「GA4活用とデータ基盤構築でデータの可視化の工数が40%減」グロービスの法人マーケチームの議論に深みが増したワケ

「GA4活用とデータ基盤構築でデータの可視化の工数が40%減」グロービスの法人マーケチームの議論に深みが増したワケ

MBAで著名なグロービス経営大学院をグループに持ち、企業の人材育成や組織開発のサポートとして、企業内研修やスクール型研修、オンライン学習サービスや研修管理システム(LMS)、アセスメントテスト(GMAP)などの幅広い企業支援事業を手掛ける株式会社グロービス。

サービス・ソリューション提供を通じて「企業の創造と変革」を支援する同社の法人向けマーケティング部門では、MAツールやBIツールを導入し、データを重視した意思決定と施策の立案、実行をしてきました。その一環として、Google  アナリティクスのユニバーサル アナリティクス(以下、UA)を一部使用していたものの、2023年7月をもってサポートが終了するとのアナウンスを受け、最新バージョンのGoogle アナリティクス 4(以下、GA4)への移行に迫られました。

しかし、UAを直接BIツールとデータ連携していたことから簡単にGA4へ移行できず、また自社でデータ基盤を構築することも難しかったため、THE MOLTSにご相談をいただきました。

そこで今回、グロービスのグロービス・コーポレート・エデュケーション デマンド・ジェネレーション・センターの石原さま、倉元さま、櫻田さまに、本プロジェクトを担当したTHE MOLTSの西 正広が、これまでの取り組みを振り返りました。

人材育成からeラーニングまで、幅広い商材のマーケティングにデータを活用するグロービス

グロービス・コーポレート・エデュケーション デマンド・ジェネレーション・センター 石原さま

西:THE MOLTSでは、Google アナリティクスの最新バージョンであるGA4への移行と、BIツールやMAツールとのデータ連携を含むデータ基盤の構築を支援させていただきました。ご相談いただいた背景をお伺いする前に、まずは貴社事業とマーケティングの対象となる商材について簡単にお聞かせください。

倉元:私たちグロービスでは「経営に関するヒト・カネ・チエの生態系を創り、社会の創造と変革を行う」というビジョンを掲げ、企業の人材育成や組織開発のサポートを行っています。企業内研修やスクール型研修、「GLOBIS 学び放題」といったeラーニングのサービスといったソリューションに加え、最近では新規事業の支援やDX支援、人的資本経営実現に向けたストーリー作りの支援など、幅広く展開していることが特徴です。

年間3,200社ほどのお取引があり、加えて日経225に名を連ねる大手企業のおよそ8割と過去3年間にお取り組みしたことがあります。

西:業界問わず、抱える課題や事業規模もさまざまな企業とお取り組みされているのですね。皆さまが現在担当されているお仕事について、改めてお聞かせください。

倉元:私たちが所属するデマンドジェネレーションセンターでは、主にデジタルのマーケティングを基本にしながらWEB、広告、メール、セミナーなどの企画、オペレーションの構築などマーケティング施策を一気通貫で取り組んでいます。チームのミッションは、弊社が持続可能な成長を続けるために新規のお客さまとの接点を見いだし、セールスとコンサルタントを支援していくことです。

その一環としてマーケティングにおけるデータ活用にも取り組んでおり、私と石原が主にデータ基盤の構築や分析、データの可視化を、櫻田がサイト流入からリードジェネレーションまでの施策を担っています。

UAとBIツールを直接データ連携していたことで生じた、GA4移行時の課題とは?

グロービス・コーポレート・エデュケーション デマンド・ジェネレーション・センター 倉元さま

西:マーケティングにおけるデータ活用について、これまでどのように取り組まれてきたのでしょうか?

