Web広告のCPAを下げる9つの対策|費用対効果を改善する実践方法
この記事でわかること
「目標CPAを達成するために改善したいが、何を見てどうPDCAを回していけばよいのか分からない」とお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、Web広告のCPA改善をするには、大きく分けて「CPCを下げる」「CVRを上げる」という2つの視点から取り組んでいく必要があります。
※リスティング広告の場合

理由は後ほど詳しく説明しますが、現在のCPCとCVRが業界相場とどれだけ乖離しているのかを確認し、改善余地がある方を一つずつ対策していくことで、CPAを下げられる可能性があります。
本記事では、CPAの改善方法や考え方を分かりやすく解説していきます。初心者でも、本記事を参考にして自分でPDCAを回せるように、具体例を交えつつ合計9個の対策を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
なお今回は、利用されることが多いGoogleリスティング広告を例に挙げて解説します。リスティング広告以外の媒体でも、基本的には「ターゲット」「広告(テキスト・バナーなど)」「リンク先ページ(LPなど)」という3つの要素から成り立っているので、ベースとなるCPA改善の考え方は同じです。
※以降、リンク先ページを「LP」と記載します。
CPAを改善するには、大きく分けて2つの指標を見る
冒頭でもお伝えした通り、CPAを下げるためには以下2つの観点から改善ポイントを見つけ出し、施策を行っていきます。
- CPCを下げる(インプレッション課金型の場合はCPMを下げる)
- CVRを上げる
なぜなら、クリック課金型の場合、CPAは以下のような式で表せるからです。

※インプレッション課金型の場合は、「CPM(広告表示1,000回当りの費用)」を下げるほど予算内で広告が表示される回数が増えていくので、CPMを下げてより多くのユーザーにクリックしてもらう・CVRを上げるといった施策を考えます。
そのため、リスティング広告でCPAが高騰しているのであれば、基本的には「CPCが高い」か「CVRが低い」のどちらかが原因です。
2つの数値に改善の余地があるのかを確認し、あるのであれば、なぜ現在の数値になっているのかを分析してみましょう。その後対策を考えて実行していくことで、CPAを改善できる可能性があります。

各指標に改善余地があるかどうかを判断する方法
まずは「CPC」「CVR」に改善の余地があるのかどうかを確認する必要があります。
基本的には、各指標の業界の平均値を把握し、現在の数値とどれだけ乖離があるのかを見ていきます。例えば以下のケースを考えてみましょう。
| 自社の数値 | 業界平均の数値 | |
|---|---|---|
| CPC | 300円 | 310円 |
| CVR | 0.2% | 1% |
この場合は、CPCは業界平均の数値と同じくらいなので、これ以上大きな改善は望めない可能性があります。一方でCVRに関しては、平均よりも大幅に低い数値になっているため、原因を解明して改善すれば、CVRを上げられる(CPAを改善できる)可能性があります。
各指標は業界や扱う商材・単価などによって平均が大きく異なる場合があるので、自社事業と近いデータを参照しましょう。例えば以下のような方法で、改善余地があるかどうかを確認してください。
- キーワードプランナーで調べる(CPCの場合)
- 社内で過去に運用したデータを参照する
- 媒体社に競合比較レポートを作成してもらう
- その業界のCPC・CVRが分かるホワイトペーパーなどを入手する
CPA改善施策を実施する前に理解しておくべきこと
CPAを下げるための対策について見ていく前に、以下の2つを理解しておきましょう。
- 「これさえやれば必ずCPAを下げられる」という施策は存在しない
- CPAはあくまでも「費用対効果」を計測する指標
では、これらについて詳しく解説します。
「これさえやれば必ずCPAを下げられる」という施策は存在しない
CPAを含む各指標の改善には、「これさえ行えば必ずうまくいく」という絶対的な正解は存在しません。
「CTRを1.5倍にする広告を作ってください」「CVRを2倍にするLPを作ってください」と言われ、100%その通りに施策を実行できる人はいませんし、市場も常に変化をしています。
例えばCVRを改善するためにLPOを実施した際に、競合他社が大規模なセールを実施したため、ユーザーをそちらに取られてしまった、ということもあり得ます。
そのため、
- 現在のCPCやCVRが悪い原因はどこにあるのか
- その原因に対して、何を行えば各数値を改善できる可能性があるのか
といったことをその都度考え、「改善による影響が大きく、すぐにできそうな施策」を状況に合わせて行っていきましょう。
