CVRの改善方法|5つの手順・原因別の対策をプロが解説
この記事でわかること
- ボトルネックや改善余地があるポイントの見つけ方
- CVRが低い時に確認したいポイントと、その改善方法
- CVR改善の成功事例
CVRとは、Webサイトへの流入に対してどれくらいの割合がコンバージョン(以下 CV)に至ったかを表します。流入数が一定だった場合、CVRが高ければ高いほどCVが多く発生するので、サイト運営を行う上で重要な指標となります。
CVRが低い場合、例えば以下のような原因が考えられます。
- タイトルやサムネイル、広告内容とページの一貫性がない
- コンテンツのストーリーやデザインに問題がある
- Webサイトの導線に問題がある
- Webサイトの操作性にストレスを感じる
- 入力フォームが最適化されていない
ただし、CVRが低い原因は状況によって大きく異なるので「これをすれば必ず改善できる」という絶対的な正解は存在しません。
そこで本記事ではまず、ユーザーの離脱ポイントを可視化して改善すべきポイントを洗い出す手順を解説します。その後、具体的にどのような改善方法があるのかをお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。
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改善前におさらい!CVRとはコンバージョンに至る割合のこと
本記事を読んでいただいている方は「CVR」が何かを理解されていることが多いかもしれませんが、改めてCVRの定義や考え方をお伝えしておきます。問題の特定や改善策を知りたい方は次章の「CVRが低いときに確認したい、よくある5つの原因と対策」からお読みください。
CVR(コンバージョンレート)とは、Webサイト訪問者が購入や問い合わせといったCV(最終成果)に至った割合です。通常、CV数は以下の計算式で表すことができます。
CV数=セッション数×CVR
CV数を増やすためには、大きく分けて
- セッション数を増やす
- CVRを上げる
の2通りの方法があります。つまり、もしセッション数が一定だった場合、CVRを改善することでCV数を上げられるのです。
また、仮にCVRが0.1%など非常に低い状態であれば、いくらセッション数を増やしても多くのユーザーが離脱してしまいます。そのためこのケースでは、特に優先してCVR改善に取り組むべきだと言えるでしょう。
もうひとつ事例として、CVR改善施策のひとつであるEFO(入力フォーム最適化)のサンプルを見てみましょう。
CVを2倍にしたい場合、単純にセッション数だけでこの目標を成し遂げようとすれば10,000ss→20,000ssまでアクセスを増やさなければなりません。一方で、フォームの入力完了率を10%→20%に改善できれば、セッション数はそのままでもCV2倍が達成できます。
このように、CVRは流入の増加と並んで、WebサイトのCVを改善する上での重要な指標とされています。
CVR改善を効果的に進める5つの手順
冒頭でもお伝えした通り、CVRが低い原因は状況によって大きく異なるので「これをすれば必ず改善できる」という絶対的な正解は存在しません。
CVRを改善するのであれば、まずその原因を見つけ出し、原因に合わせた方法で改善に取り組む必要があります。むやみに施策を行っても、本来改善すべき箇所を優先的に取り掛かれず、成果を得にくくなるからです。
CVRが低い原因を明らかにし、改善する手順は以下の通りです。
- CVまでの導線データを可視化する
- 改善の余地がある箇所を絞り込む
- 仮説を立てる
- 仮説に沿って施策を実行する
- 効果検証・改善をおこなう
まずは本章を参考に、CVR改善の全体像を把握しましょう。その後に、CVRが低い場合のよくある原因や対処法を紹介していきます。
1.CVまでの導線データを可視化する
まず、問題点を見つけ出すために、CVまでの導線データを可視化しましょう。ユーザーが流入してからどのようにサイト内を動き、どこで離脱されることが多いのかを把握することで、おのずと問題がある箇所を見つけ出せます。
本来もっと複雑な動きをすることもありますが、ごくシンプルにCVへ至る導線の例を考えるなら下記のようになるでしょう。各ポイントのKPIもあわせて洗い出します。
「ページ」から「サンクスページ」へ至る割合がCVRですが、その数値だけを漠然と見ていても、どのように改善すればよいのかが分かりません。しかし上記のように、CVRがどのような要素で成り立っているのかを可視化することで、どこがボトルネックなのか、どう改善すれば良いのかというアイデアが思いつきやすくなります。
▼例
- 「ページから入力フォームへの遷移率(ボタンCTR)が著しく低いため、その原因を特定して改善すれば、全体のCVRも上がりそうだ」