倉元:私たちのチームで定めているバリューのひとつに「データで語る」という言葉があります。自分たちでデータを直接確認し、数字やファクトをベースに、ロジカルに議論し、その結論を信じて施策を実行してきました。

データ活用は2019年頃から本格的に取り組みを始めており、必要なデータの整理からデータ入力のルール作成、データ基盤の構築、そしてGoogle BigQueryの導入などの施策が挙げられます。結果として、フォームへの流入やUU数、私たちのKPIとして定めているMQLといった、データ分析に必要な数値を一貫して取得できる体制を整えることができました。

西:これまでGoogle アナリティクスはどのように活用してきたのでしょうか?

櫻田:そもそも頻繁には確認していませんでした。たとえばWebへのアクセス数やWebページ間の遷移数、メルマガからの流入数を確認する程度しか活用していなかったのです。UAの時代には、BIツールのLooker Studio(旧 Data Studio)と直接データをつないでいたため、Looker Studioの方を確認していました。

西:Google アナリティクスについて、どのようなきっかけからUAからGA4への移行しようと考えられたのでしょうか?

櫻田:2022年3月にGoogleからUAのサポート終了について発表があり、そのことをSNS経由で知りました。UAはあまり活用していなかったものの、BIツールと直接つないでいたため、データのサンプリングに問題が起きてしまいます。

倉元:UAと同じくGA4もBIツールと直接つなぎなおせば、少し手直しを加えるくらいで過去に作成したダッシュボードを使えると思っていたのです。しかし、ちょうど当時参加したセミナーに登壇されていた西さんが「GA4のAPIには割り当て上限があり、これまで通りにはBIツールへデータが連携されず、データが途切れてしまう」とお話しされており、危機感を持ち始めました。

西:データ分析の担当者が一人でデータを見る程度であれば、これまで通りにGA4とBIツールを直接つないでも、API制限は問題ないとは思います。しかし、複数名以上のチームでBIツールを使用するのであれば、間違いなく制限がかかってしまうでしょう。データを見たいときに見られず、業務に支障が出てしまいます。

倉元:幸いにも、MAツールのMarketoのデータを載せるために先んじてGoogle BigQueryを 構築していたため、とりあえずGA4のデータを連携する準備だけは整っていました。

西:Google BigQueryへの連携部分が整っていないケースも多く、また過去1年分の比較のために早めに動きだしている企業は少ない印象です。自社だけで動き出されていたのは、まさに先見の明をお持ちだったのだと思います。

UAからの移行を検討するにあたって、GA4にはどのようなメリットがあると感じられていましたか?

倉元:GA4は、一人ひとりのユーザー単位でページ上の行動をしっかり追っていくという思想は、実態に沿ったデータ分析ができるようになると感じました。実際、MAツールでもお客さま一人ひとりの行動を追いかけて分析していたため、MQLをセールスへつなげていく上で一貫したデータを扱えることが良いところだと思います。

ただ、1年分のデータをGA4に蓄積しておかないと、来年は過去のデータと正しく比較ができないと判明したため、実際のUAへのサポート終了時期よりももっと早くにGA4へ移行せねばと焦りを感じていました。

決め手はGA4の移行に間に合うこととマーケティングの知見、そして日々のコミュニケーション

グロービス・コーポレート・エデュケーション デマンド・ジェネレーション・センター 櫻田さま

西:UAからGA4へ移行するにあたって、どのようなアクションを取られましたか?

倉元:SQLを書くだけの知識がなく、またデータベースを構築した経験がないと、自社だけでUAからGA4に移行し、Google BigQueryとBIツールへつなぐのは難しいと判断しました。そこでさまざまな記事やセミナーから知識を得ながら、協力会社を探しはじめました。

西:協力会社を比較検討するにあたって、どのような要素を重視しましたか?