CPAはあくまでも「費用対効果」を計測する指標
コンバージョンの価値が一定である場合、CPAはWebマーケティングの成果を判断する指標となりますが、あくまでも施策の「費用対効果」を計測するための指標であることを念頭に置いておきましょう。
「とにかくCPAを下げたい」とお悩みの担当者もいらっしゃるかと思いますが、無闇に下げる施策が必ずしも正解とは限りません。
例えば、
- CPA1,000円の「キャンペーンA」
- CPA1,500円の「キャンペーンB」
があったとします。10,000円の同一商材の購入をコンバージョンとし、Aは300件、Bは500件のコンバージョンを獲得した場合、売上は以下のようになります。
| 広告費 | CV数 | CPA | 売上 | 粗利(25%) | 利益(粗利-広告費) | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A | 300,000円 | 300件 | 1,000円 | 3,000,000円 | 750,000円 | 450,000円 |
| B | 750,000円 | 500件 | 1,500円 | 5,000,000円 | 1,250,000円 | 500,000円 |
CPAのみに注目した場合、キャンペーンAの方が低く獲得効率はいいと言えます。
しかし、その他の「コンバージョン数」「売上」「粗利」「利益」はキャンペーンBの方が高くなっています。そのため売上への貢献度合いもキャンペーンAより高いという結果になりました。
CPAを下げることばかりを考えてしまい、本来向上させるべきコンバージョン数・売上・利益が低下してしまえば意味がありません。
広告やWebマーケティングは、実施した結果「どのようなリターンを得たいのか」という目的によってKPIが変わります。そのため、CPAだけにとらわれるのではなく、KGIとそれに紐づくKPIを総合的に見ながら、広告の効果検証をおこないましょう。
CPAの改善方法1|CPCを下げる

まずはCPCを下げてCPAを改善させる方法を見ていきましょう。
リスティング広告のCPCが高い場合に考えられる原因と、その対策をまとめました。
| CPCが高騰する原因 | 考えられる対策 |
|---|---|
| 広告やLPの品質が低い | 広告とLPを見直し、推定クリック率や関連性など(品質)を高める |
| 競合性が高い | ・ポートフォリオ入札戦略の上限CPCを設定する |
なお、「広告やLPの品質」に改善余地があるかどうかは、品質スコアを参照することで判断できます。
上記のどちらかに該当する場合は、これから解説する対策をご覧ください。
対策1. 広告とLPを見直し、推定クリック率や関連性など(品質)を高める
品質スコアを参照した結果、
- 広告とLPの品質が良くなかった
- キーワードと広告とLPの関連性が低かった
という場合は、これらを改善することでCPCを下げたり、低いCPCで検索上位を獲得できたりする場合があります。
「なぜか」「どうやるのか」を説明する前に、まずは広告とLPの品質について正しく理解しておきましょう。
リスティング広告では、キーワードと広告文・LPの関連性の高さと、ユーザーにとって有用な内容であるかが重視されます。これらが優れている広告ほど「品質が高い」とされ、広告の掲載順位を決める際の判断基準の1つになります。
広告の掲載順位を決める計算式とは、簡単に説明すると以下のようなものです。
「CPC(入札単価)」 × 「品質」=「広告ランク(掲載順位を決める数値)」
※実際には広告表示オプションなども加味されますが、ここでは簡略化します。
つまり、広告とLPの品質が高ければ高いほど、低い入札単価で高い広告ランク(掲載順位を決める数値)を獲得でき、その結果広告が上位表示されやすくなります。
例えば以下の2通りの広告を考えてみましょう。
| 上限CPC(入札単価) | 品質 | 広告ランク(掲載順位を決める数値) | |
|---|---|---|---|
| 広告A | 500円 | 9 | 4500 |
| 広告B | 1,000円 | 4 | 4000 |
この場合、広告Aの方が広告ランクが高いので、検索結果の上位に広告が掲載されます。広告Aは広告Bに比べて、半分の入札単価しか設定していないにもかかわらずです。
このような理由から、特に競合が多いキーワードに関しては、広告の品質を高めることでなるべく安い単価で検索上位を獲得できるようになります。
さらに、広告の品質を改善することで、実際に支払うことになるCPCを安くすることも可能です。実際に支払うことになるCPCは、以下の計算式で算出されるからです。

そのため、「なるべく安いCPCで上位表示させたい」「競合性の高いキーワードでCPCを下げる必要がある」という場合は、広告とLPの品質に着目し、対策を検討してみてください。