- 「入力フォームでほとんどのユーザーが離脱してしまっているため、フォームを見直すことでCVRを改善できるかもしれない」
当然企業や商材によってCVまでの流れは異なるので、各社で導線を可視化し、各ポイントのデータを取得する必要があります。
なお、導線データを可視化するためにはさまざまな方法がありますがまずざっくりとデータを出したい場合はGA4の「目標到達プロセスデータ探索」を活用するのがおすすめです。
経路データ探索は、管理画面の左メニューにある「探索」をクリックすると開かれる「テンプレートギャラリー」にあります。
目標到達プロセスデータ探索を開くと、ユーザーがCVに至るまでにの各ステップでのユーザー動向が確認できます。
これのデータを参照することで、ユーザーの離脱が起こっているプロセスを特定し、改善につなげることができます。このように、現在のCVまでの導線データを具体的な数値で可視化しましょう。
また、「CVRの分析方法」で流入経路別・ページ別・ゴール地点の転換率といった分析方法を解説しています。こちらの分析も行うことで、さまざまな角度からCVRの分析ができますので、参考にしてください。
2.改善の余地がある箇所を絞り込む
導線データを可視化したら、まずは途中で大きく離脱されているポイントがないかを確認しましょう。そのような箇所があれば、優先的に改善を行います。
また、ユーザーがCVに至るまでに、想定したような動きをしているかもチェックしてください。想定外の動きをしているユーザーが多数いる場合、導線に問題があると考えられます。
よくある改善ポイントとその対策については、「CVRが低い時に確認したい、よくある5つの原因と対策」で解説しています。
3.仮説を立てて実行する
問題のある箇所を絞り込めたら、どうしてそこで離脱されるのか、なぜCVに至らなかったのかを検討し、仮説を立てましょう。
例えば、資料請求のフォームで離脱されている場合は、フォームのどこに問題があるのかを考えます。
- 項目数が多すぎるのではないか?
- 入力に時間がかかる設問になっていないか?
- 余計な導線が多くて離脱されているのではないか? など
この時に、後述するヒートマップツールやEFOツールなどを使うと、「ユーザーがページ内のどこで離脱したのか」「ボタンのクリック率は何%か」といった数値を正確に取得できます。
これらの仮説をもとに、改善策を考え実行します。
4.効果検証・改善をおこなう
施策を実行したら、一定期間をおいて効果検証を行います。
施策を実行したことによりCVRがどのように変化したか、問題があったページにはどのような変化があったかを確認しましょう。
その結果を踏まえて、別の対策を試してみたり、より数値を改善させるためにはどうすれば良いのかを考えたりして、PDCAを回していきます。
ポイントとして「最初からインパクトが出るアイデアを出さなければならない」という考えよりも、
- データ計測ができる土台を作り、データを見て常に改善し続ける状態を作ること
- 最終的にインパクトのある改善にすること
この2つを心がけてください。
- 自社でも仮説・効果検証は行っているものの、改善が見られない
- 導線データの可視化をしたいが、データ計測ができる環境が整っていない
- Webサイトへの流入はあるのにコンバージョンが発生しない
CVRが低いときに確認したい、よくある5つの原因と対策
繰り返しになりますが、CVRが低い原因(ユーザーが離脱する原因)は企業によって異なります。そのため基本的には、前章でお伝えした手順で改善ポイントを特定し、一つずつ対策と効果検証を行っていくのがおすすめです。
しかし、具体的にどのように改善を加えていけばよいのかイメージできないという方も多いでしょう。そこで本章では、CVRが低いときにありがちな原因と、その対策を紹介します。
原因 | 対策 |
---|---|
タイトル・ページ・CTAに一貫性がない | ・タッチポイントと遷移先のページに一貫性を持たせる |
ページのストーリーやデザインに問題がある | ・ページ改善、LPOを実施する |
Webサイトの導線に問題がある | ・サイト内の導線を見直す |
Webサイトの操作性にストレスを感じる | ・WebサイトのUXを改善する |
入力フォームが最適化されていない | ・EFOを実施する |
順番に見ていきましょう。
※CVRが低い場合には上記以外の原因が存在していたり、複数の要因が影響しているケースもありますので、本章でご紹介する対策で必ず解決するわけでないことにご注意ください。
よくある原因1:タイトル・ページ・CTAに一貫性がない
ユーザーが自社のWebサイトを訪れるタッチポイントには、Web広告・オーガニック検索・SNSなどさまざまな経路があります。