石原:無理なお願いと承知していながらも最優先していた要素が、2023年3月中にGA4とBIツールまでのデータ連携を構築していただけることでした。22年度と23年度を比較分析するにはこの納期しかなく、この要件の段階で、ご対応いただける協力会社は限られていました。

さらに納期と同じくらい重要な要素が、マーケティングに対して深い知見をお持ちかどうかでした。データの可視化はあくまで手段であり、最終的な目的はMQLの創出であり事業の成長です。しかしデータ基盤の知識は深くとも、マーケティングの知見も持ち合わせている協力会社さんは多くありません。

マーケティングの知見をお持ちの協力会社さんの場合、ただデータ基盤を構築いただけるのではなく、構築後の施策や最適なデータ計測についてご提案、構築いただけると考えました。

西:協力会社にTHE MOLTSを選定いただいた決め手をお聞かせください。

倉元:THE MOLTSからBIツールへのデータ連携を含めて納期内に、しかも予算内でお受けいただけるとご返答いただけました。また、過去の事例ページをいくつか拝見させていただくと、西さんはCVR改善の実績もあるため、マーケティングへの理解も深いと感じ、ご相談させていただきました。

石原:弊社からのご連絡に対するレスポンスがとても迅速で、納期内に構築いただけそうだと安心しました。

西:GA4からGoogle BigQueryへのデータのエクスポートは、さまざまな企業に需要があると予想していました。ただ、GA4のスキーマはとても複雑だったため、データベースに明るい方でも簡単には扱えないかもしれないと感じていたのです。

そこで今回のお取り組みの4ヶ月ほど前から、アクセス解析に実用的な一連のデータフローの構築とパッケージ化を進めていました。その状況でご依頼いただいたため、スピーディな納期とご要望に応じたカスタマイズ性を実現することができています。

石原:数社と面談させていただいた中でも、西さんの人柄の良さが印象に残っています。また、普段のコミュニケーションはSlackで、納品物はNotionでご共有いただけることも、取り組みのしやすさとして高く評価していたポイントでした。

準備されたパッケージに加え、自社に適したオプションを選択。納期通りにGA4へ移行完了

倉元:実際の取り組みが始まって以降は、あまり細かい要件定義をお伝えした記憶がありません。実際にBIツール上のダッシュボードとUAの設定を確認していただき、GA4でも同じような環境でデータ分析がしたいとお伝えしました。

取り組みの初期は週に1回の頻度でオンライン会議を実施させていただき、GA4とBIツールへのデータ連携に関する進捗状況の確認をさせていただきました。

現状の進捗確認では、弊社側で用意するものは特になく、毎回ご準備いただいていました。今後の構築に向けてのオプションを提示いただき、それぞれのメリット、デメリットをご共有いただいてその場で意思決定するという進め方だったため、とてもスムーズでしたね。さらに、私たちが収集したデータ活用に関する情報についてアドバイスをいただくこともありました。

西:用意させていただいたオプションの例を挙げると、不要なドメインといったGA4で除外しなければならないデータの処理や、ネストと呼ばれるデータ構造を分かりやすくする処理などが挙げられます。

倉元:UAには、特定ページの前後にユーザーが表示していたページを計測できるナビゲーションサマリーという機能があり、ユーザー理解やページの改善に役立てていたのですが、GA4からはなくなりました。そのことを西さんにご相談した結果、すでにGoogle BigQuery上から実行できるクエリを用意されていたのです。マーケティング実務をよく理解されているからこその先回りだと感じました。

西:GA4への移行とBIツールのデータ連携が一段落した段階で、GA4とMAツールのデータを直接つなげたいとのご要望を追加でいただきましたよね。

倉元:GA4のサンクスページへの訪問と、MAツール上の属性データを掛け合わせて、その訪問は本当に新規のお客さまなのか、その流入経路や属性を確認できる環境の構築をお願いしました。弊社の商材が多岐に渡ることもあり、現在も構築いただいている最中です。

データ可視化の工数が40%削減。データ分析に時間を割けるようになり、議論の深みが増した

西:追加でご依頼いただいたGA4とMAツールのデータ連携は、現在も引き続きお取り組みさせていただいている最中ではありますが、現段階を振り返っての評価をお聞かせください。まず、当初抱えていた課題は解決することができましたか?