広告とLPの品質を改善するには、主に以下の3つの対策を行うことが有効です。
主に以下の3つの対策を行うことが有効です。
広告の推定クリック率を超える
広告の関連性を高める
ランディングページの利便性や、検索語句との関連性を高める
参考:品質スコアを使って広告のパフォーマンスを高める 5 つの方法 – Google 広告 ヘルプ

順番に説明していきます。
1-1. 広告の推定クリック率を超える
「広告の推定クリック率」とは、指定したキーワードで広告が表示された時に、ユーザーにクリックされる確率を予測した指標のことです。検索ユーザーが求めているものにマッチした広告文や、より興味を引ける広告文を作ることで、改善が期待できます。
ただし、掲載順位や広告表示オプションなど、広告の視認性を左右するものは、推定クリック率に影響しないので注意しましょう。
1-2. 広告の関連性を高める
「広告の関連性」とは、ユーザーの検索意図と広告の内容が一致する度合いを表したものです。検索意図に対して、どんな広告文を設定すれば、検索ユーザーが求めているものを的確に提供できる広告になるのかを考える必要があります。
もし、多くの商品や店舗を持つ事業を行っているのであれば、「広告カスタマイザ」を活用するのがおすすめです。簡単に説明すると、広告カスタマイザとはユーザーが検索するキーワードや地域・日時などに合わせてカスタマイズされた広告文を、1つの広告グループの中で作成できる機能です。
例えば「表参道 美容院」と検索したユーザーには「表参道の美容院」という広告文を表示させ、「南青山 美容院」と検索したユーザーには「南青山の美容院」という文言を表示させられます。
このように1つの広告グループ内で、微妙に異なる検索意図(ユーザーが求めている地域や商品カテゴリなど)に最適化した広告文を表示できるので、「広告の関連性」の改善に役立ちます。
※参考:広告カスタマイザについて – Google 広告 ヘルプ
1-3. ランディングページの利便性を高める
「ランディングページの利便性」とは、ユーザーが検索したキーワードと広告文・LPの関連性がどれくらいあるか、そして検索ユーザーの役に立っているかを表す指標です。
利便性を高めるためには、以下のことを見直してみましょう。
- そのキーワードで検索して広告をクリックしたユーザーが想像(期待)した内容と、LPの内容に乖離がないか
- 表示速度や導線などが適切な状態になっているか
ユーザーにとって有益なページになっていないのであれば、改修を行う必要があります。
なお、ここまで説明してきた「広告の推定クリック率」「広告の関連性」「ランディングページの利便性」は、Google広告の「品質スコア」という項目から確認できます。
品質スコアに関しては、こちらの記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
対策2. 競合が少ないロングテールキーワードの入札を強化する
設定しているキーワードの競合性が高くCPCが高騰してしまっているのであれば、より競合性が低いキーワードを設定することも検討してみてください。
ロングテールキーワードとは、「自転車 通販 ブリヂストン」などの3語~4語程度で構成されたキーワードのことです。
語数が多くなるほど、競合性が低くなる傾向があるため、CPCを安く抑えやすいというメリットがあります。
競合性の高いキーワードで出稿しつつも、ロングテールキーワードへの入札を増やすことによって、CPCの改善が期待できます。
ただし、ロングテールキーワードは検索ボリュームが少なくなるので、コンバージョン数も少なくなってしまいがちです。そのためロングテールキーワードばかりを設定するのではなく、全体のコンバージョン数やCPCなどを見ながらバランスを調整しなければなりません。
また、キーワードは語数が増えれば増えるほど、ユーザーの検索意図が明確になっていきます。「自転車 通販」は「自転車を通販で探している」という比較的幅広い意図が考えられますが、「自転車 通販 ブリヂストン」では「ブリヂストンの自転車を通販で探している」と、よりニーズが具体的になっています。
| キーワード | ニーズ |
|---|---|
| 自転車 通販 | 自転車を通販で探している |
| 自転車 通販 ブリヂストン | ブリヂストンの自転車を通販で探している |
ロングテールキーワードを設定する場合は、こういった検索意図もしっかりと考えて、広告文とLPを適切に設定する必要があります。
対策3.ポートフォリオ入札戦略の上限CPCを設定する
ポートフォリオ入札戦略を利用している場合は、CPCを設定することで高騰を防げます(ただし、Googleはこの方法を非推奨としています)。
例えば、あるキャンペーンのCVRがこれまでの実績平均で1%であった際、CPAを1万円以内にしたいとすると、CPCは理論上100円です。
