AIで2時間でフォームを作ったものの、公開は2ヶ月後に。その反省と今後の改善策
これは、担当クライアントの「問い合わせフォーム」を改修し、有効問い合わせの割合が約20%から70%近くまで改善したときの話です。
AIを使うようになってから、私の作業は目に見えて速くなりました。調査も、資料作成も、Webサイトのワイヤーも。このフォームのモックも、約2時間で完成しています。
でも、モックの完成から公開までにかかった時間は、従来とほとんど変わっていませんでした。自分の手元は何倍も速くなったのに、プロジェクト全体で見れば、ちょっとの「誤差」でしかない。
私はこの状況を「自分ではどうにもならない」と受け入れかけていましたが、社内には、その前提ごと変えていこうとする同僚の姿がありました。
デザイン案を渡したあと、私にできたのは進捗確認だけだった
改修したフォームには、「営業目的の無効な問い合わせの比率が高く、離脱率も高い」という課題がありました。
私は Claude Code で本番のデザインを踏襲したモックを約2時間で作り、提案の場でそのまま見せました。従来なら、デザイナーを巻き込み数週間かけて形にしていたボリューム感です。
クライアントは、「ぜひこれでいきましょう」とその場で即決してくれました。テキストベースではなくモックまで作って提案すると、クライアントの意思決定がスムーズになる。ここにAIの恩恵を強く感じています。
ただ、速くなったのはここまで。
開発フェーズは技術的に私たちでは対応できない領域のため、ここから先方側でリソースを用意して実装してもらうまで、約2ヶ月かかりました。開発にかかった時間は、従来と変わりません。自分にできることといえば、進捗を確認することだけでした。
正直、「ここは待つしかない」と、半ば諦めてもいました。
「待ちが生まれない構造」は、案件開始前に作られていた
ところが社内には、同じ問題を、案件が始まる前に潰しているプロジェクトがありました。
「結局、いくら自分だけがAIで速く動いても、他の人の確認待ちや対応待ちで止まってしまう。そうなるとプロジェクトはいつまでたっても速くならない」
「もちろん、セキュリティ上の理由などで業務を巻き取ることが難しいことはある。だけど一部のプロジェクトでは、クライアントの確認いらずで、こちらですべて対応できる状態を作りはじめてる。受注する前のタイミングで、そうなるように設計している」と、同僚は話しました。
どの工程で詰まりそうかを先に予測して、徹底的に認識をあわせたうえでサイトやコンテンツを極力クライアントの確認なしでアップできるように調整し、開発環境やデザインシステムを整えて、プロジェクトを開始する。待ちが生まれない構造を、案件が始まる前に作ってしまう、と。
ただ前提として、この構造が成立するのはクライアントに「プロセス」ではなく「成果」を約束しているからです。だからこそ、確認をなくすことにも賛同してもらえる。むやみに確認工程だけを飛ばしているわけではありません。
同僚自身、「クライアントの確認なしで進めるのは怖いもの」だと話していました。でも、その怖さごと責任を背負って、プロジェクト全体の速さを生み出していました。
成果は出た。でも、プロジェクト全体はもっとスピードアップできる
フォーム改修後、当初の狙いだった営業目的のノイズは月数十件から数件まで減り、有効な問い合わせの割合は約20%から70%近くに改善。さらに別のサイトの問い合わせ導線も新フォームに集約したところ、導入検討の問い合わせそのものが増えました。
ただ、この成果が世に出るまで、私は2ヶ月待つことしかできなかった。「モックを作る」という自分の手元の工程は速くなったのに、その先は従来のままでした。
このように、いくら個人のAI活用が進んでも、プロジェクトの進め方が従来のままなら、全体のスピードは大きく変わりません。
「作業効率だけ変えるな、プロジェクト全体のプロセスを変えろ」
という、社内でよく言われている言葉の意味を、改めて痛感しています。
私にはまだまだ、できることがあります。次の案件では、受注の入り口でスピードのボトルネックになりそうな部分を予測し、「どこまでこちらで巻き取れるか」の認識を合わせにいく。自分のAI活用に閉じず、プロジェクト全体がどう速くなるか、どれだけ早く成果を出せるかに向き合っていきたいと思っています。
著者情報

KOTARO TAJIMA
田島 光太郎
Media Planner / Consultant
業界歴8年以上。BtoBマーケティング、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。コンサルタント・PMとして戦略設計、インハウス化・グロース支援を行う。
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