ファッションのECサイトなら自社の服をディスプレイ広告のクリエイティブに使用するなど、どのようなタッチポイントであっても、画像・記事タイトル・広告文などで遷移先のページをイメージできる表現をしているはずです。
ユーザーはクリックする画像や記事タイトルから欲しい情報があるかを判断するため、遷移先のページとの一貫性がないと、「期待外れだ」「思っていたページと違う」と思われ離脱されてしまう可能性があります。
例えば、「おすすめのダイエット方法」というコンテンツがあった場合、ユーザーは「どんなダイエット方法があるのだろう?自分にぴったりな方法はどれだろうか?」と考え、ページを訪問するでしょう。
しかし、遷移先のページが「自社のダイエットサプリの紹介ばかりをするコンテンツ」であったらどうでしょうか。ユーザーは期待外れに感じ、大多数が離脱してしまうと考えられます。
また、仮にタイトルとコンテンツの内容が「おすすめのダイエット方法」で一貫していたとしても、CTA(コンバージョンポイント)が「サプリメントAの購入はこちら」という内容であったら、クリック率は低くなることが予想されます。ユーザーはあくまで「自分にぴったりのダイエット方法が知りたい」という状態であり、ダイエットサプリを比較検討する段階までには達していないからです。
離脱率が高いパターン① | 離脱率が高いパターン② | |
---|---|---|
タイトル | おすすめのダイエット方法 | おすすめのダイエット方法 |
コンテンツ | ダイエットサプリAを紹介 | おすすめのダイエット方法 |
CTA (CVポイント) | ダイエットサプリAの購入はこちら | ダイエットサプリAの購入はこちら |
※あくまで本記事の解説で使用する例としてお考えください。
タッチポイントとなるタイトルやクリエイティブをクリックし、表示されたページを読んで違和感がないかを十分に確認してください。制作者ではない第三者に一貫性があるか確認してもらうのも効果的です。
対策1-1. ターゲットの解像度を高める
タイトル・コンテンツ・CTAに一貫性があるかどうかを、今一度見直してみましょう。その際、ターゲットユーザーがどのような人物なのかを改めて確認するのがおすすめです。
商品やサービスを販売するにあたって、「こうだったらいいな」という潜在的な願望や「こういう人なら買うだろう」といった先入観によって、実際のターゲット層と剥離してしまう可能性があるからです。
ターゲットを見直すには、ペルソナの作成が有効です。ペルソナとは、「自社製品・サービスのターゲットとなる架空の人物像を、具体的なイメージに落とし込んだもの」を指します。
願望や先入観から人物像を作り上げるのではなく、営業担当へのヒアリングやユーザーインタビューなどからユーザーの生の声を収集し、それに対して忠実に作成・調整していきます。
ペルソナを作成するステップは以下の通りです。
- ペルソナ像を構築するための情報を収集する
- 収集した情報を基にペルソナを作成する
- 運用しながら改善していく
すでにペルソナを作成している場合は、本当に適切なペルソナを作れているかの見直しや、作成手順を間違えていないかを確認しましょう。
ペルソナの作成方法は、以下の別記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
ペルソナを作成した後は、以下のような点を考慮して、コンテンツを見直してみましょう。
- そのターゲットは今どんな心理状態なのか
- その心理状態のターゲットにはどんなタイトル・コンテンツが適しているのか
- そのコンテンツを読んだユーザーはどう心理状態が変化するのか
- そのユーザーに対してどんなCTA(コンバージョンポイント)を設定するのが適しているのか
CVRが低くなる例 | CVRが高くなる例① | CVRが高くなる例② | |
---|---|---|---|
ターゲット | ダイエットに関する情報収集をしている | ダイエットに関する情報収集をしている | 自分にピッタリなダイエットサプリを探している |
タイトル | おすすめのダイエット方法 | おすすめのダイエット方法 | おすすめのダイエットサプリ10選 |
コンテンツ | おすすめのダイエット方法 | おすすめのダイエット方法 | おすすめのダイエットサプリ10選 |
CTA (CVポイント) | ダイエットサプリAの購入はこちら | LINE@に登録してダイエットに関する情報を受け取る | ダイエットサプリAの購入はこちら |
※あくまで本記事の解説で使用する例としてお考えください。
よくある原因2.ページのストーリーやデザインに問題がある