しかし自動入札を利用していると、よりコンバージョンに繋がりやすいと判断したユーザーに対しては、5,000円などの明らかに高いCPCでも、広告を表示させる挙動を示します。この時、コンバージョンが獲得できれば良いのですが、もし取れなかった場合は予算のロスも大きくなります。
そこで、自動入札を利用しながらもこういったCPCの高騰を防ぐためには、ポートフォリオ入札戦略でCPCを設定することが有効です。最低限の基準として「CPCが500円以上かかる場合は入札させない」などと設定することで、リスクヘッジできます。
これは指名キャンペーンなどで、CPCの無駄な高騰を避けるために利用するケースが多いです。
なお、自動入札ではなく個別クリック単価制を利用している場合は、当然ですがCPCが高いキーワードのCPCを抑制することで、高騰を防げます。
CPAの改善方法2|CVRを上げる

次はCVRを上げてCPAを改善する方法を解説していきます。
リスティング広告のCVRが高い場合に考えられる原因と、その対策を簡単にまとめました。まずはどの項目に着手すべきかを考えてみてください。
| CVRが低い原因 | 考えられる対策 |
|---|---|
CVに繋がらないキーワードで出稿されている | ・効果が出ているキーワードに入札を寄せる |
広告文がCVに繋がりやすいユーザーにクリックされていない | ・広告文を改善する |
LPでの離脱率が高い | ・「キーワード」「広告文」「LP」の関連性を高める |
フォームでの離脱率が高い | EFOを行う |
リスティング広告に限らずWeb広告は、基本的に「KW(ターゲット)」「広告(テキスト・バナーなど)」「リンク先ページ(LPなど)」の3つの要素から成り立っています。
そのため、それぞれの要素に一貫性を持たせつつ、各ポイントで通過率を高める施策や工夫を行っていく、という考え方で見ていきましょう。
対策1. 効果が出ているキーワードに入札を寄せる/CVに繋がらないキーワードを停止・除外する
広告を配信した結果、「コンバージョンに繋がるキーワード」「繋がらないキーワード」に分かれている場合は、コンバージョンに繋がりやすいキーワードの入札を強化し、そうでないキーワードを除外する、といった施策が有効です。
ただし必ずしも、「効果が出ていないキーワード=入札を弱めるべきキーワード」とは限りません。詳細は後ほど解説しますが、そのキーワードの検索意図に適した広告文・LPになっていないことが原因で、CVRが低いケースも考えられます。
そのため場合によっては、効果が出ていないキーワードを別の広告グループに追加し、検索ユーザーが求めているものに適した広告文・LPを改めて設定することで、CVRを改善できる可能性もあります。
対策3. 広告文を改善する
もし「推定クリック率よりも、実際のクリック率が低い」「広告の関連性が低い」のであれば、広告文が本当に検索意図に沿ったものになっているのか、ターゲットユーザーにとって本当に魅力的な文言になっているのかどうかを見直してみてください。
※推定クリック率や広告の関連性は、「品質スコア」から確認できます。
例えば、「競合分析ツール」というキーワードでリスティング広告を出稿するのであれば、検索意図は「自分が使いこなしやすく、かつ効果的な競合分析ツールを探している」と考えられます。
そのため「無料お試し」「たったの30秒で競合分析が可能」といった文言を設定することで、ユーザーの興味を引きやすくなるでしょう。
もしLPにセール中の製品を載せているとしましょう。その場合、「ただいまセール中」といった文言を広告文に設定することで、コンバージョンに繋がりやすいユーザーをLPに誘導することができ、その結果CVRを上げられる可能性があります。
ただし広告文は「魅力的であれば何でもよい」というわけではありません。LP上で本当にその内容を謳っていることが前提となります。例えばセール期間が終わっているにもかかわらず、誤ってセールの広告を配信していれば、逆にCVRは悪化してしまうでしょう。
詳しくは次の「対策4」で説明しますが、「キーワード」「広告文」「LP」の内容を合わせつつ、ユーザーの興味を引く内容を設定することが大切です。
対策2. 「地域」「時間帯」などのターゲティングを見直す
効果が出ているキーワードに入札を寄せるのと同様に、効果が出ているターゲット属性が判明している場合は、その条件に合うようにターゲティングを調整することも有効です。
例えばGoogle広告では、キーワード以外にも「地域」「時間帯」「年齢」などでターゲティングできます。
- 東京にいるユーザーにのみ広告を表示させたいのであれば、ターゲティングを東京に設定する
- 月曜日のCVRが著しく低いなら、月曜日の出稿を止める
このように設定することで、コンバージョンに繋がりやすいユーザーを中心に広告を表示させ、CVRを高められる可能性があります。
