作っても作っても、コンテンツになかなかOKが出ない件について。
こんにちは。THE MOLTS公式Xアカウント「鳥井太陽(@MOLTS_2030)」の中の人のひとりです。私は2023年9月から副業でTHE MOLTSに参画し、おもにX(旧Twitter)の運用をお手伝いしています。
このたび記事を書くことになったのは、
「THE MOLTSがどんな組織なのか、第三者視点で紹介してほしい」
とTHE MOLTS代表の寺倉氏から依頼を受けたからです。
「感じたことを率直に、ありのままに書いてほしい」「ディスでもいい。裏と表を作りたくない」「事前にチェックするといろいろ口を出してしまいそうなので、私の確認は通さなくていい」
とも言われましたので、「それでは遠慮なく」とこのタイトルを掲げることにしました。
THE MOLTSではとにかく、SNSをタッチポイントにしたコンテンツになかなかOKが出ません。
とにかく、出ません。
代表自らクオリティをチェックすることが多いのですが、OKのハードルがめちゃめちゃ高いのです。
もちろん、当記事はただ愚痴を吐き出したいがために書いているわけではありません。なぜコンテンツになかなかOKが出ないのか、その裏側に “THE MOLTSらしさ” があると思ったからこそ、このテーマで執筆しています。
社外からはなかなか見えない、THE MOLTSのありのままの一面をぜひご覧ください。
どれほどOKが出ないのか
本題に入る前に、私の立場を少し補足します。
私はもともと、3年以上前からTHE MOLTSと関わりがありました。クライアント側としてコンサルティングを受けたことがあったり、ライターとして役員陣にひととおり取材をした経験があったりと、社外の人間にしてはわりと接点を持っていたほうだと思います。
また、THE MOLTSの事業領域であるデジタルマーケティング業界にふだんから身を置き、Xでの情報発信も日常的におこなっているような人間なので、「仕事としてX運用を引き受けるのは初めてだけど、よく知っている会社だし、なんとかはなるだろう」という気持ちでお手伝いをはじめました。
しかしいざ運用を開始したところ、
最初の1ヶ月間で出した企画は、6〜7つのうち1つしか通らなかったのです。
「その企画通過率ならふつうじゃない?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、作っているのはあくまで、フォロワー500人前後のXアカウントで発信する投稿内容です。タイムライン上に流れていく、刹那的なコンテンツの企画です。
「新しい試みだし、まずはいったん公開してみて反応見たらよくない!?」
と、ボツを食らうたびに口から飛び出そうになりましたが、郷に入っては郷に従えです。グッとこらえて、粘り強く企画の出し直しを続けました。
また、代表によるボツは企画フェーズだけでなく、完成直前でも発生するため厄介でした。1〜2時間費やして作ったコンテンツに対して「やっぱりこれは内容が薄いから公開なしで」と、お蔵入り認定されることが少なくありません。
「せっかくここまで作ったし、出せるクオリティになるまで粘りたいんだけど……」
と、ちゃぶ台をひっくり返されるたびに口から飛び出そうになりましたが、郷に入っては郷に従えです。グッとこらえて、気持ち新たに企画を考え続けました。
なお代表は、理由も言わずに一方的に突っぱねることはしません。「なぜNGなのか」をテキストでも口頭でも細かくフィードバックしてくれていたので、試行回数を増やすごとにクオリティの基準はクリアになっていきました。
しかし結果として、「あのテーマもダメ、この切り口もダメだ……」と私の脳内ががんじがらめになってしまい、運用開始から3ヶ月間は、正直なところあまり投稿数を伸ばせなかったのも事実です。
現在はこうした課題を解決するために、Xアカウントを公式から若手マーケターへ擬人化することで、公開フローの一部を見直しています。具体的には、Xについては代表チェックなしで、関係する社員のGOサインがでれば投稿してもよいことになりました。おかげさまで2024年1月時点では、週3〜5回まで投稿頻度を上げることに成功しています。
なぜOKが出ないのか
THE MOLTSでは、なぜコンテンツになかなかOKが出ないのか。
もちろん、原因の一つは私の編集力不足です。ただこの記事では個人の反省ではなく、THE MOLTS側の原因、つまりクオリティチェックの基準の高さについて触れたいと思います。
第一に、「THE MOLTSだからこそ出せるコンテンツかどうか」という基準を満たすことがなかなかハードでした。
コンテンツマーケティングには、「より多くの人に届けるために、ユーザーの興味関心度が高いテーマで企画を立てる」「すると競合他社と似たようなコンテンツになってしまいがち」というジレンマが一定生じるものだと思っています。