記事コンテンツやLPなどのストーリーやデザインは、ユーザーが読み進めたくなるかどうかに直結するため、CVRに大きく関係します。
よくありがちなのが、「LPにメリットばかりが記載されておりベネフィットが伝わらない」「ユーザーのインサイトを捉えた訴求ができていない」「ユーザーの共感を得られていない」などです。また、すべての文字の色や大きさが同じで、イラストや図もなく文章だけが続くページが表示された場合、読むのが面倒に思われて離脱されてしまう可能性が高くなります。
このように、ストーリーの流れが悪くて「期待した情報がなさそう」と判断されたり、デザインが問題で「読みにくい」と判断されれば離脱されたりしてしまい、CVRも低下する原因となるのです。
対策2-1.ページ改善・LPO(A/Bテスト)を実施する
対策としてぺージのストーリーを改善したり、LPOに取り組むことが有効です。LPOとは日本語で「ランディングページ最適化」と訳され、A/Bテストなどを通じてデザインやコンテンツの改善を行い、LPに流入してきたユーザーの離脱を防ぐことでCVRを改善する施策です。
A/Bテストとは、サイト・メルマガ・広告などのデザインやテキストを一部分変更したテストパターンを2つ用意し、どちらがより効果的かを検証するテストです。同じ期間で2つのパターンがランダムで表示されるようにし、どちらの方がよりクリックされやすいかを確認します。
効果が高い方のパターンを反映することで、流入を増やす、クリック率を高めるといった効果が期待でき、CVR改善にも繋がります。
※上記の進め方はあくまで一例です。
A/Bテストを実施する際は、自社のCTAや広告をどのように改善すれば効果が見込めそうかを検討し、テストを行いましょう。
また、CTAの場合は設置場所の見直しも行いましょう。CTAはむやみやたらに設置すればいいものではありません。
関連性が高い箇所や、ユーザーが「自分の悩みが解決できそう」と思うようなタイミングで、目に入るように適切に設置すべきです。記事コンテンツであれば、CTAに関連する内容を記載した後やコンテンツ下部に設置しましょう。
またひとつのアイデアとしてCTAをサイドバーに設置、もしくは追従表示させれば、コンテンツ閲覧の邪魔をすることなく、ユーザーが気になったタイミングでCTAをクリックできます。
LPOの具体的な手順は以下の通りです。
- ターゲットを理解する
- 現状の課題を抽出する
- 課題に対して、仮説を立てる
- 改善施策を実行する
- 効果を検証する
LPOの手順についてより詳しく知りたい場合は、以下の別記事を併せてご覧ください。
よくある原因3.Webサイトの導線に問題がある
サイト内の導線が適切に設置されていないと、ユーザーは求めている情報にたどり着けません。いくつものページを遷移して情報を探さなければならないサイトはユーザーのストレスとなるため、離脱される原因となります。
▼導線に問題がある例
- 目的の商品にたどり着けない
- 購入ページがどこにあるのか分からない
- CTAボタンがなく、フォームにたどり着けない
サイト内の導線を確認する方法は、CVR改善手順の「1.CVまでの導線データを可視化する」で解説していますので、参考にしてください。
対策3-1.サイト内の導線を見直す
サイト内の導線を見直すためには、まずどのようなルートであればユーザーがスムーズにCVへと至るのかを明確にする必要があります。例えば、ECサイトであれば以下のような導線が理想です。
1.商品ページ一覧
2.個別の商品詳細ページ
3.カートの確認ページ
4.ユーザー情報入力ページ
5.購入完了ページ(CV)
ユーザーのサイト内での行動を理想に近づけるためには、アクセス解析で現状のユーザーの行動を把握するところから始めましょう。
導線を改善するためには、ナビゲーションを活用します。ナビゲーションとは、サイト内のどこに何があるかをわかりやすくするもので、主に以下のような種類があります。
グローバルナビゲーション | すべてのページに表示される同一のメニューやリンク |
---|---|
ローカルナビゲーション | コンテンツ自体に含まれるリンク |
ブレッドクラムナビゲーション (パンくずリスト) | 表示しているページまでの情報経路 |
ダイナミックナビゲーション | ページを探すための検索 |
関連ナビゲーション | コンテンツに関連した内容やおすすめ記事 |
デザイン性を重視するあまりナビゲーションがわかりにくい、そもそも設置していない場合などは、ユーザーがサイト内で迷ってしまう可能性があります。ユーザーの目線を考えて、わかりやすいナビゲーションを取り入れましょう。
また、トップページから各ページへとスムーズに移動できるように、メニュー表示・検索窓やボタン配置・画像とテキストのバランスなどを考えましょう。各ページからすぐにトップページへと戻れるようにしておくことで、別の情報を探したい場合や、サイト内で迷った際に最初から簡単にやり直すことができます。