対策4. 「キーワード」「広告文」「LP」の関連性を高める
広告文のクリック率が低い、LPでの離脱率が高いといった問題がある場合は、「そのキーワードで検索するユーザーが求めているもの」「広告文の内容」「LPの内容」がずれている可能性があります。
「キーワード」「広告文」「LP」の関係を飲食店に置き換えて考えてみましょう。
「夜お酒を飲んだ後にラーメンを食べたくなった」という場面を想像してみてください。もしこの時に、赤ちょうちんがぶら下がっている昔ながらのラーメン屋を見つけたら、暖簾をくぐってみたいと思うはずです。
しかし中を覗いたときに、丸テーブルが並ぶ高級中華料理屋のような内装やメニューが用意されていたらどうでしょうか。
期待を超える内容であると喜ぶ人もいるかもしれませんが、外見から想像できる内容と異なるため「価格が高そう」「期待していたものと違った」と、出て行ってしまう人もいるかもしれません。
これがまさに、「キーワード」「広告文」「LP」の関係です。
「ラーメン」というキーワードで検索しているユーザーに、「昔ながらのラーメン屋」という広告文を見せて集客しているのに、その内容が「高級中華料理屋のようなお店」だったら、注文せずに店を去ってしまうユーザーも多いでしょう。

ここで暖簾をくぐった先が、想像通りの昔ながらのラーメン屋であれば、きっとお金を払ってラーメンを注文するユーザーも多いはずです。
これをリスティング広告に置き換えると、
- 広告文のクリック率が低いのであれば、検索ユーザーが求めているものに適した広告文を用意し、興味を引く(赤ちょうちんや暖簾などを使って、昔ながらのラーメン屋であることを的確に伝える)
- LPでの離脱率が高いのであれば、広告文を見たユーザーが想像しているもの・求めているものをしっかり提供してあげる(昔ながらのラーメン屋を見たユーザーが想像するようなメニュー・価格帯・内装などを考える)
このような施策を行うことで、CVRを改善できる可能性があります。
なお、これは広告の品質を改善することにも繋がるので、結果としてCPCを下げる効果も期待できます。
対策5. LPOを行う/効果が出ていないLPの配信を停止する
LPでの離脱率が高く、キーワードや広告文を見直してもCVRが改善しない場合は、LPそのものに原因がある可能性があります。
明らかにキーワード・広告文・LPの内容が合わないようであれば、そのLPでの配信を止めることを検討します。
しかし、そうでないのであればLPO(LP最適化)を行っていきましょう。
LPを長さ別に2パターン用意する
ファーストビューを改善する
コンテンツの配置を入れ替える
CTAを改善する
フォームをLPに埋め込む
チャットボットフォームを設置する
ただしLPは「これをすれば成果が上がる」という単純なものではありません。そもそも現状のLPの課題は何なのかを把握し、その原因を仮説立て、改善するためにはどのようなアクションを行えばよいのか、という視点で考える必要があります。
詳細はこちらの記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
ヒートマップ分析でLPの問題箇所を特定する
LP改善を効果的に進めるためには、まず現状のLPでユーザーがどのような行動を取っているかを正確に把握することが重要です。ヒートマップ分析では、Webページ内のどのエリアがよく読まれているか、どの部分で離脱しているか、どこがクリックされているかを視覚的に可視化できます。
熟読エリアの分析により「読んでほしい箇所なのに、ユーザーの目を惹けていない」といった課題を発見でき、終了エリアの分析では「ユーザーが記事のどこで興味を失っているのか」を特定できます。さらにクリック位置の分析では、会員登録や資料請求など押してもらいたいパーツが適切にクリックされているかを確認可能です。
また、数値だけでは分からないコンテンツやユーザビリティの改善点を見つけ出すヒントを得ることができます。ページ上でのユーザーの動きを客観的に把握し、視覚的な情報により専門外のメンバーとも課題を共有しながら、具体的なデータに基づいた仮説立案で効果的な改善策を打ち出すことが可能です。
対策6. EFOを行う
フォームでの離脱率が高い場合は、EFO(エントリーフォーム最適化)を優先的に行っていきます。
例えば、フォームでの離脱率が80%を超えているようなケースでは、いくら広告文やLPを改善しても、最終的にほとんどのユーザーが離脱してしまうことになるからです。
EFOを行う際は、ユーザーと同じデバイスで、同じような流れで実際にフォームを使ってみるのがおすすめです。その際に、「使いにくい」と感じた部分が原因で離脱が多くなっている可能性があるため、原因と対策を仮説立てし、なるべく早めに改善に取り組めるとよいでしょう。
EFOツールを導入して各設問の離脱率を測り、問題がある設問の修正・削除などを行う