倉元:弊社側の確認で時間がかかってしまいましたが、こちらの納期通りにお取り組みいただき、無事にGA4の環境でも以前と同じようにBIツールを活用できています。

石原:取り組みの中では、弊社側が選択したオプションを実装いただいたところ、想像とは違い、UAの頃と反映された数値が大きく変わってしまったことがありました。とても申し訳なく感じながらも、別のオプションに変更して再実装いただいたのですが、こうしたトラブルがあってもほぼ納期どおりにご対応いただけたことが印象的です。

西:特に使い勝手などは実装してみないと分からない部分もあるので、お気になさらないでください。マーケティング活動で実際に使えなければ、そのツールには意味がありませんので、本当に使えるものを納品できるよう、取り組みをさせていただきました。

今回の取り組みで得られた定量的な成果はありますか。

倉元:すでに実装いただいたデータ基盤のおかげで、可視化できた数字が広がっています。今までは獲得した流入数やMQL数字を閲覧するだけでも二次加工の時間がかかっていたのですが、必要な数字が常に可視化されたことによって、より本質的な議論や施策に時間を使えるようになっています。

体感ではありますが、月次のデータ分析にかかっていた工数と時間が40%近く削減されたような、もしくは午前中から夕方までかかっていたものが日中の午後には終わるようになったイメージです。

櫻田:私のメイン業務である広告運用でも、今までよりも詳細な結果が常時ダッシュボードで確認できるようになり、PDCAを回しやすくなっています。今後挑戦していきたい施策がいくつも出てきたことも、良い影響だと思います。

また、マーケティング内では担当領域やチームによらず、同じデータ基盤の同じ数字を見ながら議論ができるようになったことは、施策の精度を高めていく上で大きな変化です。

データ活用をマーケティングからセールス、CS領域まで広げつつ、より深くまで分析していきたい

西:今回の取り組みは、データ基盤を整えることが中心でしたので、明確な成果をお返しできるのは、これから先のことだと思います。また、生成AIの技術が現在進行形で進歩しており、自分たちでSQLを書く必要もなくなるかもしれません。

マーケティングの取り組みについて、今後の展望をお聞かせください。

倉元:弊社のマーケティングには「The Model(ザ・モデル)」の思想を導入しており、認知から、流入、獲得、育成、そしてMQLを創り出していくプロセスを構築しています。しかしその後のセールス活動や商談化、受注、そしてリピートまでの流れはごく一部しか把握できていません。今回の取り組みをもっと広く展開していき、カスタマーサクセス領域までデータをつなげていきたいと考えています。

加えて、データ分析をより深めていくことも今後の課題です。現段階でようやくデータの可視化に費やす工数と時間が減ってきたところですので、浮いたリソースで今後は分析により注力していきたいですね。

西:ありがとうございました。最後にGA4への移行やデータ基盤の構築に悩まれている方へメッセージをお願いします。

石原:全部自分だけでやろうとしないことが大事です。情報収集だけでも大変な領域なので、プロに聞いて、相談し、アドバイスを受けるべきだと思います。でも、すべてをお任せするのではだめです。自分がやりたいことを自分自身で言語化しながら、一緒に構築するような取り組みがベストだと思います。

倉元:THE MOLTSは技術的な支援だけではなく、マーケティングの知見もあることが強みだと思います。自分が描く理想像をしっかりお伝えすれば、どのような施策や体制、データ基盤が必要か教えてくれます。

櫻田:データ活用がゴールではなく、もっと根拠をもったよりよいマーケティングを実現したい企業にこそ、THE MOLTSはおすすめできると思います。

著者情報

MASAHIRO NISHI

西 正広

Marketing Strategist / Data Analyst

業界歴15年。データ戦略の立案、アクセス解析、CVR改善、データ活用基盤の構築などを担当。電通デジタルを経て2019年MOLTS参画。

担当領域の
サービス

  • マーケティングリサーチ
  • コミュニケーションプランニング
  • SEO
  • アクセス解析
  • CDP/DMP構築・運用

記事をシェア

  1. THE MOLTS
  2. メディア記事
  3. 「GA4活用とデータ基盤構築でデータの可視化の工数が40%減」グロービスの法人マーケチームの議論に深みが増したワケ