導線を改善したら、一定期間後に再度アクセス解析を行い、ユーザーが想定した動きをしているか確認して改善を繰り返しましょう。
よくある原因4.Webサイトの操作性にストレスを感じる
レスポンシブ対応ではない、表示スピードが遅いといった操作性の悪さも、ユーザーにストレスを与えてしまい、CVRに影響を及ぼします。
Googleの調査によると、読み込み時間が長いページではユーザーの直帰率が著しく高くなることが報告されています。
- 読み込み時間が1~3秒の場合は、直帰率が32%増加
- 読み込み時間が1~10秒の場合は、直帰率が123%増加
※モバイルの場合
そのため、現状で読み込みに時間がかかっている場合、画像のサイズ変更などを行って改善すれば、離脱を減らせる可能性が高いと言えます。
また、Webサイトはスマホで閲覧されることも多いため、レスポンシブ対応であるかも重要です。
レスポンシブ対応とは、サイトを閲覧するデバイスの画面サイズに合わせ、ページのデザイン・レイアウトを最適化して表示させることです。これができていないと、スマホから閲覧した際に文字が小さすぎる、リンクやボタンが押しにくいなど、使いにくいサイトになってしまいます。
Webサイトを訪れたものの、スマホに対応しておらず、読みにくいと感じられてしまえば、すぐに離脱されてしまう可能性があります。
対策4-1.WebサイトのUXを改善する
UXとは、製品やサービスなどの利用を通じて得るユーザー体験です。Webサイトの場合は、操作性やWebサイトが提供する体験などが当てはまります。
操作性の場合は、前述したサイト内の導線はもちろんですが、ページの表示スピードやスマホ対応であるかといったことが重要になるでしょう。
それぞれ、以下のサイトで現状を確認できます。
ページの表示スピード | PageSpeed Insights |
---|---|
スマホ対応 | モバイルフレンドリーテスト |
どちらもGoogleのツールで、URLを入力すれば簡単に確認可能です。また、PageSpeed Insightsではどのような点に問題があるかも表示されるので、それを参考にして改善を進められます。
スマホ対応させるには、コーディングを行うか、自動変換ツールやWordPressの場合はプラグインを利用しましょう。
また、ユーザー体験として効果を得やすいのが、チャットボットの導入です。入力フォームにチャットボットを連携させて、会話形式で気軽に入力できるようにしたり、問い合わせへのハードルを下げたりする効果が期待できます。
質問に対して24時間365日回答が可能なので、カスタマーセンターのように営業時間を待たず、ユーザーが「知りたい」と考えた時にすぐ質問できるというメリットもあります。
つまりチャットボットは、入力フォームや問い合わせ前の離脱や、営業時間による機会損失を減らせるということです。結果としてCVRの向上に繋がります。
よくある原因5.入力フォームが最適化されていない
資料請求・問い合わせ・会員登録などの入力フォームも、離脱されやすいポイントであるため、ストレスを感じさせないように最適化しなければなりません。「The Manifest」が実施した調査によると、入力フォームで離脱した経験のあるユーザーは実に81%にのぼるという結果も出ています。
入力フォームまでたどり着いたユーザーは、申し込みや購買といった意思決定をしている可能性が高く、CV間近の状態です。しかし、入力フォームに以下のような問題があると、入力を完了させずに離脱する可能性が高くなります。
- 必須項目がわかりにくい
- 入力ミスに対してリアルタイムでアラートが表示されない
- 多くの項目を手入力しなければならない
- セッションの有効時間が短すぎる
- 英数字の半角・全角を使い分けなければならない
入力フォームでの離脱が多い場合は、これらを改善して防止することで、CVRを向上させられるでしょう。
対策5-1.EFOを実施する
EFO(入力フォーム最適化)とは、Webサイト内の入力フォームを入力しやすく、かつ最適な形にすることです。ユーザーがストレスなくスムーズに完了できるよう、以下のようにフォームに改善します。
- フォームの項目数をなるべく減らす(必要最低限の項目のみ残す)
- ヘッダーやフッターなどの余計な導線を削除する
- 設問項目を、プルダウンではなくラジオボタンにする
- 流入元のCTA文言とフォームのページタイトルを合わせる
- 「この資料で分かること」など、フォーム内容に応じたコミュニケーションを取る
- 確認ページに注意書きを記載する(もしくは確認ページを削除する)