しかしTHE MOLTSは、「他社が出せるコンテンツなら、うちが出す必要はない」「調べてすぐにわかるようなノウハウなら、うちが出す意味がない」というスタンスが、それはもう揺るがないのです。その結果ボツになった企画がたくさんあります。
「我々の支援内容はめちゃめちゃ属人的で、再現性がない。だけどそのプロセスを公開すれば、なにかしらの気づきを提供できるはず」と代表はよく話すのですが、この具現化がなかなか難しく、いまもなお試行錯誤している最中です。
基準は他にもまだまだあります。
たとえば、「コンバージョンを月10件から月200件に伸ばした広告運用者がやったこと」という切り口を提案したところ、「コンバージョンを月200件に伸ばすことは、我々にとってそこまですごいことではない。これでは “さすがTHE MOLTSだね” と思ってもらえない」という理由でボツになりました。
私からすれば、十分にすごい成果です。しかしTHE MOLTSでは当たり前のように数億円、数十億円の事業貢献を目指してクライアントに向き合っているからこそ、こうしたフィードバックが返ってくるのだと思います。
また、細かい話ではありますが「みなさんもこうすべきです」といったニュアンスを含む表現もNGでした。「よそはよそ、うちはうち。だからあくまで、他社がどうすべきかではなく“うちがどう考え行動しているのか” を伝えたい」というのです。
「〜すべきではないでしょうか」なんて手癖のようになにげなく使ってきた文末表現ですが、たしかに「よそはよそ、うちはうち」と思っている人からは出てこない言葉です。指摘を受けはじめて、THE MOLTSの価値観をインストールできていなかったことに気づかされました。
ボツ理由を挙げればキリがありませんが、とにもかくにも、このようにこだわりが強いわけです。
なぜそこまでこだわり抜くのか
THE MOLTSでは、なぜここまで一つひとつのコンテンツにこだわり抜くのか。
それは、一つひとつのコンテンツを通じて「世の中とコミュニケーションをとっている」という意識が強いから。さらには、こうしたコミュニケーションによって市場やターゲットを動かすことこそが、マーケティングの根幹であるという認識を持っているからだと感じています。
その証拠に、「このコミュニケーションだとターゲットはこう感じる」「このコミュニケーションはディスブランディングになりかねない」など、代表の口からは「コミュニケーション」というキーワードがものすごく頻発します。あまりによく使うので、もはや私の口癖にもなってしまいました。
相手にどう伝わるのか、どういう印象形成につながるのか、一つひとつのコンテンツに対して考え抜いているからこそ、ここまでこだわる。その結果生まれたコミュニケーションが、お問い合わせや売上につながっていくと確信している。
THE MOLTSがデジタルマーケティング領域でクライアントの成果を出し続けている強さの一つも、この「コミュニケーションへのこだわり」がもたらしているのではないかと思います。
コンテンツ発信に携わる人間としての気づき
「コンテンツに一つひとつにこだわる」なんて、言葉にしてみれば至極当たり前のことです。
しかしながら、コンテンツ発信に携わる人間の一人として、私は「一つひとつのコンテンツにこれほどこだわることは、簡単なことではない」とも思っています。
だってせっかく考えて作ったのだから、出したくないですか?なにも出さないよりは、なにか出したほうがよくないですか?
とりあえずまずは出してみて、そこからPDCAを回せばいいじゃないですか!
それに、メンバーが一生懸命時間をかけて作ったコンテンツをボツにするって、心苦しいでしょう!?
といった声が脳内を飛び交い、作ったコンテンツを「出さない」よりも「とりあえず出す」という判断をしがちです。
……もしかすると、コンテンツは「出さない」よりも、「とりあえず出す」ことのほうがラクなのかもしれません。
コンテンツ発信者として、私はただラクなほうに流れてしまっていただけなのかもしれない。そしてこうした惰性が、「当たり障りのないコンテンツを出し続ける会社」を生み出しているのかもしれない。
THE MOLTSでの仕事を通じて、そんなことに気づかされました。
もちろん、THE MOLTSの在り方がすべての企業に当てはまるコンテンツマーケティングの正解だとは思いません。
ですが、自分たちはコンテンツ発信によって世の中とどうコミュニケーションをとっていきたいのか、そのためにはどんなこだわりを持つべきなのか、改めて考えていきたいと感じています。
この記事も、THE MOLTSと世の中をつなぐコミュニケーションの一つです。ありのままの社内の空気感が、未来のクライアントへ、未来の仲間へ、少しでも伝わっていれば幸いです。
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