フォームの項目数をなるべく減らす(必要最低限の項目のみ残す)
住所を郵便番号から自動入力できるようにする
LPのCTA文言と、フォームページのタイトルを合わせる(無料トライアルというCTAボタンで、問い合わせページに遷移するのはNG)
Amazon Payやチャットボットなどのを導入して、利用しやすいフォームにする
以上のような施策を行い、ユーザーにとってストレスにならない、かつ自社にとって欲しい情報を入力してもらえるフォームに最適化していきましょう。
詳細はこちらの記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
適切に目標CPAを設定できていない場合、CPA改善に注力すること自体が間違いなケースもある
ここまで、CPCとCVRという2つの指標を元に、CPAを改善する方法を解説してきました。
しかし、私がクライアント支援に入る中で、CPAを改善するよりも前に、そもそも目標CPAの立て方が適切ではないケースもよく見られます。
特に以下のような場合は、CPAを改善するのではなく、目標CPA自体の見直しを検討する必要があります。
業界や商材単価などの特性上、そのCPAを達成することが困難なケース
コンバージョン獲得後の受注率やLTV・販管費などを考慮せずに、目標CPAを勘で決めてしまっているケース
例えば不動産業界の企業が、賃貸仲介の物件問い合わせをコンバージョンポイントに設定してリスティング広告を配信した場合、CPAは低くても1万円以上かかることが一般的でしょう。それに対して目標CPAを8,000円で設定していたら、「競合よりも良い物件の在庫を持っている」などの優位性がない限りは達成が困難な目標となってしまいます。
また、特に注意したいのが、コンバージョン獲得後の受注率やLTVなどを考慮せずに、勘でCPAを決めてしまっているケースです。例えばWeb広告の配信から契約を獲得するまでの流れが、次のようになっている企業の目標CPAを考えてみましょう。
・コンバージョン後の商談化率が20%
・商談後の受注率が5%
・契約単価が100万円/年
・平均継続期間が5年間(LTV500万円)
リード100件獲得×商談化率20%=商談数20件
商談20件×受注率5%=契約数1件
契約1件×契約単価100万円/年×継続年数5年間=売上500万円

リード100件獲得で売上(LTV)が500万円なので、原価や販管費などをいったん抜いて考えると、リード1件につきCPAは5万円未満であれば、黒字になる計算です(②÷①)。
もしLTVを考慮せずに計算すると、リード100件で売上100万円。つまり目標CPAは原価や販管費を抜いて1万円未満で設定しなければいけなくなります。
仮に現在のCPAが2万円だとして、目標CPAを5万円未満に設定していた場合と、1万円未満に設定していた場合でどのような違いが生じるでしょうか。
前者の計算で目標CPAを決めているならば、余裕があるためコンバージョン数の最大化や、予算の引き上げなどを検討できるでしょう。しかし後者の計算方法だった場合、本来必要ないはずの「CPAの改善」に注力しなければいけません。
このように目標CPAの立て方が間違っていると、本来達成すべきCPA水準を維持できているのにもかかわらずCPA改善に囚われ、目的から逸脱した施策に傾倒してしまうことがあります。これは大きな機会損失に繋がるため、注意が必要です。
もちろん逆に、販管費を考慮して目標CPAを計算し直した結果、現在の広告運用ではほとんど利益が得られないことが判明するケースもあります。
弊社でも広告運用のご支援をさせていただく際に、「CPAをとにかく下げたい」という担当者の悩みをよく耳にします。しかし、CPAを下げる施策だけが必ずしも正解とは限りません。目標CPAは正しく設定できているのか、Web広告の目的を達成するために今本当にすべきことは何かを、一度考え直す機会が必要です。
適切に目標CPAを設定する方法
CPAの目標を設定する際は、商品単価だけでなく、売上原価や人件費などのコストも加味して設定しましょう。
まず「上限CPA」を求め、その数値をもとに「目標CPA」を計算していきます。
- 上限CPA:これ以上広告費をかけると赤字になってしまうギリギリのライン(損益分岐点)
- 目標CPA:売上目標を達成するためにかけられる広告費の目安(KPI)
では、それぞれ解説していきます。
上限CPA(損益分岐点)の計算方法
上限CPAを求める際には、売上に加え、原価・人件費・配送料などのコストも加味し、赤字にならないラインを計算します。
例えば、利益3万円の商材を売るのに3万円の広告費をかけていたら、利益が出ない状態になるので、このケースではCPA3万円が上限CPAです。
コストとなる内容は事業や業種などによって異なりますが、本記事では以下の計算式を使います。
上限CPA(損益分岐点)の公式
顧客単価 × 利益率=上限CPA