- 実際に問い合わせまでの流れを体験して、使いづらいと感じる部分を改善する
例えば、入力フォームを開いた際に、多くの設問が目に飛び込んでくると、その時点で「これを入力しなければいけないのか」とユーザーの気力を削いでしまう原因になるケースがあります。そのような場合、1画面に1つの入力項目を表示させる「ステップ方式」のフォームにすることで、ファーストビューで感じる煩わしさを軽減し、離脱率を改善できる可能性があります。
EFOの施策についてより詳しく知りたい場合は、以下の別記事をご覧ください。
本記事をご覧の方の中には、「突然のお知らせを受けて、なにを準備すべきなのか?」とお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これからご紹介する「Google オプティマイズが2023年9月で終了に向けて準備する6つのこと」では、アクセス解析領域で様々な成果を出してきたアナリストが、Googleオプティマイズのサービス終了において準備すべきことについて解説しています。ぜひご一読ください。
効果的な改善のために!CVRを把握・分析する3つの方法
ここまで、CVR低下につながる主な原因と対策を説明しましたが、それ以外にもCVRが下がる原因は存在しますし、企業やページごとにケースバイケースといえます。
CVRはさまざまな角度から分析することによって、より課題や問題点が明確になります。そのため、CVに至るまでの導線だけでなく、GA4を活用して次のような分析も取り入れましょう。
- 流入経路別
- 閲覧開始ページ別
- ゴール地点(フォーム)の転換率
では、これらの分析について詳しく解説します。
それぞれの詳しい設定方法は、以下の別記事をご覧ください。
分析方法1.流入経路別
まず一つ目は、GA4のデータ探索を使用して、流入経路によってCVRに大きな差がないかを確認する方法です。もし、CVRが極端に低い流入経路があれば、そこへの投資を抑えてCVRが高い経路に費用を回すことができます。
データ探索では、確認したい項目を自由に組み合わせ、以下のようにレポートを作成できます。
また、「広告×PC」「広告×スマホ」といったように、流入経路ごとにデバイス別でCVRを確認しておくと、より深く問題点を探れます。例えば、「広告×スマホ」のCVRが非常に低い場合、スマホのUIに問題がある可能性が高いでしょう。
分析方法2.閲覧開始ページ別
次に、どのページがコンバージョン獲得に大きく貢献しているかを確認する方法です。この分析によって、貢献度が高いページの数字をさらに向上させる、それらのページがなぜCVを獲得できているのかを検討し、他のページに横展開するといった改善策を実行できます。
GA4のデータ探索の項目を設定し、以下のようなレポートを作成できます。
基本的には、CVへの貢献度が高いページを優先的に分析し、改善を行います。
上記の場合はトップページがCVに貢献していることがわかります。そのため、トップページの改善を重点的に行っていくのが効果的でしょう。
分析方法3.ゴール地点(フォーム)の転換率
最後に、フォームやECカートといったゴール地点で、ユーザーがCVに至っているかを確認する方法です。もしゴール地点での離脱率が高いのであれば、原因を特定して改善しなければなりません。
フォームの場合は、「入力ページ」→「確認ページ」→「サンクスページ(問い合わせ完了ページ)」の転換率を分析します。いずれかの地点で大きく離脱されている場合、原因を特定して対策することでCVの取りこぼしを防げます。
GA4のデータ探索を使用することで、以下のようなレポートを作成できます。
※青い部分は「そのページに到達したユーザーの数」を視覚化したものです。
また、ECサイトの場合は「詳細ページ」→「カート追加」→「チェックアウト(個人情報入力や支払方法選択など)」→「確認」→「完了」というように、ゴール付近で複数回のページ遷移を行います。各ページで離脱が起きていないかを確認し、原因をつきとめて防止しましょう。
- GA4の設定方法が分からず、成果のために必要なデータが取得できていない
- 基本的な設定はできているものの、GA4を使いこなせていない
CVR改善に役立つ4つのツール
前述の対策によって、CVRをより効果的に改善するにはツールを使うのもおすすめです。実際、CVR改善によって成果を出している企業の多くは、ツールを積極的に活用していることが多いものです。
CVRの改善に活用できるツールは以下の4つです。
- アクセス解析ツール(サイト全体のユーザーの動きを分析)
- ヒートマップツール(ページ内でのユーザーの離脱ポイントやボタンクリック率などを分析)
- A/Bテストツール(2つのパターンをランダムに表示させ効果検証・分析)
