが重要です。

この記事を書いたメンバー

SHINYA KIKUCHI

菊池 真也

Marketing Strategist / Consultant

1982年生まれ。広告代理店で100社以上のリスティング広告を運用し、株式会社アイレップにて総合通販、大手人材会社の運用型広告コンサルタントを経験。中小から大規模の広告運用を経験したのち、GMOペイメントゲートウェイ株式会社にてEC企業の集客支援を行う組織を構築。2018年3月にMOLTSへ参画し、子会社STAUTに所属。業界問わず、また大手企業からスタートアップまで幅広く事業成果の獲得を軸とした運用型広告のコンサルティング、インハウス支援を行う。2020年3月よりSTAUTの代表取締役に就任。

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