もしくは、以下の公式でも算出できます。
顧客単価 – コスト=上限CPA
※コストに含まれる内容は事業や業界などによって異なります。また、継続利用を前提とするビジネスの場合は、単価ではなくLTVを用いて計算します。
例えば、単価(LTV)が10万円、利益率が60%の商材の上限CPAは、以下のように計算できます。
10万円(顧客単価/LTV) × 60%(利益率) = 6万円(上限CPA)
この計算から、1件のコンバージョンを獲得するための広告費は、6万円未満に抑えなければいけないということです。
目標CPA(KPI)の計算方法
上限CPAを計算したら、次は目標CPAです。
目標CPA(KPI)の公式
上限CPA × 広告費割合 = 目標CPA
もしくは、以下の公式でも算出できます。
上限CPA – 目標利益額 = 目標CPA
目標CPAは、損益分岐点となる売上高のうち、「いくら(何割)を広告費に充てて、いくら(何割)を利益として確保するか」を考えることで求めます。
例えば、上限CPA(損益分岐点)が6万円で、確保したい利益が60%(36,000円)だった場合の目標CPAは、以下のように計算できます。
- 60,000円(上限CPA) × 40%(広告費割合) = 24,000円(目標CPA)
- 60,000円(上限CPA) – 36,000円(目標利益額) = 24,000円(目標CPA)
上限CPAはあくまで赤字にならないための最低限の指標となるため、目標の利益から逆算して目標CPAを算出しましょう。
CPAの計算方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
【中上級者向け】CPAを改善するためには、アカウント構造やポートフォリオの見直しが必要なこともある
ここまで解説してきたCPCとCVRに基づいた施策を行うだけではなく、以下のような観点から、目標CPAを達成しやすい環境作りを行うことも大切です。
リスティング広告のアカウント構造を、目標コントロールや機械学習を正しく行いやすい状態にする
成果状況や事業フェーズに合わせたポートフォリオ(どのキャンペーン・媒体に予算を使っていくか)を組む
対策7.リスティング広告のアカウント構造を、目標コントロールや機械学習を正しく行いやすい状態にする
例えば、「ベッド 通販」「ワンピース 通販」というキーワードで出稿していた場合、ベッドの方が単価が高いため、入札価格や目標CPAは「ベッド 通販」の方が高くなることが一般的です。
ここで、もし「ベッド 通販」「ワンピース 通販」などCPA水準が異なる複数のキーワードが1つの広告グループに含まれていたら、自動入札での目標設定を分けられず、正しく運用が行えません。
また、自動入札を利用している企業の場合は、関連性の高いデータ同士が集まるアカウント構造にしていないと、機械学習がうまく進まずに、入札の最適化が行えないといった問題にも繋がります。
そのため、複数の商品やブランドを扱っている企業や、複数の地域で店舗を構えている企業では、特にアカウント構造に注意して広告を運用する必要があります。
対策8.成果状況や事業フェーズに合わせたポートフォリオ(どのキャンペーン・媒体に予算を使っていくか)を組む
その他にも、成果状況や事業フェーズに合わせてポートフォリオを組み直した方がよいケースもあります。
例えば
- 複数あるキャンペーンに対して、LTVや目標CPAなどを考慮して予算配分を考え直す
- リスティング広告でどうしても目標CPAを達成できないのであれば、出稿する媒体を変更する
といったことが必要になるかもしれません。
対策9.正しい戦略・施策を行うためには、伴走型コンサルティングを付けるのもおすすめ
Web広告をインハウスで運用し、KPI・KGIなどの目標設定を正しく行って事業成果に繋げていくためには、伴走型コンサルティングを付けるのもおすすめです。
伴走型コンサルティングとはその言葉の通り、インハウスで行う広告運用を伴走支援してもらえるサービスのことです。事業課題や目的・ビジネスモデルなどをコンサルタントが理解したうえで、その時々に必要なアクションを提案してもらえます。
ここまで説明してきた、各数値の改善方法だけではなく、
- ビジネスモデルや事業フェーズなどを加味した正しい目標CPAの設定
- 目標CPAを達成しやすくするためのアカウント構造最適化
- 目的や課題などに応じたポートフォリオ設計
などの初心者にとっては難しい、けれどWeb広告で成果を出すために必要な考え方や施策をサポートしてもらえます。
弊社の支援事例①
| お客様の課題 | 広告運用のためのノウハウおよび体制がない |
|---|---|
| サポート内容 | ・ターゲットとすべきユーザーを整理し、アカウント構造を正しく設計 |
| 成果 | ・運用開始から3か月目までには想定した費用進捗・CPA水準を達成 |