- EFOツール(フォームでの離脱率や離脱ポイントなどを分析)
では、これらのツールについて詳しく解説していきます。
アクセス解析ツール
アクセス解析ツールは、これまで解説したようなWebサイト内でのユーザーの行動を解析できるツールです。Google公式ツールである「Googleアナリティクス」が一般的によく活用されています。
CVR改善では、ユーザーがCVに至るまでの行動の分析が重要になるため、ほぼ必須のツールであると言えます。
Googleアナリティクスは現在、従来の「ユニバーサルアナリティクス(UA)」と「Googleアナリティクス4(GA4)」があり、UAは2023年7月1日に計測を終了、過去のレポートデータも2024年7月1日に閲覧できなくなると発表されています。
※有償版GA360(UA)は2024年7月1日に計測を終了、閲覧も2024年7月1日まで。
まだUAを活用している場合、早めにGA4へ移行しましょう。
ヒートマップツール
ヒートマップツールとは、Webサイトの各ページでユーザーがどのような行動をしたか、わかりやすく色で確認するツールです。どのページで離脱されたかではなく、ページ内でユーザーがどのように動き、どこで離脱したかといった行動が把握できるため、ページ内のデザインやレイアウトの改善などに役立ちます。
上記はMOLTSウェブサイトで熟読エリア(よく読まれているエリア)をヒートマップで可視化したものです。また下記のようによくクリックされる箇所を知る事もできます。
ヒートマップは、以下のようなツールを導入することで活用できます。
A/Bテストツール
A/Bテストツールとは、2つのテストパターンをランダムで表示させ、どちらのパターンがより効果的かを検証するためのツールです。専門知識がなくても効率的にABテストを実施できます。
A/Bテストツールとしてよく活用されるツールにGoogleオプティマイズがありますが、2023年9月でサービスが終了します。そのため、これからA/Bテストの導入を検討する場合は、GA4(Googleアナリティクス4)との連携ができる、以下の3つがおすすめです。
本記事をご覧の方の中には、「突然のお知らせを受けて、なにを準備すべきなのか?」とお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これからご紹介する「Google オプティマイズが2023年9月で終了に向けて準備する6つのこと」では、アクセス解析領域で様々な成果を出してきたアナリストが、Googleオプティマイズのサービス終了において準備すべきことについて解説しています。ぜひご一読ください。
EFOツール
EFOツールとは、問い合わせフォームでのユーザーの離脱ポイントなどを分析できるツールです。
また、以下のような機能を搭載しており、人の手では実装が難しい設定も簡単に行えます。
- ガイドメッセージの入力機能
- 住所入力サポート機能
- リアルタイムアラート機能
- フリガナ自動入力機能
- 必須項目のカラーリング機能
- 半角・全角の自動変換機能
- 残り入力項目数の表示機能
- 確認ボタンの最適化機能
これらをツール無しで実施するには、専門知識を有した人材が必要です。しかし、EFOツールを導入すれば、誰でも簡単に入力フォームの作成・分析ができます。
FEOツールの選定方法やおすすめのツールは、以下の別記事で解説していますので、併せてご覧ください。
CVR改善の成功事例
最後に、CVR改善の成功事例を紹介します。弊社がさまざまな課題や背景をお持ちの企業を支援させていただく中で、CVR改善のための試みを行ってきました。
そこで実際に成果につながった事例・施策をご紹介します。
広告運用とLPOでCVR改善・ROAS200%を達成
季節性商材のEC事業を行っている企業の事例です。
業界 | ファッション・アクセサリー |
---|---|
課題 | 広告配信の効果が低かった |
成果 | ボトルネックを解消することでCVRやROASを改善した |
同社はEC売上を最大化すべく、以下のWeb広告を配信しました。
- リスティング広告
- ディスプレイ広告(主にリターゲティング配信)
- SNS広告
しかし、当初はROAS(広告の費用対効果)が25%しかなかったため、CVRを含む数値改善に取り組むことになりました。
現状の課題を可視化するために、まずは広告からの遷移先となるLPのトップページ・カート・フォームなど、階層ごとの遷移数を日々計測しました。すると改善箇所が明らかになったため、LPデザインに改善を施していくことでCVR改善を図りました。
決済方式に関するコンテンツや、クーポン利用に関する事項をLPに記述するなどした結果、CVRが改善されていき、想定以上の早期完売を達成。また、広告配信初週のROASは25%でしたが、改善を繰り返したことで、最終的には目標としていたROAS200%も実現しました。
コンテンツのCTAを見直すことで、半年間でリード創出10件→500件へ成長
Instagramの運用代行やコンサルティング・運用支援ツールなどを提供をする、株式会社SAKIYOMIが行った、オウンドメディアのコンバージョン改善事例です。
業界 | SNS運用代行・コンサル・運用支援ツールの提供 |
---|---|
課題 | オウンドメディアの記事を大量に作成したが、成果に繋がっていなかった |
成果 | CTAの改善に重点的に取り組むことで、CV数は目標であった80件/月を達成。 |
同社はもともとオウンドメディアのコンテンツを100記事ほど制作し、ある程度検索順位も取れていましたが、そこからCVを思うように獲得できないという課題を抱えていました。
つまり、SEO施策によってセッション数は十分にあるものの、CVRが低いことが原因でなかなか成果に繋がっていなかったのです。
その原因を分析すると、「コンテンツからフォームに誘導するための導線がない」という問題が判明したため、CTAの作成と設置をメインに行っていきました。
結果として、初月で月10件程度だったCV数は80件に伸び、施策を継続することで、月500件程度のCVを安定して担保ができるようになりました。オウンドメディアから月5件ずつの受注を獲得し、取り組み前と比べて受注数は3倍に増加しました。
まとめ|適切な分析と施策の実行でCVRを改善しよう
本記事では、CVRが下がる原因や、具体的な改善方法・手順などについて解説しました。CVR改善は、以下の手順で進めてください。
- CVまでの導線データを可視化する
- 改善の余地がある箇所を絞り込む
- 仮説を立てる
- 仮説に沿って施策を実行する
- 効果検証・改善をおこなう
CVR改善に関するよくある質問
CVRが低い時に確認したい原因と対策は次の通りです。
原因 | 対策 |
---|---|
タイトル・ページ・CTAに一貫性がない | ・タッチポイントと遷移先のページに一貫性を持たせる |
ページのストーリーやデザインに問題がある | ・ページ改善、LPOを実施する |
Webサイトの導線に問題がある | ・サイト内の導線を見直す |
Webサイトの操作性にストレスを感じる | ・WebサイトのUXを改善する |
入力フォームが最適化されていない | ・EFOを実施する |
分析をさまざまな角度から行うことで、改善すべき箇所がより明確になります。分析をしっかりと行い、効果検証・改善を行い、CVRを改善しましょう。
CVR改善はどのような手順で進めればいいですか?
CVRが低い原因を明らかにし、改善する手順は以下の通りです。
- CVまでの導線データを可視化する
- 改善の余地がある箇所を絞り込む
- 仮説を立てる
- 仮説に沿って施策を実行する
- 効果検証・改善をおこなう
原因を特定せずに施策を実行しても、効率的・効果的な改善は行えません。分析・効果検証・改善を繰り返し行いましょう。
詳しくは「CVR改善を効果的に進める5つの手順」をご覧ください。
CVRが下がる要因は何ですか?
CVR低下につながる要因を知っておくと、分析で離脱率が高い箇所を特定した際に、どこに問題があるかを把握しやすくなります。
よくある要因としては、主に以下の5つが考えられます。
- タイトルやページ・CTAに一貫性がない
- ページのストーリーやデザインに問題がある
- サイトの導線に問題がある
- Webサイトの操作性にストレスを感じる
- 入力フォームが最適化されていない
自社のWebサイトや広告に当てはまる点がないかチェックし、対策を行いましょう。
詳しくは「CVRが低いときに確認したい、よくある5つの原因と対策」をご覧ください。
CVR改善のプロフェッショナルに相談してみませんか?
効率的にしっかりと成果を出したい場合には、THE MOLTSにご相談ください。弊社はWebサイトで次のような実績を上げてきました。
- フォーム改修などでCVRが2倍以上に改善し、受注金額が前年同期比で8倍
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プロフェッショナルが貴社の状況やリソースを考慮した上で、以下のようなご支援をします。
- 解析ツールを活用し、データ計測と分析が可能な基盤を構築
- より成果に繋がるコミュニケーション案の提案・設計
- LPO・EFOの実施と改善
まずは貴社のCVR改善のお取り組み状況についてお聞かせください。貴社に最適化された改善策をご提示します。
著者情報
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