KENGO MATSUO
Marketing Strategist / Consultant
業界歴17年以上。デジタルマーケティング戦略設計・運用型広告(月額広告費10万円から数億円まで)を中心に支援。新規事業のテストマーケや計画設計も含め、様々なフェーズの支援を経験。
提供領域
SHOTA TAKAHASHI
Marketing Director / Consultant
業界歴9年以上。リスティング広告を中心とする運用型広告の代行、インハウス化支援を担当。また企業の広告担当としての既存代理店との折衝にも従事。
弊社の支援事例②
| お客様の課題 | ・広告運用の経験者がほぼいない |
|---|---|
| サポート内容 | ・歩留まり率や契約率を可視化し、目標CPAやコスト配分などを設定 |
| 成果 | お取り組みを開始して約10ヶ月後には、特定のサイト経由のCV数が運用開始3ヶ月で倍増 |
SHINYA KIKUCHI
Marketing Strategist / Consultant
業界歴16年以上。運用型広告のコンサルティング、インハウス化支援、代理店の組織構築などを行う。 成果を最大化するためのチームビルディングが得意。
MASAHIRO NISHI
Marketing Strategist / Data Analyst
業界歴16年以上。データ戦略の立案、アクセス解析、 CVR改善、データ活用基盤の構築など、データドリブンなマーケティング組織の構築を支援。電通デジタルを経て2019年にTHE MOLTS参画。
自力でWeb広告を運用して成果を上げることが難しいと感じる方は、ぜひ伴走型コンサルティングの利用を検討してみてください。
詳細はこちらの記事でも解説しています。
まとめ|CPA改善は主に「CPC」「CVR」に着目して、数値が悪い原因を一つずつ解決していく
CPAを改善するには、大きく分けて「CPCを下げる」「CVRを上げる」という2つの方法があります。
| CPCを下げて CPAを改善 | 広告やLPの品質が低い | 広告とLPを見直し、推定クリック率や関連性など(品質)を高める |
|---|---|---|
競合性が高い | ・ポートフォリオ入札戦略のCPCを設定する | |
| CVRを上げて CPAを改善 | CVに繋がらないキーワードで出稿されている | ・効果が出ているキーワードに入札を寄せる |
広告文がCVに繋がりやすいユーザーにクリックされていない | ・広告文を改善する | |
LPでの離脱率が高い | ・「キーワード」「広告文」「LP」の関連性を高める | |
フォームでの離脱率が高い | EFOを行う |
本記事ではGoogleリスティング広告を例に挙げて解説してきましたが、他の媒体でも基本となる考え方は同じです。
- CPCとCVRは業界平均と比べてどの程度乖離があるのか
- なぜその数値になっているのか
- その原因に対して、何をすれば各指標を改善しCPAを下げられるのか
を、各社で考えてみてください。
また、場合によっては目標CPAそのものを考え直したり、アカウント構造やポートフォリオを最適化させたりする必要もあります。自分たちだけでは難しいと感じる場合は、ぜひWeb広告の伴走型コンサルティングも検討してみてください。
よくある質問とその回答
Web広告で成果を上げるためには、ターゲットの明確化、目標・KPI設定、運用、改善を短いスパンで繰り返していく必要があります。
そのためには、Web広告で目指すべき成果を見据えながら、改善を繰り返し、長期に渡って継続できる運用体制が必要です。
Web広告を新たに取り組みたい、今実施している広告成果をより上げていきたいという担当者様に、MOLTSでは成果にこだわったWeb広告支援を提案しております。
まずは一度「Web広告の支援内容」をご覧ください。
CPAを下げるには、基本的には「CPC(インプレッション課金型の場合はCPM)」「CVR」の2つを見ていきます。
大まかな流れは以下の通りです。
- それぞれが業界平均の数値とどれだけ乖離しているかを確認
- 平均よりも数値が悪い場合は、その原因を考える
- 原因に合った方法で対処し、各指標を改善していく
本記事では、なぜこの2つの指標を見るべきなのか、具体的にどのような施策が有効なのかを、具体例を交えて解説しています。詳細は「CPAを改善するには、大きく分けて2つの指標を見る」をご覧ください。
著者情報
KENGO MATSUO
Marketing Strategist / Consultant
業界歴17年以上。デジタルマーケティング戦略設計・運用型広告(月額広告費10万円から数億円まで)を中心に支援。新規事業のテストマーケや計画設計も含め、様々なフェーズの支援を経験。
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